A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

子分のリーダーアルバムを作るのも親分の役割・・・・

2012-03-09 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Jon & Billy / Billy Harper & Jon Faddis

デトロイト出身のサドジョーンズだが、サドメルオーケストラの中にもデトロイト出身のメンバーがいる。ピアノのローランハナだ。風貌通りのグルービーなプレー、そして時には似合わないリリカルな演奏も得意としていた。演奏中はむっつり型のメルルイスとは違い、愛嬌たっぷりにサドの相方を務めてバンドの盛り上げ役だった。そのハナはバンドのメンバーが若くなってくると彼らの纏め役としても活躍していたが、中でもハナの一番弟子はトランペットのジョンファディスであった。1974年のサドメルオーケストラの2回目の来日の時に、ファディスはメンバーの一員として初来日した。この時のファディスはまだ二十歳を過ぎたばかり、後見役ともいえるハナの後をいつもついていたそうだ。

親分ハナは、このような可愛い子分のためにファディスのアルバム作りに一肌脱ぐことになった。この来日時には、滞在中にオーケストラのライブアルバムもできたし、ハナのDUOアルバムも制作された。この勢いでハナは、日本のレコード会社にファディスの記念すべき初アルバムをプロモートしたが、結果は残念ながら色よい返事はもらえなかった。ガレスピーの信奉者であったファディスはガレスピーそっくりのプレーをし、オーケストラの中ではファーストで際立ったハイノートで実力は十分であったが、如何せんまだ無名。そして自分のスタイルを前面に出してのリーダーアルバムとなると、誰もがガレスピーの物まねでは二の足を踏んだ。そこで、くじけないのが親分のハナ。再三の交渉の結果、テナーのビリーハーパーとセットであればとの条件で実現したのがこのアルバム。ビリーハーパーのリーダーアルバムのように見えるが、タイトルをJon & Billyとしたのが、最後の拘りかもしれない。

ハーパーも若手で売り出し中だったが、実はこの2人のプレースタイルは正反対ともいえる。オーケストラの中に入ってしまうと目立たないが、ファディスのコンベンショナルなスタイルに対して、ハーパーはコレトレーンライクなプレースタイル。ベースはジョージムラツの確実なプレーだが、ドラムに日本から日野元彦が加わった。ファディスがメインであればメルルイスでも良かったかもしれないが、ハーパーが加わったことによって日野元彦の参加は大正解だったと思う。
このアンバランスの取り纏め役はやはりハナの曲とピアノだ。曲によってエレキピアノも使って2人のプレーを上手く調和させている。
サドメルを辞めた後は、ファディスはスタジオ中心の仕事が多くなり、しばらく一線ではあまり見受けられなくなっていた。最近はリンカーンジャズオーケストラでも活躍していりようだが、2人のデビュー直後の未完成であるが溌剌としたプレーを今でも聴けるもの、来日中の短期間の間のレコーディングに尽力したローランドハナのお陰だ。感謝しよう。

1. Jon and Billy               Hanna 6:02
2. Water Bridge-Mizu Hashi San       Bridgewater 8:06
3. Ballad for Jon Faddis           Hanna 4:03
4. Two 'D's from Shinjyuku, Digand Dug    Harper 7:07
5. 17-Bar Blues                Hanna, Harper 5:29
6. This All                  Hanna, Harper 7:56


Jon Faddis   Flugelhorn Trumpet
Billy Harper  Tenor Sax
Roland Hanna  Piano, Electric
George Mraz  Bass
Motohiko Hino Drums
Cecil Bridgewater Kalimba

Kazuo Harada Producer
Kuniya Inaoka Producer
Shigehisa Nagao Engineer
Recoded at Teichiku Studio, Tokyo on 13 March, 1974

Jon & Billy
Jon Faddis & Billy Harper
Evidence

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