会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

クルーグマンコラム ヤバイ新興国

2008-10-31 07:14:23 | マクロ経済
先日、韓国経済がどうもヤバそうだ、と書かせていただいたところですが、

クルーグマンも同じ意見のようでして、

The Widening Gyre

In the 1990s, emerging market governments were vulnerable because they had made a habit of borrowing abroad; when the inflow of dollars dried up, they were pushed to the brink. Since then they have been careful to borrow mainly in domestic markets, while building up lots of dollar reserves. But all their caution was undone by the private sector’s obliviousness to risk.

つまり、前回の通貨危機と比べているわけですね。アジア通貨危機やロシアの。前回は、新興国の政府が海外から借り入れを日常的に行っていたために、一旦海外からのドル流入がとまると外貨準備が底をついてにっちもさっちも行かなくなった。さすがに教訓を生かして今は海外からでなく国内からの調達に切り替えて、外貨準備も積み上げているが、

問題は、政府以外の民間セクターが、そうなっていないことだ。

これ、韓国経済でご紹介しましたね。海外からの、特に円での借り入れが民間レベルで増えていて、そう、円キャリーってヤツですね、一旦ウォン安になると借金が倍増。個人破産も増えているんでした。

In Russia, for example, banks and corporations rushed to borrow abroad, because dollar interest rates were lower than ruble rates. So while the Russian government was accumulating an impressive hoard of foreign exchange, Russian corporations and banks were running up equally impressive foreign debts. Now their credit lines have been cut off, and they’re in desperate straits.

クルーグマンはロシアの例をあげています。ドルの金利が安いので、海外からの借り入れに走ってしまった。ロシア政府は外貨準備を積み上げているが、民間の銀行や事業会社は海外借り入れを続けていて・・・。

それが、今回の金融危機でクレジットラインがカットされてしまって・・・。

Stephen Jen, the chief currency economist at Morgan Stanley, the “hard landing” in emerging markets may become the “second epicenter” of the global crisis. (U.S. financial markets were the first.)

新興国がハードランディングすることによって、米国に続く第二の金融危機震源地になりかねない、と指摘されているんですな。

いやあ、こわいこわい。


米国消費、悪そう

2008-10-29 06:58:00 | マクロ経済
ダウがかなり戻しているようで。大きな下げ、大きな上げ。悲しんだり喜んだりするよりは、こうした短期の動きは単なる需給の問題と考えたほうがいいかも知れませんがね。

Key consumer measure at all-time low

消費者信頼感指数が過去40年で最悪だったそうで、

The Conference Board, a New York-based business research group, said Tuesday that its Consumer Confidence Index plummeted to 38 in October from an upwardly revised reading of 61.4 in September.

10月は38に落ちた

Even though gas prices have come down significantly in recent weeks, putting more cash in consumers' pockets, Americans now appear more focused on the deteriorating job market.

ガソリンは大きく値下がりして消費者の資金に余裕を持たせたが、今度は雇用不安が問題になっている。

So far this year, the economy has lost 760,000 jobs, according to the Labor Department's September payrolls report.

今年に入って76万人の雇用が失われた。

Many economists worry that weakness in consumer spending, which makes up two-thirds of the nation's economic activity, will result in further contraction of gross domestic product (GDP) in the fourth quarter.

消費は経済の3分の2を占めておりGDPへの影響をエコノミスト達は心配している。

とまあ、これから、年末のかきいれ時を迎えるわけですが、ちょっと・・・。


サムスン 強気

2008-10-28 01:19:25 | 半導体
韓国経済が結構大変だ、ということなんですが、その中でも結構なウエートを占めているサムスンはどうなんですかね。まあ、これだけ株価も落ちれば、韓国がどうこう言っている場合でもなくなって来た感じですがね。

Samsung: Good News Despite Bad Earnings

On Oct. 24 the Korean giant announced net profit for the third quarter was down 44% from a year earlier, to $1.15 billion. But, they say, they have reason to stay optimistic about their future.

