◆書く/読む/喋る/考える◆

言葉の仕組みを暴きだす。ふるい言葉を葬り去り、あたらしい言葉を発見し、構成する。生涯の願いだ。

アベノミクス再考

2013-04-19 04:25:16 | 社会・政治
 よくなるといわれる景気ですが、全然よくなりませんね。そこで、派手に宣伝されるアベノミクスを初歩から考えてみます。よかったら、みなさんも、ご一緒にどうぞ。

 まず、アベノミクスでよくいわれる物価目標2%です。前年よりも2%だけ物価が高くなることでいいですよね。その時点で消費税を8%へ、ついで2015年に10%へ増税します。政府は最低2年で10%増を達成すると意気込んでいます。この物価目標は、民主政権時代に民自合同で決定されました。物価高がデフレ脱却を意味し、景気回復の指標になると考えられました。

 ※黒田日銀総裁:2%の物価目標を2年念頭にできるだけ早期に実現する(Bloomberg)

 需要と供給の関係から、物価をあげるためには国民の購買力を高めることが普通に考えられます。ところが、その政治は民主党で破綻し、不可能と断定できないまでも時間がかかりすぎるように思われます。そこで、大規模な金融緩和が計画されました。

 物価目標は世界の多くの国が取っている経済政策のひとつで、インフレターゲットにほぼ同じ。日本を除く各国はインフレに苦しみ、物価目標2%をインフレ鎮静化の目標にしています。アベノミクスの値上げ目標とは話が逆です。

 ※インフレ目標政策(はてなキーワード)

 日銀を使った大規模な金融政策で、この値上げ目標を実現できると考えるのがアベノミクスです。日銀が貨幣を大幅に増加させると、世界のなかで円の価値が下がります。そのままでは富を目減りさせる円の購買者は、円売りに走り、簡単に円安が実現されるだろう。為替操作ですね。円安によって輸入品の物価が上昇するから、国内物価はつられて上昇するだろうし、物価統計上は高くなると。

 ※輸入物価、円安で急上昇 製品への転嫁が焦点(日経)

 たしかに大規模な金融緩和のため、円安は100円近くまで達成されました。ところが、困ったことが起こります。石油など輸入品の物価が国内物価の上昇を招くはずなのに、そうなりません。国民の購買力があがらないので、その他の物価は据え置きです。それどころか、風評被害のため東北地方の生産物は安値を示しています。

 ※金融緩和策で物価を上げることはやはり難しい(exiciteニュース)
 ※2月消費者物価は4カ月連続マイナス、予想より小幅-失業率は悪化(ブルームバーグ)

 金融緩和のキーワードは国債です。国債は国家が発行する借金の証文で、出したお金と引き換えに出資者が入手します。5年後とか10年後とか、いろいろありますが、購買額の返還(償還)と利子を約束しています。第一の買い手は、市中銀行や証券会社などの金融会社です。他の法人や個人が購入したい場合は、それらの金融機関からになります。

 歴代の政権によって赤字国債が積み重ねられ、財政を悪化させていると聞いていましたよね。それ以上の国債は発行しにくい雰囲気がありました。借金時計とかもあったし(笑)。この警戒心を無根拠なものと断定し、ふたたび大規模に国債を発行するのがアベノミクスの骨子です。日本は借金大国ではないんだと。海外資産をふくむ日本の総資産が、財政赤字を上回ってるのが背景になっているようです。

 ※赤字国債を減らす不断の努力が必要だ
 ※「国の借金」の推移(時事)

 大量の国債発行によって国家財政はうるおい、財務省の金庫に何兆円もの現金が積み重ねられます。そんなローンで借りたようなお金を集めて、政府はどう使うつもりでしょう。

 高度成長時代に建設したインフラの補修が口をあけて待っています。2012年12月に起こった笹子トンネルの事故がセンセーショナルに報道され、インフラの老朽化は国民の間で認知されました。世論の形成は十分。その後、日本の道路は建設会社のドル箱になっています。ついで軍事費。普通なら不況下での軍事費増は政府にとって困難ですが、北朝鮮の挑発はわたりに舟でした。これもセンセーショナルに報道され、国民の間に軍事費の増大にたいする世論が形成されています。

 しかし、このままでは安倍政権は亡国の政権です。いくらインフラに税を投入しても、国民生活は向上しない、というのが、高度成長が終わりを告げた教訓そのいち。また軍事費増は、米国から輸入しない武器の関連会社がGDPを押し上げますが、日本の産業構造は追いつきません。

 株高はどうでしょう。円安と株高はアベノミクスを派手に演出し、日本に、いや世界に、日本の経済復興を印象づけています。

 そこで、「株」(株式)を小中レベルで復習しておきます。知識がいつも上ヅラだけなら、世間の常識に振り回されてゾンビになる可能性が。

 株にも多種あるようですが、雑把には、企業がカネ(資本)を入手するため、証券会社をつうじて市場に売り出します。額面が100円の株を100万個(枚)だけ発行し、それを全部買ってもらえたら、会社は1億円を手にできます。

 合法的に会社がカネ(資本)を入手するため、銀行から融資を受ける方法がありますよね。実際には、多くの企業にメーンバンクがあるので、そこから多少の融資を受ける必要があります。じゃないと、銀行は企業の要望に耳を貸してくれません。銀行の態度はデカイ(笑)。

 受けた融資には、利子がつきます。払わないと借金に。その点、株はご気楽です。買ってくれた人(株主)にサービス提供や金銭での配当を行いますが、義務化されていませんし。それも業績次第。企業は実際、何回も株を発行して増資します。

 一度売り出した株の値段が上がっても下がっても、基本的には株を発行した企業に関係ありません。儲けも損もないのです。ただ、自社株買いはあります。不況で下がりすぎた自社株を自社で買い取って、株価を押し上げるのです。プライドのためですね(笑)。

 ※自社株買い(GLOBIS.JP)

 なぜ、株価は上がり下がりするんですか。無料のお食事券とかサービスがほしい?配当を期待する?資本主義の前期には、それが株を欲する動機だったはずです。ついで、ほかの商品みたいに、すでに発行された株をほしがる人と売る人の間に売買が生じます。株が売買できる、うまくいけば大儲けできると、やがて人は気づくのです。、

 株の売買は人の思い(欲望)にしたがって行われます。アベノミクスによる日経平均の上昇は、貨幣量などの経済学的な論理に従っているのではなく、国内と世界に形成された儲かるムードに乗って起こっています。

 ポイントは2点あります。株価の上昇は、企業の儲けや体質の改善などと無関係である。もうひとつ。株価の上昇は、経済学的な理論や論理に無関係である。

 では、株で儲けられる思い(欲望)は、どこからきたのか。円安誘導のためですよね。政府は大規模な国債発行を行い、それを一度、市中の銀行や証券会社などの金融機関に買い取らせます。それをふたたび日銀が買い取る保障を与えて。保障がなければ、不況下なので引き受けません。

 市中の金融関連会社が引き受けた国債を、黒田・日銀が買い取ります。国内の金融会社には現金が山積みされます。ご存じのように、現代の銀行はなかなか融資しません。鳴かない鈴虫は、じゃあ、どうしたらメスを、いや利益を得るのでしょう。

 まず株。あとは外貨を、国内外の国債など各種金融証券を売り買いするのです。現代の銀行は江戸時代の両替商から引き継いだDNAを自己改造し、投資銀行に変身しました。投資銀行と言えば、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、倒産した米国のリーマン・ブラザーズなど、だれでも名前だけは聞いています。

 したがって、銀行の融資を当てにしても貨幣は市中に流通しません。そんな物語は、すっかり神話になりました。株価上昇の直接の原因は、まず国内の銀行や金融機関で形成されたジャパン・ファンドが大量の買いに入ったからでしょう。

