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マッカーサーに学ぶ マッカーサー大戦回顧録 上

2010-07-19 05:01:12 | 政治
昨日に引き続き、先の戦争関係なんですがね。

あたしゃときどき、日本の戦史ものを読んだりします。場合によっては『失敗の本質』なんて、陸海軍の戦略や戦術がまずかったみたいな本も読んだりして。ただ、どうしても日本のものを中心に読んでいるわけですね。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
戸部 良一,寺本 義也,鎌田 伸一,杉之尾 孝生,村井 友秀,野中 郁次郎
中央公論社


で、先週、たまたまブックフェアで、締め際に行ったら3割引きだというんで、本書を買ったんですな。

マッカーサーは、GHQの、つまり占領軍の親玉で、戦後統治がどうしたこうした言われるわけですが、彼は戦争がはじまる時にはフィリピンに居て、一旦日本の攻撃を受けて、撤退をさせられた敗軍の将だったんですな。

マッカーサー大戦回顧録〈上〉 (中公文庫BIBLIO20世紀)
ダグラス マッカーサー
中央公論新社





本国は欧州に体力を割かざるを得ず、中々思うように支援を受けられないまま撤退する。もう、悔しくて悔しくて、オーストラリアまで引き下がった後は、なんとか北に向かって勝ち上がって再びフィリピンに戻る決意をするわけで。

I shall return.

これですわ。

まあ、マッカーサーは優秀で、戦の天才かなんか知りませんが、それにしても日本軍の、めちゃ弱ぶりが、気にかかります。なんせ、めちゃめちゃ弱い。マッカーサーが優秀で強いから、じゃどうも無いみたいなんですな。

日本は物量に負けた、戦争戦略もはっきりしなくて、とか言うんじゃなくて、とにかく弱い。

マッカーサーは、本国から十分な戦力を与えられなかったんで、少ない手勢で効率よく攻める作戦を立てる。航空機を有効活用し、とにかく飛行場を確保する。ひたすら奇襲戦で、日本の手薄なところ、しかも、敵正面とは戦わずに前線深く回り込んで要路を押さえて敵の補給路を断ってしまう。

それでおしまい。その後の殲滅戦には移らずに放っておく。孤立させて戦線が膠着している限り、敵戦力は戦略的に無力で、使い物にならない、という理屈です。補給も断たれているので、いずれ飢えて動けなくなるしってかんじ。多分朝鮮戦争の仁川上陸作戦も同じで、マッカーサーはひたすら同じ戦術でせめてます。

この作戦、日本軍がはじめに引っ掛かるのは良いんですが、その後も、ずーっと引っ掛かり続ける。自分達が敵の攻撃地点として想定している場所だけを固めて、想定外の場所の防御は手薄で、マッカーサーは奇襲戦を行って大して抵抗も受けずに上陸してしまう、みたいな。

日本軍は個別の戦闘では勇敢だけれども、ワンパターンで、想定外の問題にはうまく対処できない。失敗しても学ぶこともできない。

かれは作戦中にワシントンへの報告にこう書いたそうです。

『日本軍の地上部隊はいまなお、おそるべき頑強さで戦っている。日本軍の兵員の素質は依然として最高水準にある。しかし日本軍の将校は上級ほど素質が落ちる。日本の将校団は基本的に階級主義と封建的な制度で成り立っており、厳密な職業的能力によって選ばれていない。ここに日本の弱点がある。日本の息子たちは心身ともにたくましいが、指導者に欠けている』

『日本の軍人階級は国家をがんじがらめにしばりつけておきながら、いまやその国家の期待を裏切っている。彼らは全面戦争のため日本の資源を組織的に活用するだけの想像力も情勢判断の能力も持っていない。』



マッカーサーは米軍の責任者として日本軍とたたかう中で、兵は強いのに作戦が拙劣、ずさんで、犠牲ばかり出している日本軍の指導者に対する怒りを覚えているわけですね。能力の無いものがいばって支配している。武人の風上にもおけぬ。

マッカーサーは不公正さを感じたんでしょうな。

彼のこの、嫌悪感が、日本の占領政策の中にも反映しているかも知れません。ってか、それが一番の思いだったりして。


それにしても、日本のメーカーが工場の生産能力や技術力が高いのに、戦略や作戦がまずくて、米や新興国にやられてしまう、という構図ととっても良く似てませんかね。緒戦は強かったのに、みたいな。

兵士が死ぬかわりに派遣が切られて・・・。

そういや、エコノミスト誌は、日本に指導者が不足していることを指摘してましたよね。


民主党惨敗 ロンドンエコノミスト




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