◆書く/読む/喋る/考える◆

言葉の仕組みを暴きだす。ふるい言葉を葬り去り、あたらしい言葉を発見し、構成する。生涯の願いだ。

BF#3/感想3(ネタバレあり!)

2005-10-11 02:03:58 | 創作
3.『空の青』 ak

 これは詩形式五篇(『君へ繋がる心と言葉』『そらっぽ』『ひとしずく』『et cetera』『Uの曲線上)のオムニバスである。どこまでも散文的でしかない筆者が拝読しての第一印象は、「僕」と世界(または君、自分自身)との折り合いに苦しむ姿だ。ここに、ある種のリアリティーを感じた。

 たとえば『君へ繋がる心と言葉』で、作者はこういう。

  ココに/どんな言葉を並べても
  きっとそれは/僕の本当の気持ちじゃない
  …(略)…
  言葉より確かな何かがある/今 それを捜している途中さ

 POPな言葉で詩を書きつむぐ作者が「言葉より確かな何かがある」というのだから、ここに言葉への絶望などを読みとることも可能だ。しかし、もちろんそんなことが言いたいわけじゃない。逆に、最後のフレーズ「言葉より確かな何かがある/今 それを捜している途中さ」にピタリと定着されるものを感じる。これを「行間を読む」とか「描きえないものを描く」とか説明するのはクリシェでしかないだろう。筆者としては、言葉にたいする作者の佇まいにただ脱帽するばかりだ。ほかにも好きなフレーズはあるが、ここでは引用しない。
 また五篇のうち最も好きなのは、四番目に配された『et cetera』だ。それまで詩に纏いついていたある重さが、ここで急に霧散させられるかのように。だが、たとえここに重力からの開放と読みとったとしても、秀逸の一品は悲しみを残響させるのだった。 《続》



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