 ※銀行、迫られる融資先の発掘 日銀の国債購入強化で
 ※大手行、新規融資の意欲後退-政府系金融は積極的

 これを海外のファンドが見過ごすはずはありません。のみか、それ以前から大規模な金融緩和は宣伝されていました。緩和後の出来事を予測できないファンドはいません。こうして国内外のファンドが日本株で儲けようと買いに走り、日経平均を押し上げているのでしょう。株の売り買いも激しい。株価の上昇局面では、利益を確定しようとする思いと、もっと上がるだろうと予想する思いの間で株がやり取りされます。金持ちはもっと金持ちになり、少し金持ちは少しだけ金持ちになり、貧乏人は貧乏なまま。

 トヨタなどの輸出産業は買いの目玉です。円安によって業績の好転が見込まれると、買いが殺到します。利益の確定売りも殺到します。日本の富の一部は外国に流れていきます。

 ご推測のように、株の売買がグローバルに行われる現代では、巨大な外国ファンドの浴びせ売りが危機となって迫ります。大量に買いに入って、十分に上がったと判断すれば、外国ファンドは容赦なく瞬間売り(利益の確定)に走ります。株価は暴落します。それを禁止する法律はありません。

 儲かる欲望に火がついた金持ちや、少し金持ちは、株を売っては買いつづけます。株価の暴落に無縁なのは、貧乏人だけ。貧乏ばんざーい!!

 はっきりしたことがあります。株価の上昇は、国民生活の全体には無関係です。そのくせ暴落すれば、政府は税をつぎ込んで金融機関の救済に奔走し、世間はさらに不況に追い込まれます。じゃあ、アベノミクスって何?その答えは、物価の上昇と消費税、政府財政の使われ方にかかっています。これは政権の性格によって決められます。

 このあたりで、アベノミクスのお話は限界になりました。筆者の実力の問題があり、また、この先は近未来の予想問題になって、個人的な思想に話が歪められる恐れがあります。みなさんで、よくお考えを。ということにしておきます。草々。v(^_^)v

インフレ、増税

2013-04-01 10:33:07 | 社会・政治
 1年後、消費税は5%から8%へ。4年後、消費税は10%へ。
このぶん物価は上昇し、円安のため、石油など輸入品が値上がり。
普通の日本人に、電気製品・車など輸出品の値下がりは関係なし。
また、そろそろ政府は財政再建をいいだし、他の増税もありえる状況。

 給料、上がりました?全体に景気はどうですか?

NHKBS1で『ドイツ海賊党』のドキュメントをみた

2013-03-04 07:02:31 | 社会・政治
 大好きなアクションもあったのに、これだけ目が引きつけられたのは久しぶりです。多くの方が鑑賞されただろうし、なにをいまさらとも思いますが、その後の話題に上らない事情を知ってか知らずか、『海賊党』のささやかなサポート発言を以下に試みるハメとなりました。

 『海賊党』は、ネット社会を最大限に利用する政党です。というか、ネット社会の政党と断言したほうがいいかな。というと、興味より恐怖を覚える方もいらっしゃるか。せっかく一本指でキーを叩けるようになってみれば、ウイルスだワームだ警告だと脅かされ、遠隔操作されたパソコンのために犯罪者になっちゃうなんて。「こんな社会、あたしゃ信じてないからね!」なんて方もいらっしゃるでしょう。

 ちょっと脱線してネット社会の恐怖を語れば、カネの問題が中心なんですよ。ネット銀行に登録された自分の財産が、悪者に奪われる。グローバルなカネのやり取りが発達した今日、ネットの安全が保障される必要があります。これがセキュリティー問題。おばさま、おじさまが一本指で操るパソコンからナイフが飛出し、薄くなった胸をひと突き、なんて事件は起こりません(キッパリ)。まあいいや。

 ところで、ネット社会の政党だといえば、すぐ「ネット世代」の話が始まります。BS1のドキュメントでも同じでした。しかしドイツ海賊党メンバーの実写をみると、若者にまじってご老人もいる。当たり前ですよ。一口に「ネット世代」といいますが、パソコン、スマホだけじゃなく、一般のケータイを含めると、世界のネット利用者は激増してます。一連の中東革命をあげるまでもないですよね。いまでは「ネット世代」は死語に近い。

 mixiやtwitterなどのSNSが好例ですが、党員のだれもが、議論の内容をリアルタイムで読めて、しかも議論に参加できる。非党員には議論が読める。そんなシステムは構築できます。こうして議論を可視化し、多数決で結論が得られるまで、一週間でも一か月でも議論をつづけることがネットでは可能になります。

 問題になるのは、党員の、いや国民の議論リテラシーです。これがあんまり低いと、議論は踊るがなにも決められない。そのうち党員が分裂を繰り返し、本来の海賊党は日本に根付かないでしょう。

 しかしmixiやtwitterをみると、やっぱり日本人はすごいとの印象。なかにはバカもいる(阿修羅コメント欄w)が、小中高の厨房をふくめて、日本人の能力は高い。議論が可視化され、まして結論が最終の多数決だとすれば、この傾向はさらに高くなっていくでしょう。

 ドイツ海賊党のドキュメントをみるかぎり、議論は徹底してネットを利用するほうがいいようです。議論をリアルに行うと、マイクの前に整理できない人々が並ぶ。ローマ以来のリアルな論争には、弁論者の収容能力に困難があったと気がつきます。これでは民主主義の保障は限られる。また少数の人によって、リアルな議論が破壊される危険もあります。筆者よりバカがいる(笑)。これにたいして、いまの技術レベルでも99%の安全は保障できます。議論の参加者が頭にタンコブを作る危険なら、100%起こらない(笑)。

 多数決で決まった議題を基礎に、党員がリアルに集まって大会を開くのには意味もあるみたいです。オフ会なんですよ。また実際の選挙活動では、パンフレットの配布、通行人との会話、街角に立つなど、従来の選挙方法も必要になるといいます。

 ここには、「党内」という狭い範囲でも、民主主義が成立している点が重要でしょう。すべてが可視化され、議論への参加が保障され、メンバー数の上限は可能なかぎりオープンになり、しかも全国の情報まで開放されます。といえば、日本のどんな組織でも、秘密秘密の密室政治が行われてきたと気づきませんか? 私企業は除くとして、どんな政党も、どんな公益団体も。「国民のため」なんてうそぶくマスコミも同種族!(BS1はエラかった)

 こうしたネット社会の政党が育成されていけば、従来の既得権益など壁じゃない。やがて内部リーク(誤報誘導もあり)も起こるだろうし、いくら詭弁を弄しても、国民の監視には耐えられない。絶対多数の威力。 

 すべて国民に可視化された情報、議論、結論、行動、反省。これが民主主義を支える基盤でしょう。国民の「代表」を建前にして、裏で自分の利益を追及できるシステムは破壊される必要があります。言語的には奇妙ですが、民主主義を現実化するネット政治。

(注)ウイキペディア:日本海賊党

石原新党の旗揚げで「平時モード」は終わった。

2012-10-29 08:56:28 | 社会・政治
石原新党の旗揚げで「平時モード」は終わった。政治家が本能のままに動き出すこれからの政局では常識が通じないことが起きるかもしれない(高橋洋一 ニュースの真相)


10月25日、石原慎太郎東京都知事が辞職を表明し、石原新党結成を表明した。石原新党はさっそく維新の会との連携協議へ話が進んでいる。橋下徹日本維新の会代表は「報道されるほどの違いはない。政策の大きな方向性は同じ」と語っている。

 また、28日のフジテレビ報道2001で、渡辺喜美みんなの党代表は、石原新党との連携で「まったく妥協しないという意味ではない。基本政策や政治理念が一致すればいい」と述べた。これに対して、みんなの党が方針を一転させ、石原新党との連携に前向きと報じられている。