第3Qが随分悪かったが、将来には楽観的だ。ウーン。こないだの韓国当局者が今は構造改革優先、と言っていることを考えると、韓国の強気ってどこまで根拠があるのか疑問もありますな。

it is sitting on a cash reserve of some $7.6 billion that will allow it to keep investing in research and development, marketing, and factories—a luxury its cash-strapped rivals in the chip industry can't afford.

サンディスクを買う話が流れて、手元現金が潤沢になって投資や開発にまわせる。金繰りに困っているライバルに差をつけられる。

Another advantage for Samsung is a weak Korean currency. The won, which has fallen by more than 40% this year against the dollar to become the world's worst-performing currency, is making Samsung much more competitive in export markets (BusinessWeek.com, 9/19/08). This is particularly so as rivals from Japan such as Sony (SNE) and Toshiba (6502.T) are suffering from a strengthening yen (BusinessWeek.com, 10/23/08).

ウォン安もラッキー。これまでウォン高に苦しんできましたからなあ。


That's largely because the memory chip business, traditionally Samsung's cash cow, is suffering from a supply glut. Prices for a typical DRAM chip used for PC memory dropped 17% from the beginning of July to the end of September; prices for NAND flash chips used widely for digital cameras plunged 35%.

サムスンの不振は、半導体ビジネスによるところが大きく、DRAMは今年の7月から17%、フラッシュメモリーにいたっては35%も落ちてしまった。東芝も苦しんでる、みたいな記事が日経に出てましたよね。

Still, as bad as things are for Samsung, things are much worse for its rivals. Among Samsung competitors swimming in the red are crosstown rival Hynix Semiconductor, Japan's Elpida Memory (6665.T) and Toshiba, and Taiwan's Powerchip Semiconductor and Nanya Technology.

サムスンも苦しいが、ライバルはもっと苦しい。現金が豊富なサムスンが、我慢比べには有利、ってとこですか。このロジックはエルピーダの坂本社長が使ってますがね。サムスンもこの消耗戦、受けて立つって感じですかね。

Another good piece of news for Samsung during this time of economic woes comes from its handset business. It sold 51.8 million phones in the quarter, a quarterly record and up 13% from the previous three months—nearly triple the pace of growth for the global handset market, which grew 5%.

半導体が我慢比べなら、ケータイは絶好調が続いているうです。この四半期で13%も伸ばした。マーケット全体は5%しか伸びてない。

モトローラとソニーエリクソンが落ちた分を食ったってトコですかね。それにしても強いですな。中国かな。

That means Samsung's market share is rising again. The 200 million phones represent a global market share of more than 16%, up from 14.3% last year and 11.5% in 2006.

年間2億台に乗せる。日本のメーカー全部まとめて戦っても勝てません。半導体は知りませんが、ケータイは本当に強そうですね。

GEさえも・・・

2008-10-26 12:54:05 | 金融
以前に、FEDが、CPも買い始めるというハナシをご紹介しましたが、

GE to tap into Fed funding facility

The Fed next Monday will start buying commercial paper from highly rated companies unable to sell their paper on the market. Commercial paper is short-term debt that firms use to pay for everyday expenses like salaries and supplies. But in the current climate of mistrust, the market has dried up considerably

月曜日から高格付け先のCPを買い始めるんだそうで。

General Electric Co. has told customers it will tap into a new Federal Reserve short-term funding facility set to start Monday

びっくりするのが、GEがそれに申し込むというんですな。GEが調達に苦労するって、つまり、大概の先が調達に苦労しているってことなんでしょうか。まあ、GEは金融部門を持っているのでフツーの事業会社とは事情が違うんですが。

GE currently has $88 billion of commercial paper outstanding, down from about $100 billion last quarter.

GEの前四半期から1兆円強のコマーシャルペーパー残が減っている。ってことは、期限の来たCPのリファイナンスができないで、どんどん返済せざるを得なくなっているってことか、と思ったらどうも違うようで、

GE said in a note to customers it plans to use the facility primarily to support its commercial paper investors who may need liquidity, and will test the facility Monday. GE's commercial paper customers are money market funds, state and local government pension funds and others, he said.

