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【2014年2月16日】 MOVIX京都
映画は、ほぼ忠実に原作の小説に沿って展開されている。
『タキ』が亡くなって、親族が集まる斎場のシーンから、スクリーンのほうは始まっているが、そのあとは平成の時代の、孫の『健史』(妻夫木聡)と年老いた『タキ』(賠償千恵子)の登場する現代と、《小さなおうち》で《女中》をする若い『タキ』(黒木華)や平井家の人々や『板倉正治』が登場する昭和初期から戦争に突入する昔のシーンが交互に登場する。
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昔の回想シーンは、健史が一人暮らしの『タキ』を様子見に訪れ、テーブルの上に置いてある書きかけの『自叙伝』を追う形で展開される。
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タキが2番目に入った家が『赤い屋根のある小さいおうち』だった。おもちゃの製造会社の専務であるご主人と優しい奥さんと一人息子のいる、中産階級の家で、タキがいうには、「《女中》がいるというのは、当時としてはごく普通のこと」という家だった。
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とはいっても、新築の庭付きの家で、趣向のある家具や調度品に囲まれた生活は《普通》ではないだろう。
家にやってくる《男達》の話は『景気』と『戦況の行方』である。《大東亜共栄圏》の構築を目差し中国に《進出》した日本が、「まさかアメリカと戦争をするとは思っていない」というのが、会社幹部も思惑である。だから「当面、自分らの会社の将来には不安がない」、と。
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板倉正治は、彼らとは少し違っていた。景気や戦況の話にはあまり興味がなかった。だいたい、丙種合格*1とされたので、自分に【赤紙】が来ることなどないと思っていた。
*1:徴兵検査で「身体上極めて欠陥の多い者」で「現役には不適だが国民兵役には適する」と判断されたもの
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ところが、戦線は拡大し、アメリカとの戦争も始まり、戦況は悪化する一方だった。鉄くずを材料にする「ブリキのおもちゃ」は生産できなくなるし、家庭にある《金属類》は徴収されるし、会社の経営はおろか日常生活に支障を来すようになる。
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そんな折り、板倉にも【召集令状】が届く。
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戦地に旅立つ板倉に、恋心を抱いている『時子』(松たか子)は会おうとするが、『タキ』は止め、別の提案をする。
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山田洋次は、この映画を《単なる恋愛物語》や《懐古趣味の話》に終わらせていない。
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小説とは、またひと味違った映画をしみじみ考えながら見させてもらった。
(小説のブログの方にも書かせてもらったので、そちらもご覧ください。)
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