 このような政治家の動きをどのように説明すべきだろうか。

 ■「政策で一致しない」というのは簡単だが

石原新党に昇華する「たちあがれ日本」の政策を調べ、「首相公選制は採用しない」、「最新型の原子力発電所への更新・新設を認める」、「道州制はとらない」、「消費税増税を推進する」といったフレーズを見つけて、「日本維新の会」との政策の差異を指摘することは簡単である。また、これらの政策は、「みんなの党」とも真逆であるのも明白だ。

 また、石原氏は「原発や増税は大事だがささやかな問題」と言った。その後に「選挙の後に考えればいい」といった。これも、従来型の数合わせ、野合といえる。ただし、脱中央集権の一点だけをまずやる、その後に原発や増税を考えるともしも言い直した場合、それは政治家の価値観であって、ものはいいようで野合でなく大同小異といわれるかもしれない。一点豪華主義でも、きちんとしたゲームプランがあれば、選挙になる。

 石原氏は、何度も「日本でバランスシートがない」といった。これも単なる事実誤認であろうが、それをあげつらうのはやめておこう。会計検査院のほかに、外部監査をやればいいだろうという主張なら、多少は理解もできる。会計検査院や国会が役目を果たしているというのは形式的な官僚答弁だからだ。

 今回のタイミングは、尖閣諸島で問題を大きくしたことや息子の石原伸晃氏が自民党総裁選に惨敗したこともあるだろう。いずれにせよ、何かしなければという気持ちがあることはわかった。

 実は、25日の石原氏の会見後に、石原氏に近い財界人から電話があり、感想を聞かれた。正直いって、今回は参ったのだが、上のようなありきたりの話はせずに、「自分で流れを変えられる政治家が、流れをかえようとしているのはよくわかった」としかいえなかった。

 いずれにしても、筆者を含めて第三者的な解説をする人は当事者の政治家のパッションをあまり理解していないのかもしれない。なにしろ、政治家は自分なら事態を変えられるという、ある意味で「狂気の人」の集まりなのだ。だから、客観情勢を分析して、こうなるという第三者には予想外の事態になる。

 ■ロジックを超えて突っ走った小泉総理の郵政解散

 筆者はかつてそうした経験をしたことがある。小泉総理の郵政解散だ。その当時、解散すれば自民党は大敗するという分析ばかりだった。そのときの、自民党の選挙公約は、郵政を変えれば日本が変わるというものだった。とてもロジカルとは言いがたい。しかし、それを公言できるのが「政治家」なのだ。

 石原氏の話も、細部では事実誤認もあるが、全体として年老いたとはいえ必死さが伝わるものだった。そして、自分で流れを変えるという、どこかドンキホーテのようなところもあった。本当にドンキホーテなのか、実際に流れを変えるのかは後でなってみなければわからない。

 例えば、今衆議院が違憲状態になっているが、年内解散・総選挙は、仮の「ゼロ増5減」の選挙制度改正法が国会で通っても、現実の選挙区区割り作業を考えると、絶望的だと普通の人なら思う。しかし、石原新党の余波で、都知事選の12月16日投開票にあわせて、衆議院選挙の目もでてきたというから、政治の世界はこわい。

 今のところ、石原氏は、猪瀬直樹副知事の名前を後継候補として上げたが、猪瀬氏も態度を明らかにしてない。今は名前が出ていない人も虎視眈々と12月16日を狙っているだろう。まさしく石原氏が都知事を辞めなければ起こりえない話が現実に起こりつつある。

 こうした動きが水面下で進むと、一気に都知事選、衆院選のダブルという可能性もでてくる。普通であれば、ありえない選択であり、都知事選があるとそれだけで年内の衆院選はなくなったと読むのだが、そうした常識は通じなくなる可能性がでてきている。

 政治家は、平時ではロジックの「政策軸」と情の「人間軸」の二つの座標軸によって行動パターンが読める。一般的には若い世代の政治家では「政策軸」の要素が大きい。年配の政治家では「人間軸」で考えがちだ。

 橋下氏と渡辺氏は、比較的「政策軸」がぶれずに議論してきた。ここに、石原新党の登場で、平常時モードから危機モードに変わったと思う。危機モードの時には、この二つの軸に、「直感」「実感」「大局観」という政治家の「反射神経軸」が加わると考えている(この三カンの反射神経は渡辺氏の十八番)。

 石原氏、橋下氏、渡辺氏はいずれも、自分で流れを変えられる政治家である。その政治家たちがが本能のおもむくまま、「反射神経軸」で行動したら、政治の一寸先を読むのは至難の業になる。ひょっとしたら、野合ではなく、大同小異、幕末の歴史をひもとけば、薩長連合になるかもしれない。

 ■政策を信念で押し通す政治家は多くて2割だが

 とはいうものの、石原氏、橋下氏、渡辺氏はそれぞれカリスマある政治家で互いに議論もでき連携、協力関係もできるだろうが、政党としての連携を考えると、かなりハードルは高い。

 日本維新の会とみんなの党は、基本政策を11月末までにまとめることで合意している。これまでに両党が発表しているものを見てもかなり類似しているので、党のレベルでもまとまるだろう。問題はたちあがれ日本だ。さきに述べたように、かなり違っている。ただし、たちあがれ日本は与謝野馨氏が抜けたので、政策のうるさ方はいなくなった。

 これまで多くの政治家を見てきたが、ある政策について信念で押し通す人は1割から多くて2割、逆に本気で反対する人も1割から2割、後の残りは政策の賛否で特段の主張はなく大勢に流される。石原氏に白紙委任し個別政策である程度妥協すれば、石原氏、橋下氏、渡辺氏の間で基本政策・理念のレベルで合意する可能性はゼロとはいえない。

 問題は、これで有権者が納得するかどうかだ。野合なのか大同小異、薩長連合なのかは、カリスマ・トップの持っていき方次第であるが、はたして各人の発信力で批判を超えられるかどうか。石原氏は別としても、たちあがれ日本は旧来の自民党そのものとういう批判はある。幕末の薩摩のように倒幕に立ち上がれるか、どうか。

 ここに、第三極として、小沢一郎代表が率いる「国民の生活が第一」が加わると、もう訳がわからない。国民の生活が第一は、政策軸だけをみると、脱原発などで、表面的には日本維新の会やみんなの党と似てなくはないが、TPPや民営化では決定的に違うので、政策面で妥協は難しい。もっとも、石原氏が小沢氏とは絶対に組まないと明言しているので、小沢氏は別の第三極を目指さざるをえないだろう。

 いずれにしても「反射神経軸」の政治家は本能そのままなので、格好の観察機会になることは間違いない。


憂鬱な日々(クソッ!):地方であいつぐ自民・公明系の巻き返し

2012-10-28 22:24:32 | 社会・政治
以下NHK ONLINEより

■鹿児島3区補選 宮路氏(自・元)が当確
野田政権の発足後、初めての国政選挙となる衆議院鹿児島3区の補欠選挙は28日に投票が行われ、自民党の元衆議院議員で公明党が推薦する、宮路和明氏の7回目の当選が確実になりました。

宮路氏は71歳。
平成2年の衆議院選挙で初当選して以来6回当選し、この間、厚生労働副大臣などを務めました。
今回の補欠選挙は、松下前郵政民営化・金融担当大臣の死去に伴って行われ、去年9月の野田政権の発足後、初めての国政選挙となりました。
臨時国会の召集を控え、衆議院の解散・総選挙を巡る駆け引きが活発化するなか、自民党は、与野党の対決となった今回の補欠選挙を政権奪還に向けた前哨戦と位置づけ、安倍総裁や石破幹事長らが相次いで応援に入って総力戦を繰り広げました。
そして宮路氏は、自民党や公明党の支持層を固め、7回目の当選を確実にしました。

■富山県知事選 現職・石井氏の当選確実
任期満了に伴う富山県知事選挙は、28日に投票が行われ、無所属の現職で、自民党、国民の生活が第一、公明党、みんなの党、国民新党、それに民主党富山県連が推薦する石井隆一氏の3回目の当選が確実になりました。