GEの顧客たるCPの投資家の資金需要に応えるために申し込むと説明している。CP投資家とは、マネーマーケットファンド、地方政府の年金ファンドなど。

よくわかりませんが、GEが投資家から集めた資金でCPを買って運用しているが、投資家が沢山解約にきているのでそのCPをFEDに売って資金化する、マーケットでは売れないので、と読めるんですが。

事業性の資金をCP発行で調達したいが、FEDに買ってもらう、というハナシではなさそうですね。いずれにせよCPマーケットが機能していない、ってことのようで。

中国はどうよ

2008-10-22 00:43:53 | 資源・インフラ
昨日は韓国の調子が悪いというハナシだったんですが、中国も結構大変なようでして、

Fallout from decline in Chinese demand feared

どうも、中国の『買い』圧力が弱ってしまっていて、商品市況に影響が出ているようですね。石油の値段が急落しているといハナシは新聞にもよく出てますが、

Chinese traders are starting to default on contracts and the flow of new deals is easing as the country’s appetite for raw materials slows dramatically.

中国のトレーダーが契約不履行になったりしてて、原材料への需要も細ってしまって取引が急激に減っているんだとか。

Rio Tinto, the Anglo-Australian mining group, last week warned of a marked reduction in Chinese demand for commodities from the overheated levels of 2007. Iron ore, nickel and crude oil prices are all half of what they were in the middle of the year.

鉄鉱石、ニッケル、石油、は年央から半分まで下がってしまった。

Although traders said that demand was weakening, they added that defaults and the drop in consumption were also due to difficulties in accessing credit for trade

需要が細っているのもそうだが、契約不履行や、消費の落ち込みは、取引に必要な資金が調達できないことも原因だ。

金融危機が実体経済に影響を与えている、ということですね。早速出ている、ってとこですか。

Other commodities are doing even worse. Palm oil futures in Malaysia touched a two-year low of M$1,593 per tonne last week, down 64 per cent from their March high. Rubber futures contracts for March delivery on the Tokyo Commodities Exchange hit $1.62 per kg last week, a three-year low.

パームオイルも、ゴムも、ここ数年来の安値をつけている、とか。モノの値段が下がる、ということは原材料産出国にとっては経済のスローダウンにつながる可能性があるわけですが、仕入れ国にとっては良いことですね。

とは言え、輸入国も、それどころじゃない、って感じですがね。

まあ、kれまでは、商品値上がりも中国の経済拡大がものすごいんで仕方ない、的な見方だったわけで、状況は少し緩和されるかも、ってことですかね。

ただ、中国の成長鈍化、といっても、二桁成長はムリ、とかいうレベルで、基本スゴイことに変わりはないんですが。




トンデモ韓国経済 その2

2008-10-21 11:29:07 | 金融
このところ韓国ウォンがかなり急落してまして、結構心配ですな。

ドルーウォンチャート

この2年で見て半分まで行かないにせよ、それに近くまで落っこちてることがわかりますね。何が大変かというと、これが韓国経済バブル崩壊に直結していることですな。

2007.7.13 (No.6, 2007)
「ウォン高と韓国経済」


これ、去年7月のレポートなんですが、ウォン高、そうそう、ついこないだまでウォン高だったんでした、の背景の一つに円キャリートレードをあげておられまして、金利の安い円で対外債務を増やし、国内の株や不動産に投資する流れが結構大きいと指摘しているんですな。

