A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

「味わう」という言葉ほど味わいのある言葉は無い

2011-09-07 | CONCORD
Tasty / Jimmy Rowles & Ray Brown

9月に入って猛暑が終わったと思ったら台風崩れの大雨のおかげで、各地で大災害。最近は何故か季節を「味わう」余裕がないような気がする。ゆったりと四季の趣を味わえる気候にならないものか。それが日本の良さだったのに。

先日、ミシェルルグランのトリオのライブに行った。予約はソールドアウトであったが何とか入ることができた。会場のブルーノートも震災後はミュージシャンのキャンセルが続き、プログラム作成に四句八苦していたようだがやっと通常のペースに戻ってきたようだ。まずは、めでたし、めでたし。今週はカウントベイシーもあるので、こちらもライブ通いがボチボチ復活。

ミシェルルグランは実に才能が多方面にわたる。作曲はもちろん、アレンジも、そしてピアノのプレーも。それもイージーリスニング的なサウンドからバリバリのジャズまで幅広く。そして、それぞれone&onlyの個性がある。
今回はジャズピアノをトリオでの演奏でご披露だった。ミシェルルグランのトリオといえば、Verveのシエリーズマンホールでのライブアルバムが有名だ。ちょうど自分がジャズ喫茶通いを始めた頃の作品で、銀色のジャケットデザインと共に中身も良く印象に残っているアルバムだ。これはある種のジャムセッション。3人の自然発生的なプレーが実に刺激的だった。
今回は、自分のトリオで、自分の曲の演奏となると少し趣が違う。もちろん、VERVEのアルバムからは40年以上経っているのでルグラン自体も枯れてきたが、トリオのコンビネーションとその表現が実に味わい深かった。静かな感じで、Watch what happensでスタートしたが、最後はエネルギッシュないつものノリを披露してくれた。ルグランはトリオという小さな編成でも曲想に合わせて、実に変化のある演奏を聞かせてくれる。まさに会席料理を味わうように、素材の美味しさと味付けの旨さ、さらには盛り付けと食器の美しさまでが同時に味わえる。

ルグランの話が長くなってしまったが、このロウルズのアルバムのタイトルはTasty。一体どんな味わいをさせてくれるのだろう。レイブラウンとのDUOだ。この組み合わせはConcordですでに一枚出ているので想像はつく。ロウルズは元々歌伴が得意だが、色々なセッションに参加しても特に目立つことなく、でも実に無くてはならない演奏をしている。これまで自分が紹介したアルバムでも、新旧取り混ぜて色々なアルバムに顔をだしている。
ルグランとは違った多芸振りである。
料理に例えれば「お袋の味」。見てくれや体裁には拘らないけれど、どんな素材が来ても、どんな料理でも、自分の拘りをさりげなく出す旨さだ。超一流の味付けでもないし、そこらのコンビニ弁当でもない、ロウルズでなくては作れない味なピアノサウンドだ。ルグランのコース料理を堪能した後で、ちょっと一品には最適だ。いつもは他の素材の味にまぎれて感じなかった、ロウルズのピアノの本当の良さが分かる。気候のいい時にじっくり聴いてみたい。

1. A Sleepin' Bee
2. I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter
3. The Night Is Young And You're So Beautiful
4. My Ideal
5. Come Sunday
6. Close Your Eyes
7. Nancy (With The Laughing Face)
8. Smile

Jimmy Rowles (p)
Ray Brown (b)


Produced by Carl Jefferson
Recorded at Coast Recorders, San Francisco CA, October 1979
Originally released on Concord CJ-122

Tasty
Jimmy Rowles
Concord Records

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