石井氏は富山市出身の66歳。
総務省の自治税務局長や消防庁長官などを経て、平成16年の富山県知事選挙で初当選しました。
今回の選挙戦で石井氏は、推薦を受けた政党などの支援を受けて選挙戦を展開し、これまでの2期8年の実績を強調するとともに、平成26年度末に予定されている北陸新幹線の開業を見据え、地域経済の活性化などを訴えました。
そして幅広く支持を集め、3回目の当選を確実にしました。
石井氏は、「2年余りあとに開通が迫った北陸新幹線をはじめ、富山県の陸・海・空のインフラ整備は、大きく前進した。富山県がもっともっと元気になるよう、また県民が未来に希望を持って幸せな人生を送れるよう、そのための基盤づくり、条件づくりに、全身全霊をかけて取り組みたい」と述べました。

■岡山県知事選 伊原木氏の当選確実
新人4人の争いとなった岡山県知事選挙は28日に投票が行われ、無所属の新人で自民党、公明党、たちあがれ日本が推薦する伊原木隆太氏の初めての当選が確実になりました。

伊原木氏は、岡山市出身の46歳。
岡山市に本店を置く老舗デパート、「天満屋」の社長を14年間にわたって務めました。
4期16年務めた石井正弘知事が引退を表明し、新人どうしの争いとなった今回の選挙で、伊原木氏は、自民党、公明党、たちあがれ日本から推薦を受けたほか、数多くの企業や経済団体などからも支援を受け、選挙戦を展開しました。
そして、経営者としての経験を県政運営に生かすとアピールするとともに、産業の振興や教育の充実などに取り組みたいと訴え、推薦を受けた自民党や公明党などの支持層を固めるとともに、いわゆる無党派層からも支持を集め、初めての当選を確実にしました。
伊原木氏は「立候補を決意してから県内各地を回り、多くの方から励ましのことばをかけていただきました。知事の仕事をさせていただけることになり、こんなにうれしいことはありません。私を支えてくれた皆様に必ず仕事を通じて恩返しします。働きがいがあり、住みやすく、子どもたちのために夢のある岡山にしたいと思っています」と述べました。

■多少は憂さ晴らし:
【天皇賞・秋】デムーロ「特別な日に勝てた」


茂木健一郎 クオリア日記「民主党による政権交代の後に起こったこと。」

2012-09-18 18:33:24 | 社会・政治

 次の総選挙が近いと言われている。日本をよりよい国にするために、私たちが直面している政治的な課題は何か。今後の日本の道筋を見極めるために、直近の過去を振り返って整理しておきたい。

 2009年の民主党による政権交代は、戦後ずっと続いていた自民党による長期政権に終止符を打ち、日本にも、世界の民主主義国で標準的な本格的な政権交代のスキームをもたらすものとして注目され、期待された。

 課題になっていたのは、日本の統治機構の立て直しであった。戦後、長期政権が続いてきた中で、官の力が強くなりすぎたと多くの人が感じていた。民間の活力に基づく国の再生を図らなければ、日本の復活はないと考えられていたのである。

 ここで、大前提として確認しておくべきことは、民主党が政権交代の課題として挙げた構造改革や、霞ヶ関の統治機構の立て直しは、統治機構をよりインテリジェントで「筋肉質」のものにするという意味で国の発展に寄与し、国力を向上させるという意味において、最終的には霞ヶ関の官僚機構の利益にも適うはずだということである。このまま、「既得権益」にしがみついていても、そもそもその「パイ」自体が先細りになる。思い切って、自分たちの権益の成り立ち自体を懐疑することで、結果的には国が発展し、霞ヶ関の利益にもなると期待されるのである。つまり、ウィン・ウィンのシナリオが、そこにはあるはずだった。

 民主党の2009年マニフェストに挙げられた、「国の総予算207兆円の組み替え、税金のムダ使いと天下りの根絶」、あるいは「地域主権の確立、地方の自主財源の増額」といった政策は、以上のような日本の未来を見据えた政策課題として、適切なものに思えた。民主党の掲げたマニフェストに多くの有権者が共鳴したからこそ、民主党は勝利を収め、政権交代が実現した。

 このような期待にも関わらず、周知の通り、民主党政権は失速した。東日本大震災と、福島第一原子力発電所の事故という予期せぬ出来事があったとはいえ、失速の根本原因は、民主党がマニフェストに掲げられた精神を忘れてしまったことである。

 民主党の挫折のきっかけになったのは、政権交代の立役者だった小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏にふりかかったネガティヴ・キャンペーンだった。さまざまな政治家がいる中で、霞ヶ関の既得権益にメスを入れようとしていた二人について、負の情報が吹き出したのは、果たして偶然だったのだろうか。結果として、鳩山氏は首相を辞任した。陰謀史観をとるかどうかは別として、小沢氏、鳩山氏が民主党の要職から外れたことが、民主党による日本の改革を失速させたことは確定した歴史的事実である。

 鳩山氏の辞任を受けて首相の座についた菅直人氏は、小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏に対して理解しがたい「処分」を行うことで、民主党の創設者たちを排除する挙に出た。小沢、鳩山両氏にふりかかったネガティヴ・キャンペーンが民主党による改革の挫折のきっかけとなったとすれば、菅直人氏は、その猜疑心と利己主義のかたまりのような振る舞いによって、改革の担い手としての民主党を、根底から無力化したと評価されざるを得ない。

 そして、菅氏に続いて首相に就任した野田佳彦氏は、マニフェストにはなかった消費税増税を最も重要な政策とみなすに至った。日本の財政のためには必要だったという論をとるにせよ、結果として霞ヶ関の官僚組織にとってはもっとも扱いやすい政権になったことは否定できない。
 
 こうして見てくると、民主党が政権についた後の歴史は、改革へ向けた力の急速な無効化と、霞ヶ関の倫理に親和性が高い政権への堕落だったことがわかる。これは、霞ヶ関にとって、本当に「勝利」なのだろうか。日本という国の活力が低下し、ますます斜陽化し、国全体としての「パイ」が小さくなる結果になっても、霞ヶ関の官僚たちは満足なのだろうか。

 民主党による政権交代という改革への試みが失敗に終わったことは、日本にとってほろ苦い経験だと言うしかない。グローバルな競争の激化の中、構造改革は不可欠である。統治機構が、よりインテリジェントで筋肉質なものになることは、霞ヶ関自体の利益にも資するはずである。「維新」などの第三極が注目される今、日本政治の課題が何なのか、鳩山、小沢両氏による試みの原点にさかのぼって、考えてみる必要があるように思う。

9月 11, 2012 at 08:31 午前 | Permalink


多くの国民が依然失業、中間層への増税は避けるべき=米大統領/ロイター

2012-08-07 11:28:19 | 社会・政治
かつては銀座に辻立ちして、「ゼイタクは敵だ」と説法した挙句が、軍人と公家関係者を注意深く除いた金持ちの家に、嬉々と押し入って破壊のやりたい放題。そんな優秀で誇り高く、独立自尊、清廉潔白な大日本帝国のわが旧国民たちだったが。この時期の消費増税法案が、二度とリングに立てない日本沈没をもたらす、と、一回くらいは耳にしたはずの賢い新国民だ。いつだって増税の自・公とIMF大好き民主が野合し、増税法案が可決されても、タッチの差で目の前を過ぎた流しソーメンなど、鼻にもかけない極楽浄土の温厚紳士を、まさか気取らないよな、やらないよなと予想したって、やりそうなんだな、これが。

そこで今回は、米大統領のメッセージだ。

[ワシントン 3日 ロイター] オバマ米大統領は3日、7月の米雇用統計を受け、失業している国民は依然非常に多いと述べ、共和党の税制案では微妙な時期に中間層の負担が増すことになるとの考えを示した。