レポートではこの流れが逆転した際のリスクについて書かれていますが、まあ、そんなに大きな規模じゃないんで金融危機をもたらすほどじゃない、というのが結論。

ただですね、これ2006年のデータに基づいているわけで、07年にはまたものすごい勢いで伸びていたようでして、左から05年、06年、07年です。

1,878億8,200万ドル   2,600億6,100万ドル   3,821億8,100万ドル

今年に入っても、こんな記事が出ているようですな

08年6月の『対外債務は4197億6000万ドル(約45兆8900億円)となり、前期比で59億6000万ドル(約6515億円)増加』

つい最近まで伸び続けていたわけでしてね。問題はこの規模ですな。45兆円って書いてますが、そもそも、韓国の経済規模がどのあたりか、なんですな。

さっきのジェトロの数字を見ると、9,699億ドル、大体一兆ドル弱。つまり100兆円くらい。で、対外債務はいくら? ギャーッ。

ちょいと簡単な数字を見ただけですが、ちまたでいろいろ騒がれているトンでも系のハナシはそれなりに根拠があるんじゃないか、と思われるわけですな。

個人破産が急増しているそうなんですが、

個人破産の急増

年間15万人というのは、日本といい勝負なわけでしてね。韓国の人口は日本の半分と3分の1の間くらいで、同じって異常です。日本の個人破産は減り続けているんですな。まあ、この不況でまた増える可能性もありますが。

ソウルのマンション売買取引件数

マンガなくらい落ちてますなあ。日本のマンション不況とはちょっとレベルが違う感じなんですね。

当局者の結構強気な構えが報じられているんですが、なんか、どうなんですかね。

Korea fears unfounded, says senior aide

Mr Sakong played down the need for a stimulus package, saying the focus should be more on structural reform.

"I don't think Korea can have a stimulus package in the same way Japan did. Our growth rates are still at 4-5 per cent," he said. "There are more structural things to be done. We plan on lowering tax rates and then some infrastructure investment. But I don't think we can go too far because of the crisis."

構造改革優先。小泉さんは遅れてきたネオリベなんて陰口をたたかれていたわけですが、韓国はさらに遅れて、今から、このタイミングで・・・。イミョンバクの人気が無い理由がなんとなく分かるんですけど。

クルーグマン 最新コラム

2008-10-19 03:15:43 | 金融
金融危機もさることながら、実体経済への影響がコワイコワイ、と申し上げているわけですが、

Let’s Get Fiscal

ノーベル賞をもらうことになったクルーグマンのニューヨークタイムズ最新コラムです。昔フィジカルという曲がありましたな。レッツゲットフィジカルとかいう歌詞で。うまい、ってかオヤジギャグやろ。

While the manic-depressive stock market is dominating the headlines, the more important story is the grim news coming in about the real economy. It’s now clear that rescuing the banks is just the beginning: the nonfinancial economy is also in desperate need of help.

株価のニュースで1杯だが、問題なのは実体経済が悪化していくことのほうだ。金融機関を救うことは始まりにすぎず、金融以外の経済もひどく助けを必要としている。

And to provide that help, we’re going to have to put some prejudices aside. It’s politically fashionable to rant against government spending and demand fiscal responsibility. But right now, increased government spending is just what the doctor ordered, and concerns about the budget deficit should be put on hold.

そして、経済を助けるにはまず偏見をひとまず横に置こう。政府の支出を云々して財政責任を要求するのは政治的にカッコいいかも知れないが、今は政府支出を増やすことがお医者の見立てだ。財政赤字の心配は後に回そう。

Just this week, we learned that retail sales have fallen off a cliff, and so has industrial production. Unemployment claims are at steep-recession levels, and the Philadelphia Fed’s manufacturing index is falling at the fastest pace in almost 20 years. All signs point to an economic slump that will be nasty, brutish — and long.

今週、小売売上は崖から落っこちた。製造業生産も同じ。失業率は急激なリセッションを示し、フィラデルフィア連邦製造業指数はここ20年で最悪の落ち方。経済の悪化は酷くて長くなるってことを示している。

そして、どのくらい酷いかというと、失業率は8%くらいまで行くかも知れない、回復はかなりかかるかも。


In other words, there’s not much Ben Bernanke can do for the economy. He can and should cut interest rates even more — but nobody expects this to do more than provide a slight economic boost.

バーナンキにできることはあまり無くて、金利を引き下げねばならないが、効果は知れている。

On the other hand, there’s a lot the federal government can do for the economy. It can provide extended benefits to the unemployed, which will both help distressed families cope and put money in the hands of people likely to spend it. It can provide emergency aid to state and local governments, so that they aren’t forced into steep spending cuts that both degrade public services and destroy jobs. It can buy up mortgages (but not at face value, as John McCain has proposed) and restructure the terms to help families stay in their homes.

