A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

幼馴染でも一緒にレコーディングしたのは・・・

2015-08-29 | MY FAVORITE ALBUM


Art'n Zoot / Art Pepper & Zoot Sims

1925年9月1日生まれのアートペッパー、そして同年10月29日生まれのズートシムスは同い年。出身地もペッパーはGardena、シムスはInglewood,とロスアンジェルス郊外の隣町同士の幼馴染、若い頃はよく一緒に演奏をしたそうだ。

ペッパーはスタケントンオーケストラで活躍しソリストとして頭角を現す。シムスもベニーグッドマンのオーケストラでプロ生活を始め、ウディーハーマンのフォーブラザースバンドに参加し有名になったが、それを足掛かりにその後多くのバンドを渡り歩く。

華々しくデビューした二人だが、その後のアートペッパーは長い療養生活をおくることに。実際に演奏活動した期間は限られる。
一方のズートシムスはニューヨークに移り、ジェリーマリガンのコンサートジャズバンドに参加し、アル&ズートのコンビでも活躍した。スタジオワークも多く、多くのアルバムのクレジットで彼の名前を見かけ、亡くなるまで多方面で忙しく活躍した。

スタートは同じであっても、2人のそれぞれが歩んだ道は異なった。そのため、幼馴染の2人が共演したアルバムを聴きたいと思っても、その演奏は見当たらない。
デトロイトやフィラデルフィア出身のミュージシャンは、ニューヨークに出て有名になってからも無名時代一緒に演奏をした仲間達とよく一緒にプレーをし、アルバムも残した。
しかし、ロス出身のミュージシャンはその数も多く、ジャズだけでなく活動する領域も広かったせいか、2人に限らず同郷といってもあまり仲間意識が強かったようには思えない。

ズートシムスは活動拠点をニューヨークに移し、以前にも増して多方面で活躍した。一方のアートペッパーは西海岸に留まったが、活動自体が断続的となった。このような2人が共演する機会を作るのも難しかったのだろう。

70年代の後半、そして80年代にかけてジャズコンサートが全盛を極めた。当時、ジャズフェスティバルが各地で数多く行われ、スタープレーヤー達の夢の共演もよく再現された。しかし、それらの場でもこの2人の競演が実現されることはなかった。

その様な中、ラジオ放送用の公開ライブもよく行われたが、National Public Radioという公共放送にJazz Aliveという番組があった。案内役のティムオーエンスは順次メンバーを入れ替えながら全国を回ってその演奏を電波に乗せた。

1981年ロスでその公開収録が行われたが、9時間に及ぶスペシャルプログラムが組まれた。ジェラルドウィルソンのオーケストラやハロルドランド&ボビーハッチャーソンのグループなど地元のミュージシャン中心に出演したが、そこでズートシムスのオールスターバンドにアートペッパーも加わり、念願の競演が実現した。

この公演は予算も多く、その模様はマルチトラックでの録音も行われ後にアルバムとしてもリリースされた。そのお蔭で、ズートシムスとアートペッパーの共演がアルバムとして初めて世に出ることになった。

CDへの収録は編集され曲順が実際のステージとは異なり、全貌が収められている訳ではない。実際のプログラムの順序は、ズートシムスのカルテット、そしてバニーケッセルが加わったクインテットの演奏が先行し、そこにアートペッパーが加わって2曲演奏した。
その後、CDには収められていないが、ピアノのビクターフェルドマンのソロを挟んで、今度はアートペッパーがチャーリーヘイデンを伴って再びステージに登場し、オーバーザレインボーを演奏、リズム隊が残ってボビーハッチャーソン達が登場する構成であったようだ。

したがって、実際に2人の共演とはいっても2曲だけのものではあったが・・・・。

先行したズートシムスの演奏は実に快調。バニーケッセルが加わったイパネマの娘も実にアグレッシブな演奏だ。その勢いでアートペッパーとの共演に臨むが、2人の熱い演奏が見事に残されている。シムスが盛り上げたステージに、真打ペッパーが登場という形だ。

このような形で2曲だけではあったが、幼馴染の2人の演奏が後世に残された意義は大きい。この時2人は56歳。翌年6月にはペッパーは世を去り、それを追うようにシムスも85年には亡くなってしまう。最初にして最後の共演アルバムとなった。

1. Wee (Allen's Alley)               Denzil Best 7:39
2. Over the Rainbow    Harold Arlen / E.Y. "Yip" Harburg 10:28
3. In the Middle of a Kiss             Sam Coslow 8:51
4. Broadway   Lew Brown / Buddy DeSylva / Ray Henderson 6:29
5. The Girl from Ipanema  N. Gimbel / Antonio Carlos Jobim 10:31
6. Breakdown Blues          Art Pepper / Zoot Sims 10:01

Zoot Sims (ts) #1,3,4,5,6
Art Pepper (as) #1,2,6
Victor Feldman (p)
Barney Kessel (b) #4,5
Ray Brown (b)
Charlie Haden (b) #2
Billy Higgins (ds)

Produced by Tim Owens
Recording engineer : Paul Blakemore
Recorded live at Royce Hall,University of California, Los Angels on September 27 1981

Art 'N' Zoot
クリエーター情報なし
Pablo

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