大統領は、ホワイトハウスで開催されたイベントで「求職中の国民は依然非常に多い。こういった人々のために、まだやるべきことがある」と言明。

「リセッション(景気後退)からの脱却にあえぐ中間層に増税を課すことは最も避けるべきだ。力強い経済の再建は、中間層が立ち直ることから始まる」と述べた。

(引用ここまで)

政権交代で、バッチリ知恵つけた日本の新国民だ。「大統領選の嘘クサイおしゃべりじゃねーか。ケッ!」、と、ヤサグレた一言も投げつけたくなるだろう。しかし、昔の自民党にも官僚にも、エライ人はいたらしい。
その話をちょっとだけ。「所得倍増」を閣議決定('60年)した池田内閣は、出発点のGNP13兆円を10年で2倍の26兆円にするって、それこそ妄想っぽい膨大な計画を打ち出した。が、なんと、その後の経済成長率は平均11%、倍増計画は7年で達成の暴挙、いや快挙だった(Wiki)。

その「所得倍増」計画の裏に、大蔵省のイジメられ官僚、下村治氏(しもむらおさむ。明治43年、1910年生まれ。東京帝大経済学部卒)がいたのは、いまじゃ有名な話らしい。このあたりの事情は、中野剛志氏× 柴山桂太氏の『グローバル恐慌の真相』(集英社新書、¥777)にも詳しいが、「所得倍増」計画の根幹は、健全な大多数の中間層を育て根付かせることにあったのだ。

これが、大企業と金持ちの優遇税制とか、グローバリズムを理由にしたリストラと安価な契約社員への切り替え、デフレ圧力を拡大・深化させるTPPなどと、国内の格差拡大を推し進める野田・民主政権にたいして、真逆に作用する経済政策、政治だったことは、ナデシコ・ジャパンの激戦を見るより明らかだろう。

金を貸してやるかわり世界経済を誘導する、というIMF、および世界銀行の経済指導は昔から間違っていた。間違っていることすら、政治的に意図的に行われてきた。定年を間近にした官僚に莫大な持参金を持たせ、そこに喜んで天下りさせる財務省と政権は、カエルとウサイン・ボルトを競争させるくらい間違っている。ということが、引用したオバマ氏のメッセージからも、じゅうぶん理解できるのであった。

 ※参考1:嫌われ経済学者スティグリッツ(Newsweek)
 ※参考2:「所得格差が成長阻害」(産経)
 ※参考3:スティグリッツ氏「野田政権の増税は間違っている」(日刊現代)      
 ※参考4:スティグリッツによる日本経済再生の処方箋(黒木玄)

いまの政権やマスコミのメッセージとか、余録や天声人語などを、いい加減に聞いたり読んだりしてるだけじゃ、大日本帝国人民の「ぜいたくは敵だ」が武蔵・大和を轟沈させたどころか、この日本は、ほんとうに小松左京氏が描く、『日本沈没』の世界に引きづり込まれる、って話でもある。あとは、筆者をふくめた賢い新国民(笑)の全員が考えること。100%確かな未来への処方箋は、誰にもないんだから。

政局は面白い、だが・・・

2012-07-12 18:18:51 | 社会・政治
とうとう小沢氏が民主党を離党して、新党「国民の生活が第一」をぶち上げた。小沢新党は強風を吹き起こすか、あえなく微風で終わるのか。国民が二分されたかのように、マスコミとネット住人が、はしゃぎ回ってお祭り騒ぎだ。でも悪くない。

ことは消費税10%をゴリ押しした、野田・民主政権の爆走に原因がある。というか、それしか印象にない。「心から、心から、心から」と増税の成立を党議員に訴えたので、野田首相の信念は梅干し、梅干し、梅干しの種、3個分くらい呑み込みにくいわけだ。

消費税は重税だ。賃貸料を除くと、残りの収入の、ほとんどすべてを消費生活にブチ込む貧乏人にとって、銃口で胃袋が狙われる悪夢そのもの。なぜって、消費に10%の出費増だろ? さらにプラスして、売り上げの10%を減じる会社は給料を10%減。合計20%の負担増なんだから、ご気楽トンボもビックリ仰天のトンボ返りだ。

増税で100円マックの人気が炎上、ついで、メタボな日本人が激増する、って小田嶋先生らの予想もある。でも投稿者なら、痩せた日本人の激増に賭ける。平均年収250万円以下のタクドラに、メタボって、めったに見かけないだろ(笑)。こんなに胃袋が騒いで落ち着かないのは、初恋の胸苦しさ以外に記憶がない。

消費税で思い出した。急に国会でニコニコ笑い出して、「消費税を10%にするぜ」と宣言したのは、野田首相の前の菅氏だった。直後の一斉地方選と参院選で大敗したので、あのニコニコ顔も反省しているはずだ。と、国民は大いに期待したが、猛省したのは国民のほうだった。菅から政権を引き継いだ首相が、脂ぎったご尊顔のドジョウ目玉をギロ~ッと動かし、消費税10%を抱えたまんまダッシュしたんだから。輸出企業は戻し税、マスコミ各社は免税。「法人税減税+富裕層減税+消費税増税」(新自由主義・トリクルダウン理論)ってのもある。

Oh、no。ビリビリくる。
日常がハードロックだ!!

おかげで野田氏は菅のために、やせ細ってしまった参院の民主党に苦労する。そこで、「ノーサイドでやろうじゃん」。独自の政策を投げ捨て、自民・公明を誘惑しまくった。自民も公明も、同じ増税党なので誘惑されましたー。菅、野田・民主と自民・公明は、同じ党の別会派みたいなものだな。

米軍輸送機オスプレイも同じで、面白いぞ。はじめ菅から「オスプレイ」って聞いたとき、NHKの「Life」でメスに示威行為する哀れなオスを連想した。この米軍機は、あっちこっちで墜落事故を引き起こし、つい最近も、フロリダに落っこちて炎上。

こんな欠陥兵器、なんで日本にもってくるのさ。オスプレイは船荷して、いまは日本航路の途上らしい。輸送機が輸送船に乗せられて、ってオヤジ・ギャグじゃないから。飛べよ! どーしようもない飛行機だな。日本政府は「No!」といわないのが、とっても不思議。アメリカの植民地じゃないんだろ、守ってくれる、の一言で自主性を失ってるのが理解できない。それって、弱い政府ってことじゃないか。欠陥兵器に守られて、この国は強くなるんだ。ほんと、菅・野田政権は面白い。

国内の米軍基地に配備されたあと、オスプレイは日本中を飛び回って訓練するらしい。その途中のどこかで墜落炎上は、運命みたいに決まっている。とうより、アメリカ国内じゃ危ないから、日本で訓練するんだろう。墜落事故のいいわけを、いまから考えておく必要がある。

【事故1】今回の墜落事故は、パイロットの未熟さに原因がありました。火だるまになった日本人民には遺憾の意を表します。米政府と米軍は事故の再発を防ぐため、引き続きパイロットの養成に努力します。不幸な犠牲者には手厚い補償を約束します。
【事故2】今回の墜落事故も、やっぱりパイロットの未熟さが原因でした。さらなる訓練を通じて、われわれ米軍と米政府は、アジアの安全と平和を目的とした一層の努力を日本人民に約束します。なお、火だるまになった森林と家屋、日本人には深い遺憾の意を表し、手厚い補償・・・・・。
【事故3】当時の気象条件が悪く、パイロットの未熟さが・・・・・。

オスプレイの欠陥に触れないところが、いいわけの要点だ。
いいなりの政府に誰がした?

原発だって怖くない。民主は自民と公明の別会派だ。
なので原発の再起動なんて当たり前、ってことで。

ね。政局って、ヒッグス粒子よりブラックホールより、
ずーっと理解しやすいし、面白いよね。

ところで、なんで今、財政再建?
社会保障と一体改革って、増税して社会保障を削除すること?
なんでアメリカに「No!」っていえないの?
原発再開は3.11以前の繰り返しだ、なに考えてんの?