一方で、政府のできることはたくさんあって、失業手当で消費を増やし、地方政府を支援することで地方政府の支出カットを回避し、モーゲージを買って家から追い出される家族を減らすようリスケすることもできる。

まあ、要するにケインズ型の、政府支出の出番だ、金融政策だけに頼っていてはだめだ、というのがクルーグマンの主張です。支出面の落ち込みを政府支出で直接カバーするということですね。

前回のITハブル崩壊の時は、グリーンスパンがうまくやったじゃないか、という指摘には、

t was only because Alan Greenspan had managed to replace the technology bubble with a housing bubble.

ITバブルを住宅バブルに置き換えただけやんけ。一刀両断です。

で、次期政権では、クルーグマンの言うとおりになるのか。

政府支出をコントロールすると言ってるマケインじゃだめだけど、ということでな。

リベラルの良心とかいう本を書いて、バリバリの共和党批判、民主党支持で、ケインズ政策支持。とは言っても、クルーグマンは日本の不況には金融政策にインフレ目標の導入を主張していたくらいで,金融政策なんてもともと効かないんだ、とかいう人ではありません。

今は、ごちゃごちゃ言わず、なりふりかまってないで政府支出を、というくらい緊急事態だ、ということなんでしょうな。








スーパーマン ヒーロー像

2008-10-15 23:31:38 | 政治
金融機関への資本注入が決まって、liborも下がったとかいう記事が出てますが、

Interbank lending rates ease

The three-month London inter-bank offered rate (Libor) in dollars fell sharply to 4.5500 per cent on Wednesday per cent from 4.6350 per cent on Tuesday.

あのー、ほんのちょっとなんですけど・・・。

ダウも下げて始まってますが、まああれだけ戻したんで、また下がって当然でしょう。相場なので、一番下げの後に二番下げがあり、三番下げがあり、底値を固めてちょっとづつ回復してゆく、って感じになるんでしょうかね。

米国がイラク戦争でさんざっぱら孤立しまくって、巨額の戦費が云々され、まあ、それでもアメリカはアメリカ、経済は強く、活力があって、依然として魅力的で、といっているうちに、結構トンでもな状況になって参りまして、

イラク戦費だけで結構大変なのに、ホンマ大丈夫かいな。

こんなときの大統領選、ある種体制を巡る戦いなわけで、そんな中で若いオバマが出てきて、しかも黒人で、しかも太ってなくて、ハナシがうまくて、心にしみる言葉をつむぐことができて。このままオバマさんが勝つんでしょうが、新しい米国がどうなってゆくのか、と世界は注目することになるわけすな。

古くて頑固で傲慢で残忍で自分勝手のイメージから,若くて、物分りが良くて、気前が良くて、リベラルで、正義感にあふれて、未来を信じ、世界を導く。そんなうまくは行かないにせよ、ある意味、マジでいいおっさんおばさんがそういうことを期待している感じもあるんですな。

ポールソンの議会証言、下院でのスピーカーの記者会見、威厳があって、バカで失礼な質問が出ず、野次が飛ばず、恫喝もなく、失言をねらって辞任要求だ、みたいなノリもなさそうで、狂うとムチャするけど,普通の人達はまともで、党派性があっても最低限度は守る、立派なところには立派な人がそろっているって感じがしますがね。普通の人の普通ののぞみをかなえたい、オバマはそう言っているんでした。

と、まあ、前フリが長くなりましたが、本当はこれを観て頂きたくて。

日本に寅さんが居るとすれば、米国にはスーパーマンが居るわけでして、いわゆるヒーロー像にはお国柄がでますな。






78年製作の映画版スーパーマン一作目です。78年といえばまだカーターの時代で、首相は大平さんだったんですな。昔過ぎてびっくりです。

スーパーマンがロイスと一緒に空を飛ぶシーンがあって、この曲が流れて、私は結構映画は観るほうですが、恐らくシーンとしては一番ロマンチックなんじゃないですかね。クリストファーリーブ、良いですな。

景気も相場もぼろぼろな感じですが空でも飛んで一息。
オバマさんをスーパーマンになぞらえているわけではありません、念のため。



クルーグマン ノーベル賞

2008-10-14 00:46:01 | 政治
ニューヨークの株価はあげて始まったようですが、

これで、ようやく一息ついて、と思っている人は少ないでしょうな。そら永遠に下げ続けることは無いわけで、どっかで戻しが入るわけですが、じゃあ、ここからまたあげてゆくのか、というと、んなアホナ。まだまだ、ああ、こわいこわい。

ちょっと問題が大きすぎて見当が付きませんな。この金融危機が普通の事業会社の業績にどう響いてくるか。そっちが心配ですな。資金の流れが止まれば、モノの流れもヒトの流れも止まるわけで。

トフラーじゃあありませんが、世界が同時性を強めていて、いっせいによーいドンで同時に,それこそアメフトみたいに動いている中で、金融が止まったり、あるいは止まるかも知れない、という不安が起こっただけで、いろんなプランが一斉に、同時に中断したり中止になったりするはずですな。金融の混乱が大きいだけでなく、実体経済への影響も昔より大きいと考えるべきなんでしょうな。

それにしても動きが早くてつい行けませんね。G7がどうして、欧州がどうした、と言ってるとあの三浦さんまで自殺したりして。これからロスの裁判でどういう展開になるのか、結構関心があったんですが・・・。事件そのものもそうですが、日米の司法の違いなんかが結構話題になるはずだし、いろんな意味でエポックになるようなことになるんじゃないかな、という期待があって。ウーン残念。

残念だったり不安だったりする記事が多い中、あのギョロ目小太りオヤジのクルーグマンがノーベル賞をとっているじゃあないですか。

Paul Krugman Wins Economics Nobel

“To be absolutely, totally honest I thought this day might come someday, but I was absolutely convinced it wasn’t going to be this day,” Mr. Krugman said.

正直言っていつかはもらえるかもと思っていたが、今日だとは思ってなかった。日本じゃこういうぶっちゃけ話は、エライ人はしないもんですがね。気ままな感じでよろしいな。

まあ、今、ノーベル賞を彼に与えるべきだ、と考える人たちが居るってことですな。まあ、よくわかりませんが、専門は国際貿易論。まさにタイムリーという感じがするんですがね。ファイナンスだったらアリエネーですよね。




自殺大国 日本

2008-10-09 02:29:37 | 貧困問題
日経平均が大暴落をしているとかで、久々に株価を見てびっくり。

トヨタが3千円近くまで落ちている。
ソニーは2千円代、
日産は500円か。

この数字、最近の最悪期の水準並かそれ以下ですな。

日産がチョー不振の頃、ゴーンさんがまだどこの馬の骨だ、みたいに言われていた頃、ひょっとしてこのおっさんの言うとおりに回復したら500円を超えるかも、まさかね、とかいう水準が500円なんですよ。こないだまで1000円をゆうに越えていたと思ったら、なんじゃこら。

トヨタなんて配当で4%近く回るみたいだし、PBRが1をきるなんて・・・。一応世界を代表する自動車メーカーなんですけど・・・。

米国の金融危機が実態経済に波及するのは、多分これからで、今後、一般の事業会社の業績見通しが悪いとかいうことになってくると、日本の株価ももう一段ひどいことになる可能性もあって、まだまだ底値かどうかわからない怖さはあるものの、これは・・・、って感じですがね。

こんな値段がまた付くなんて、と逆に感動したりして。持っている人にはお気の毒ではありますが。

いくら自動車市場が悪化しても赤字になるわけじゃなし、PBR1倍割れはないよなあ。

まあ、もう正常さをすっかり失っているわけで、東証一部のチョー一流銘柄も新興市場並の動きになってしまっているということですね。株価はいろんな予兆でもありまして、バーゲンハンターにはチャンスでもありますが、社会全体としてはヤな感じです。

BBCは早速、日本の自殺問題を取り上げてますなあ。

Downturn stirs Japan suicide fears

Japan has one of the highest suicide rates in the industrialised world. On average around ninety people kill themselves in Japan every day.