そのほかTPP,デフレ、グローバリゼーション.....。こうした政局的に投げつけられる諸問題は、別々に起こった出来事? と考えてみると、ひとつひとつの政局的な問題で大騒ぎするのも、いい加減に飽きがくる。そう、もっと広い視野で理解する政治・経済的な哲学が必要なんだろう。といって、未来はわかんないけど。

第一、消費税が30%になっちゃったら、こんな政局的な記事に意味はない。オスプレイが改良されてメスプレイになっちゃったら意味がない。全面的に関税が廃止されて日本農業は滅亡し、金持ちも貧乏人も農薬臭い外国野菜や果物と、成長ホルモンづけの米肉ばかり食うようになって、メタボで痩せた日本人と子供たちが狂いだしたら、こんな記事に何の意味もない。

そこで突然、この記事は終わります(笑)。

いまさらながら「政権交代」への反省、そのほか

2012-06-11 18:25:21 | 社会・政治
以下に、「09年の政権交代劇」について、ツイッターで慶応大の堀茂樹先生とお話した内容を投稿いたします。09年の政権交代劇といえば、投票行動を通じた政権交代の、日本国民にとっては初めてとなる歴史的実感でした。文章形式が異なるため、最小限の編集を行っています。

(堀氏)09年の政権交代がマスメディアを含む既存社会構造の中で絞め殺されたように、変化を恐れる消極性・保守性が根強く、その中で鬱積する不満が時折橋下ブームのようなポピュリズムを生むのではないかと。


この堀茂樹先生のご発言をきっかけに考えたのが、次の意見です。日本人にとって初めてとなる実感だったと述べましたが、その経験の本質的な考察、ないし今後の日本国民の行く末を考える際、なにかのご参考になれば幸いです。

==引用はじめ===

あのときの投票風景には驚愕しました。中学校の講堂が投票所だったのですが、運動会さながら広い校庭が行き帰りの人で埋まっていました。車いすに乗ったご老人が何人かの家族(?)に介護され、投票所に向かう姿も目にしました。成人したのちw、あまり投票の経験がなかった自分だから驚いてるのかと訝しく思っていましたが、投票率をみて混雑具合が納得できた次第。総選挙以前の自民党政権下で、年金管理のずさんさや人の年金をポケットにする公務員の存在がマスコミに流されましたので、ご老人のあの投票風景も不思議ではなかったのです。

交代してのち、福田えりちゃんの「肝炎訴訟」にも一定の決着がつき、その意味で悪いことばかりではありませんでした。しかし米軍基地問題の放棄、菅(元)首相の消費税up宣言、野田首相の消費税増税ただ一路の姿勢、TPPグローバル化の肯定、原発猛進発言など、交代した政権下で自民党政権の延長・強化が平然と行われています。

では、民主党政権は総選挙のマニフェストを破り捨て、国民の期待を裏切る行為に走りだしたのでしょうか。菅・野田両氏は安っぽいシナリオに描かれる「悪代官」なのでしょうか。

ご老人の投票行動を支えたかもしれない年金問題は、管理と支給の本来への復旧を望んだものでした。米軍基地問題も、占領以前の状態への復帰(独立)が願いでした。しかし、福田えりちゃんの肝炎訴訟は、生命の復旧ではなく責任問題であり、HIV問題と同様の、厚生政策にたいする異議と改善への要望でした。新しい変化への願いです。

すこし杜撰な考察になりましたが、したがって、政権交代への国民の意識には、もともと変化と変化への拒否が共存していたと考えられます。

格差の是正も同じで、中流階級を育て上げた「高度成長」時代への復帰、昔への憧れとも理解できる面があります。ですから、格差の是正にも見られるように、保守は「老人」の思考、変化への願望は「若者」の思考と、国民の意識を簡単化した二項対立に還元するわけにはいきません。少なくとも今回の政権交代を支えた政治意識を、「変化を恐れる消極性・保守性が根強」い日本人の意識が変化したとみるには、証拠不十分であり、そう断じるには慎重な態度が必要でしょう。

橋下問題も、あの粗暴な言動は政治面での新しい風、変化と言えるでしょう。TV対談で、面と向かって学者をバカと呼ぶのですから。しかし中野剛志氏によると、政治の質は古い政策の焼き直し。またイレズミ問題も、公務員にたいする理想像(常識)の回復。君が代と原発再起動ともなれば考察不要。もちろん、いい悪いは別です。

こうして、日本人の意識には「変化を恐れる消極性・保守性が根強」い、という堀先生のご発言が、橋下問題を含めて理解できたように思われます。

==引用おわり===

いつまでも「さつきちゃま」気分、いい気分・・・・(ゲッ

2012-06-05 06:49:05 | 社会・政治


片山さつき
@katayama_s

今日発売の週刊文春の、モノクログラビアに、「わたしの美女時代」というタイトルで、25歳のときパリの写真館のモデルとして撮った写真が出てます!ご興味あればご覧ください!私以外のかたは、本当の美女ばかりですが、「東大の山口百恵」が効いちゃったみたいで、、。すみません!

(出典:ツイッター

もっと民主主義を理解するために/橋下氏の記者会見

2012-05-14 02:21:06 | 社会・政治
この記事をご訪問された方は、まずYouTubeにアップされた記者会見をご覧ください。国歌の斉唱について、橋下・大阪市長にMBS・女性記者が質問しています。

  ・5月8日登庁時市長囲み取材(YouTube)

「普通」の意味で正常な記者会見ではありませんが、正常・異常はさて置き、橋下氏がカッコいいとか、MBSの記者が不勉強だとか、橋下氏は逃亡を図っているとか、記者は論破されたとか、いろんな視聴の仕方が想像できます。

よく聴いていますと、後半部で橋下氏はご自分の意見を述べます。
ちょっとゴチャついた筋を要約――。


卒業式など学校の式典にのぞみ、起立と国歌斉唱を拒む教員は府教委の命令に違反している。処分は当然だ。一般の国家公務員も起立と国歌の斉唱が命令なので、違反すれば職を辞めるべきだ。


これが意見の中心ではないかと思われますが、どうでしょうか。そこを引き出した点は、女性記者の手腕といえますが、橋下氏の意見をどう評価するかとなると人それぞれ。しかし、こうした感情的で極端な意見は、2ch以外で聞いた経験がない方も多いのでは、評価の基準すら定めにくいのではと危惧します。

以下の引用は、例の「togetter」にまとめられた堀茂樹氏のTwitterです。はじめ堀氏は橋下氏の考えに親和性をお持ちの印象がありました(誤解かな?)が、いまでは、いろいろとお考えを深めているようです。きっと参考になります。みなさんなりの「評価基準」、視座を確保するために役立つかもしれません(役立たないかも)。


==引用はじめ=========

  ※以下、機種依存文字を汎用文字に置き換えました。

1)「校長の任務は職務命令の忠実な実行。ゆえに校長には責任はないのである」( @t_ishin)という橋下氏の「組織」論には呆れます。責任は上司にあると言う点で尤もらしく聞こえますが、実は、部下から一切の責任能力(←ふつう大人なら誰でも持っている)を奪うトンデモ組織論です。

2)つまり、部下に対し、「上司に命令されたら、〈それがどんな命令であっても〉自分で考えるな。黙って従え。その代わり、お前に責任はない」と言う訳です。かくして、『君が代』をめぐる口元チェック行為の責任は、校長→教育委員会→知事と遡り、結局、知事を選出した府民にあるという理窟です。

3)この手の理窟は、日本の旧いタテ社会的集団主義の感覚にフィットし、しかも同時に、現代日本で橋下市長程度の人々が分かったつもりでいる民主主義の原則の一面にも合致しているように見えるのですね。困ったものです。これが彼の65万人ものフォロワーを通して拡散するという現実の悪夢…。