先進国では自殺率がダントツ一位なのは、結構有名なハナシでして、世界では9位なんですね。一日あたり90人というのは、そうですね、年間3万人以上の方が自殺で亡くなっているので、そういう計算になるわけですね。平成18年は3月がピークで一日89人ですね。

Going to work for a Japanese company used to be like joining a family. You worked there your whole life.

かつては会社に就職することは家族の一員に迎えられることを意味してて、生涯その会社で働くということを意味していたが、

But in today's harsher economic climate, that is no longer the case. One in three workers in Japan is now a part-timer, constantly moving from job to job on part-time contracts like Takanori.

現在の厳しい経済環境下、もはやそんなことはない。いまや3人に1人は仕事から仕事を飛び回るパートタイム労働者だ。

This means there's a lot more working poor, a lot more who are worried about losing their job, a lot more people stressed out that they might lose their job," says Professor Jeff Kingston from Temple University in Tokyo.

ワーキングプアが増えていて、仕事を失う心配が増えて、それが自殺増の要因、とかなんとか。どうですかな。

ロンドンエコノミスト誌は、日本の文化問題にも触れてますがね。

Death be not proud


More important would be a change in social attitudes. Suicide might be less common if, rather than force people to endure lifelong shame, Japanese society began to allow its people second chances.

失敗に対する社会の許容度が小さすぎること、つまり会社をつぶしでもしたら一生恥を背負わねばならない、というような非寛容な態度が緩和されれば、自殺率はへるかも、ということなんですね。

まあ、否定はしませんがね。社会の非寛容は大昔からあったわけですが、自殺率は平成10年に急増しているんですな。

地方の自殺率の高さも気になりますな。秋田の高さはダントツです。

少なくともここしばらくの急増は文化の問題じゃありませんよね。ワーキングプアも全くとはいいませんが、もっと直接的に経済悪化でメタメタになっていて、もうやっていけない,という人たちが沢山居らっしゃるということで、そういう状況になっても、逃げ場があればいいわけですが、それがない。

そういう意味で、文化の問題だ、ストレスだ、とかいうのはわかるんですが、こうはっきり傾向が出ているともっと具体的に、直接的に対処するべき問題のように見えますな。

それで、政府も自殺白書をまとめたんでしょうがね。


それにしても深刻ですな。BBCの見出しのように、さらに悪化しないことを祈るばかりなんですがね。

Japanese military suicides on the rise

これは一般とは違うハナシですが、自衛隊の自殺率も上がっているとかで、

In 2001, 59 members of Japan's Self-Defence Forces committed suicide, but that rose to 83 in the 12 months to March 2008.

年間59人だったのが,83人に。

The Japanese military is 240,000 strong, meaning that the suicide ratio has risen to 34.4 per 100,000 people. In comparison, the figure amongst US military personnel – under greater pressures because of commitments in Afghanistan and Iraq – stands at 14.9 per 100,000 service personnel.

10万人に34人というと、日本人平均が24人だったことを考えても高いですね。米軍は15人か。倍以上。これは高い。

ただ、米国平均は11人で、日本平均はその倍以上ということを考えると、自殺率の高さは軍隊特有、ということでもありますかな。

そうは言っても、日本の自殺は無職者が半数以上ということを考えると、自衛官は現職なわけで、やはり異様に高いとは言えますな。

といろいろ自殺については一筋縄ではいかない問題なようで。また、軽々しく結論を出すべきことでもなく、しっかり取り組むべき問題なんでしょうな。毎日90が亡くなって、直接関係する人が各10人居るとして、当事者は毎日増えているわけでして、もう我慢ならねえ、と社会の動きになってもおかしくない数字なはずですね。

まあ、ちょいとこのハナシはずっと引っかかってるもんで、ハナシ長くなりやした。