  ※フォロワー=twitterで、ある人物の意見に関心をもつ人。

4)本当は、コモンセンスからいえば当然ですが、民主主義の原則に照らしても、法律・条例や職務命令が人権尊重というリミットを踏み越えたら、それはもはや正当ではないのです。例えば、全員一致の民意でも、「橋下市長は公人だから、市長の24時間を可視化する!」などと決めてはならない訳です。

5)ですから、公務員であれ、民間会社員であれ、上司の命令が自分の良心を傷つけ、人として受け容れられない気がしたら、自分で考え、自分で判断し、自分で正しいと信じる行動をしてよいのです。それが責任能力のある個人であり、大人です。民主主義は本来、すべての人を大人として遇する文化です。

「大人」とは、カントが喝破したように「自分で考える」人間です。自分の良心が納得しない職務命令には従わぬ個人です。そんな自律的個人たちの組織は機能しないでしょうか?そう主張する橋下氏は歴史にも無知なのでしょう。真に強いのは、メンバーが「自分で考え」て納得して動く大人の組織です。

7)最後に付け加えます。ゲシュタポの「ユダヤ課」課長だったA・アイヒマンも、「リヨンの虐殺者」と呼ばれたクラウス・バルビーも、ナチスに協力したフランスの高級官僚M・パポンも、上層部の職務命令を黙って忠実に実行する「無責任な」公務員でした。その点で、橋下徹氏の絶賛に値するでしょう。


・・・(略)・・・


11年5月の最高裁判決が違憲でないとしたのは起立斉唱の職務命令自体ですね。以下にお答えします。RT @Clancyy10国歌斉唱の職務命令は違法ではないとする最高裁判決を理由に「人権尊重というリミットは超えていない」という反論が予想されますが、この点はどのようにお考え…?

  ※RT @Clancyy以下への返答。

1)起立と斉唱を、つまり、国法の遵守とその具体的内容への同意を区別しない点で、考えの浅い判決と思い候。②それでも国民として、最高裁の法的権威には服さざるを得ません。これが欧州なら、個人でも国家を欧州人権裁判所へ提訴できるのですが、アジアにはそんな裁判所はないので。

2)平教員の口もと監視による歌唱強制や、その強制に服さなかった場合の処分の合憲性は、別立てで問えるでしょう。

3)いずれにせよ、憲法もまた実定法ですから、最高裁判決はあくまで合法性の判断です。合法性(legality)と正当性(legitimacy)は峻別すべきです。

4)そして、本物の自由民主主義国家の市民は、合法性の次元では国法を遵守し、裁判所の判断に服さなければならない一方、正当性の判断においては、法律・条例がどうあろうと、裁判所が何と言おうと、あくまで自分自身の良心の声に従う権利を有するのです。それが、思想信条の自由です。

5)しかし、勿論、自分が〈正当〉と信じる行為を実行に移した場合、それが司法によって〈非合法〉と判断されれば、法律の名において処罰されます。法治国家の原則を信奉する以上、それは受け入れなければなりません。⑥最後に、問題は、日本国が本物の自由民主主義国家であるかどうかです。了。



1)「橋下徹流『組織論』は民主主義の文化に反する」の連続ツイート中、「上層部の職務命令を黙って忠実に実行する『無責任な』公務員」という表現が分かりにくかったようです。以下2)~9)で、「責任/無責任」とはどういう事かをもう少し明確に説明しつつ、少し別の観点を導入してみます。

2)「責任」という名詞は英語でresponsabilityですが、仏語でresponsabilitéです。仏語で「答(応)える」にあたる動詞はrépondreなんです。つまり、responsabilité(責任)とは、文字どおり、répondre(答える)義務なんです。

3)ふつう、責任があるのに、それを放ったらかしにする態度を「無責任(な)」irresponsible(英)、irresponsable(仏)といいますね。ここにも仏語のrépondreが見え隠れしています。「無責任」とは、まさに「答えない」ことなんだなあ、と分かります。

4)では、そもそも答える(répondre)義務がない場合はどうでしょう?全く端的に、「無責任」irresponsible/irresponsableです。幼い子供はまだ自分で考え、自分で行動する自由を持っていません。そして、これが大事なのですが、自由なきところに責任なしです。

5)ですから子供は、一人前の人間であるという、その事に答える義務を負っていません。その意味で、子供は、犬やネコと同様、「倫理的無責任」の天国に、いわば「子供の国」にいます。さて、思うに、橋下徹氏のいう「組織」は、大人をもその種の「子供の国」に入れてくれるのではないでしょうか。

6)大阪市長の「組織」論は、組織に属する者と、組織外の者を区別しますね。そして、「組織」内の者は、個人の内心の自由を侵害する(or本人がそう感じる)ような職務命令にも服従しなければならない、服従しない自由が欲しければ組織の外に出よと言います。この理解で、間違っていませんよね?

7)結局、人格ごと組織に属する100%組織人か、組織から離脱して基本的人権の自由権を取り戻す人間か、という二者択一を迫るわけです。社会的身分にまるごと完全に残りなく包摂されよ、それが嫌ならば、組織人(例:公務員)という社会的身分から離脱せよ、「組織=不自由」なのだ、という次第。

8)100%組織人は「子供の国」に入れます。一見職務命令に「答えて」責任を果たすかに見えますが、人間としての自由に背を向けて職務上の役割に一致するのですから、まさしく昔サルトルが暴いた「自己欺瞞」です。社会的身分に立て籠もって、人間である事に「答えない」倫理的な「無責任」です。

9)これに対し、基本的な自由権を有する人間として、組織に属する社会的身分を生きる、というのが民主主義の文化です。自由なきところに責任なし。組織から、個人の自由を完全排除すれば、その組織は倫理的な意味で「無責任」の体系と化します。すると、内部批判の契機が失われてしまいます。危険です!

(追伸)義務なきところに権利なし、とよく云われますが、あれは嘘です。赤ちゃんは何の義務も負っていませんが、食べ物を与えられる権利を有します。つまり、大人が赤ちゃんに対して義務を負っているのです。これに対し、自由なきところに責任なし、これは確かです。(尤も、自由とは何か、が難問。)

==引用おわり=========


民主主義を考えるうえで、ご参考になりましたでしょうか。
投稿者としては、

・「大人」とは、カントが喝破したように「自分で考える」人間
・上層部の職務命令を黙って忠実に実行する「無責任な」公務員
・人格ごと組織に属する100%組織人か、組織から離脱して基本的人権の自由権を取り戻す人間か、という二者択一

などが参考になりました。ニュースになった「口元チェック」に大人げない印象を強く受けましたが、その理由まで深くは考えませんでした。いまでは理由がわかります。上層部の命令を忠実に実行するあまり、自分で根源的に考える自立心を失い、責任は自分になく命令を発した上層部にあるとする「無責任」で自己放棄した人間、大人ではない恥ずかしい自分になってしまうからでしょう。

また、二者択一を迫るところには、知性が欠如しているのが常態。日本の国民であるかぎり、だれもが何らかのシステムに属する「組織人」といえますから、組織人/非組織人の色分けは、国民/非国民の二者択一と同形になります。これは一種の「帝王学」であり、帝王/奴隷の二者択一とも同形であることが理解できました。

みなさんは、どうお考えになりましたか?

もっと原発問題を理解するために(その1)

2012-05-13 00:51:20 | 社会・政治
【発電】原子力、火力発電などは発生する熱で水蒸気を作り、発電用のタービンを回すので、「汽力発電」と呼ぶ。「水力発電」のダム、「風力発電」「太陽光発電」など、発電の方法は他にいろいろある。

【核分裂】太古の歴史年代を測定する炭素原子(C14)は、外部からの衝撃なしで自己崩壊し、窒素原子に変わる。これを「自発核分裂」と呼ぶ。

【核分裂2】ある特定の原子に中性子が衝突すると、核分裂は人工的に生じる。この核分裂を起こす原子核を「核分裂性物質」と呼ぶ。

【核分裂3】1個の中性子が衝突して、2個以上の中性子を放出する原子をうまく利用すれば、ネズミ算式に核分裂を引き起こせる。これを「核分裂連鎖反応」と呼ぶ。

【核分裂4】核分裂連鎖反応を起こす物質として利用される代表が、「ウラン235」と 「プルトニウム239」である。

【核分裂5】それらの核分裂反応式;
  U-235 + 中性子→ 核分裂片 + 平均2.52個の中性子、
  Pu-239 + 中性子 → 核分裂片 + 平均2.95個の中性子

【核分裂6】それぞれの核分裂では莫大なエネルギーが放出され、汽力発電に利用される。なお反応式右辺の「核分裂片」とは、分裂後に変化し生成した別種の原子核である。

【核分裂7】たとえばウラン235による核分裂片は、セシウム133、ヨウ素135、ジルコニウム93、セシウム137、テクネチウム99、ストロンチウム90、ヨウ素131など。

【核分裂8】このうちヨウ素135は、原子炉内に生じる主要な毒物質である。

【原発1】原発とは、核分裂連鎖反応によってエネルギーを発生させ、水を加熱して水蒸気に変え利用する汽力発電である。

【原発2】核分裂連鎖反応の原料物質(核燃料)は、ウラン235とプルトニウム239である。




『全原発の停止 安全な未来への出発点に』/北海道新聞社・社説5.04

2012-05-04 14:40:03 | 社会・政治
前回の道新・社説が人気だったので、ってわけでもないんですが、今回も道新の社説を取り上げます。そのうえ、自分的に原発問題は未解決な部分も多く、文脈は暴れると思います。ご容赦を。って冒頭から人に謝ってどうするんだ。

まったく。

これじゃいけない、と考えてはいるんですよ。そこで原子核反応から調べ始めまして。丸い原子核に精子が、いや陽子がブチ当たると丸が繭みたいにムニューッとくびれて、引きちぎられ・・・・・。ウオオオー原子核かわいいかも。←こんなこと言ってりゃさー、未解決な部分が多すぎます。

そのうえ、原発は不経済だと言いだす原発・元CEOも出没していらっしゃるようですし。
もう何が何だか、投稿者レベルの頭では・・・・・。
いーや。しかし、原発は女じゃないはずだ。

女なら娘すら理解できない。おとーちゃん、お金。
ニッコリするのは、そのときだけって、超おかしくないか?!
つり銭なんて、持ってきた覚えがない!!
てめー、かわいくない!!
(かわいい)

まて、道新だった。
その書き出し。

 東日本大震災まで日本の電力供給の3割を占めていた原発が送電を停止する日がやってくる。/北海道電力泊原発(後志管内泊村)3号機があす定期検査に入り、国内の全原発50基が運転を止める。/全原発の停止は、政府が議論を積み重ねた末に行った選択ではない。それどころか、政府はこの状況を避けようと、なりふり構わず再稼働を急いできた。

 政府の拙速な姿勢にブレーキをかけたのは、「できれば原発に頼りたくない」「再稼働は安易に認められない」という民意だろう。


そう。野田政権の足を引っ張り、手を振り払ったのは「民意」だったのだ。この点を掬い取っただけでも道新の手柄じゃないか。ってのが、この記事の目玉なんですけどね。

それだけかい。
うん、もうちょっと。

 こうした民意を、政府は真摯(しんし)に受け止めているだろうか。
 ・・・・・
 原発事故の取り返しのつかぬ被害を受けるのは周辺住民をはじめとする国民であり、途方もない損害賠償を税金や電気料金の形で負わされるのも国民なのだ。


原発問題は、発電の効率や安全なんかのレベルを超えてきちゃってるんですね。被害も損害賠償も国民自身が引き受けるのかどうか、そんな個人を超えた(個人の工夫や努力では解決できない)、でかいレベルの話になってきています。この考えは、もう電力会社を超えて、国家が代表して運営するべき公共事業として認めるかどうかの次元になっています。だったら止めよう、その一歩手前まで話がきています。

ところが、原発は素敵だ、みたいな主張をする自称・経済学者もいるんですね。被害も損害賠償も、自分とは関係ないとでも考えているのでしょう。彼(ら)は立地条件を無視します。地震の活動期に入った日本、これをスッポリ忘れようとする。理想的な立地条件で稼働する原発、それを土俵にして議論を引きずりこもうとします。

道新は、感動的な一文で社説を閉じます。

 ・・・私たちは暮らしを見つめ直し、エネルギー消費のベースを下げる努力が欠かせない。原発ゼロ状態で節電と省エネに知恵を絞った経験は将来への財産となるはずだ。

 原発を他の電源に切り替える道のりは平たんではないだろう。全原発が停止する「こどもの日」を、将来世代に安全な環境を約束するための長い挑戦の出発点ととらえたい。


ただ投稿者としては、いまのところ、原発は未熟な科学技術で、実用化には及んでいないと考えています。ウラン鉱石は地球上に希少である点、原爆との差異はその鉱石の精製程度(回数)にあるだけというのも、科学技術として未完成だからと考えます。まして廃棄物の処理、廃炉の方法まで考慮に入れれば、ますますその印象は深まります。

みなさんは、どんなお考えから、反対したり賛成したりされていますか?

親米一辺倒では済まぬ(北海道新聞社・社説4.30)

2012-05-02 20:58:44 | 社会・政治
北海道新聞社は4月30日、

  『主権回復60年 親米一辺倒では済まぬ』

と題する社説を発表しました。その冒頭、

「第2次世界大戦の敗戦後米軍占領下にあった日本が主権を回復し国際社会に復帰したサンフランシスコ講和条約の発効から60年を迎えた」

と書き出す文章はなかなか良質であり、投稿者の幻想かもしれませんが、ヴォリュームたっぷりだった元の構想が削られそぎ落とされ、推敲を重ねられてリーダブルな一稿とされた跡が窺がわれます。

引用からお分かりのように敗戦後からの日本をとりまく国際関係を論考したものですが、日米関係を振り返る手際のよさは、「報道じゃなく、政治をしているんだ!!」と言わんばかりに見得を切る大手の毎朝新聞、日産毒売新聞などに比べて、品格も偏差値も知能指数も異なった仕上がりになっています。

 取り巻く状況は大きく変わった。米国の力は陰りをみせ、新興国が存在感を増している。「親米」路線だけでは時代の波を乗り切れまい。/米国との良好な関係を維持しつつ、アジアや世界各国と新たな関係をどう構築するか知恵を絞りたい。 

ブッシュ政権が始まった2001年以降、米国の陰りは誰の目にも明らかになってきました。中南米に生まれた反米政権への軍事介入は失敗し、いまや33か国が「中南米カリブ海諸国共同体」を形成(2011)するまでに至っています。アメリカ同時多発テロ(2001.9.11)を受け、アルカイダを匿うタリバン勢力の一掃を名目としたアフガニスタン紛争 (2001年-)は泥沼化し、イラク戦争(2003)後にブッシュが残したのは巨額の赤字財政です。その後のリーマンショック(2008)、ビッグ3の消滅(2009年。フォードの危機とGM、クライスラーの倒産)は、ついに世界不況へのトリガーを引いた象徴的な出来事でした。

この示唆の多い社説は、次のような結語で閉じられます。

 米国の同盟国としてだけでなく、国際社会の中で日本が独自性をどう発揮するか。視野の広い構想力が必要だろう。 

21世紀に入って、時代そのものが戦後以後へと明確に変わったのです。道新の社説は安っぽい反米思想を主張しているのではなく、現代世界の事実の中で日本の進む道を考える必要性を指摘しています。投稿者と同じく、エマニュエル・トッド氏の名著『帝国以後』を思い出される方も多いのではないでしょうか。