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【介護アドバイザーコラム】よかった探しの効果

2016年02月29日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

『愛少女ポリアンナ物語』というテレビアニメが1986年にフジテレビで放映されました。
私は子どもと一緒に観ていました。
原作は『少女パレアナ』『パレアナの青春』です。

ポリアンナは不幸な境遇にありながら、どんなことが起きても
その中からよかったと思えることを探し出して明るく振る舞い、周りの人々に希望を与えました。
「よかった探し」は牧師だった父親の遺言であり、母親の形見の手鏡に向かって話しかける姿が
心に残っています。

このアニメを観てから、私もよかった探しを心掛けるようになりました。

最近、NHKの「心と脳の白熱教室(オックスフォード大学エレーヌ・フォックス教授)」を観ました。

その中で、認知バイアス(自分の思い込みや願望、恐怖心などのために、
論理的な判断を下せなくなる心理パターン)を取り上げていました。
認知バイアスには、以下の四つがあります。
 ・帰属の誤り ・・・・・ ものごとの原因を自分にどう説明するか(自分の中か自分以外に求めるか)
 ・注意のバイアス・・・何に注意を振り向けるか
 ・解釈のバイアス・・・同じ出来事をどう解釈するか、曖昧なものをどう解釈するか
 ・記憶のバイアス・・・何を記憶にとどめるか

無意識の心理によって偏りや誤り(バイアス)が生まれるので、それを修正する方法として、
日記をつける方法が紹介されました。
悲観的な傾向が強く、日記にネガティブなことばかり書く人がいました。
友人と偶然会ってお茶を飲んだというようなことは忘れてしまうのか、日記に書かないのだそうです。
そこで、日記には一日に起こったことをなるべく多く書いてみるよう勧めたところ、
よくないこともよいことも意識的に記憶するようになり、記憶のバイアスを転換させる
きっかけになったという話でした。

ポリアンナのよかった探しは、よいことに注意を向け、ものごとをよりよく解釈し、
よかったことを記憶にとどめることだったのですね。

私たちの暮らしの中には、たくさんのよかったが詰まっています。
おととし私は塩味を全く感じられなくなりました。
その10日間を経て再び塩味がわかるようになったとき、「あー幸せ」と喜びました。
今では当たり前で忘れていましたが、食事のたびに感謝しなければと思います。

「育児には成長の喜びがあるけれど、介護にはありません。
それがつらくて、ガーデニングを始めました。
植物は毎日成長して、蕾をつけて花を咲かせます。
それが楽しくて介護もがんばれます」と、よかったを積極的に見出す工夫をしている人もいます。

あなたもよかった探しをしてみませんか。


【介護アドバイザーコラム】道路交通法が認知症対策を強化

2016年02月16日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

私の父は1月で89歳になりました。「これが最後だ」と言いながら、運転免許証を更新しました。
それに先立って、自動車教習所で “講習予備検査(認知機能検査)” を受け、
100点満点で93点だったと自慢そうでした。
高齢者講習では運転技能に関する検査が行われ、40歳代という数字が出ている項目もあったので、
娘としては心配ですがまあ大丈夫かなあと思うことにしました。

この検査は、免許証の有効期限(誕生日)に75歳以上になる人が、更新手続きをする前に受験することが義務付けられているものです。
有効期限の6か月前から、指定された自動車教習所等に予約をして検査を受けます。
そして、その結果を踏まえて、記憶力・判断力に合わせた高齢者講習を受けることになっています。

父の場合、日頃からパソコンを使っているので、講習予備検査についても検索して内容を把握していました。埼玉県警察はホームページに検査の詳細を掲載しています。
参考として検査員向けの進行要領まで載っているので、父は「すっかり同じ言葉で質問された」
と申しておりました。
絵を見てから数字に関する作業をさせられ、その後どんな絵があったかを聞かれたそうです。
4つの絵が印刷された紙が4枚で一組になっていて、それがAからDまで4パターンあることを
事前に見ていたので、「自分はDを渡されたよ」なんて言っていました。
時計を描くのも知っていたので、93点は学習の結果だったのです。

それでも、一連の行動ができるのは脳が若い証拠と、父を大いに褒めて楽しいひと時を過ごしました。
父は、「いつものスーパーや医者には車で行くが、道が分らないところや初めてのところには
車で行かない」と決めているとのことでした。

講習予備検査のマニュアルには、「記憶力・判断力が低くなっていても免許証の更新はできます」とありました。手数料を払えば何回でも受けることが可能です。
医学的な診断ではないので、検査結果によって免許証を取り上げることはしていないのです。

ただし、更新期間満了日の1年前の日から更新申請日の前日までと更新の後に、信号無視や一時停止不履行などの交通違反を行った場合は公安委員会から連絡があって、
臨時適性検査(専門医の診断)を受けるか、主治医の診断書を提出することになります。
そこで認知症と診断された場合には、運転免許の取消、停止の対象になるとのことです。

つまり、交通違反が摘発されなければ、免許証はそのままのようです。

これでは、認知症の人による交通事故を減らせないということで、昨年の6月に道路交通法が改正されました。75歳以上の場合、3年に一度の免許更新時に講習予備検査を受け、「認知症の疑いあり」と判断された人全員に医師の診断義務が発生し、認知症と診断された人は免許停止または取消になります。
2017年までに施行されるとのことです。

また、運転免許証を身分証明書として使っていた方は、免許証が無くなることへの不安が大きいと思います。そのような場合は、「運転経歴証明書」を発行してもらうとよいでしょう。
運転免許証を有効期限内に返納して、交付申請をします。
金融機関の口座開設などに必要な身分証明書として、無期限で用いることができるそうです。
マイナンバーカードを作ればそれも必要ないかもしれませんね。


【介護アドバイザーコラム】高齢者の運転について

2015年12月28日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

休日の高速道路を走っていると、視界に入る車は皆ピッカピカで、傷もありません。
「日本の車はどうしてこんなにきれいなのだろう」と感心します。

一方、街中やスーパーや病院では、こすり傷やべこっと凹んだ跡がある車を見かけることが
多くなりました。運転している人を見ると、高齢者が多いです。

車を運転するには一連の操作を順序よく行い、交通規則に従って発進停止、加速減速、右左折、
車線変更等を適切に判断する必要があります。
道順を記憶し、地図を読み、カーナビを使いこなす能力も求められます。
「信号を右折しようと思ったのだが、咄嗟に身体が動かなくて直進してしまった」というように、
運動能力も大切な要素です。
これらを考えると、車の運転は、高度で総合的な能力を必要とする行動なのです。

高齢になれば誰でも若いときより運転能力が衰えて危険な運転が増えますが、認知症になると
その危険性は計り知れません。
車は走る凶器と言われるように、本人が怪我をするだけではなく、他の人の命まで奪う可能性が
あります。死亡事故が起こったときに「認知症だからしかたない」と許せる遺族がいるでしょうか。

「認知症が疑われる運転行動(熊本大学医学部の池田学教授作成)」をNHKの番組が紹介していました。
①センターラインからはみ出す
②車庫入れに失敗する
③車の傷が急に増える
④運転中に行先を忘れる
⑤話しかけると運転に集中できない
⑥車間距離が短くなる
これらの行動が気になったら、運転を止めてもらうことを真剣に考えなければなりません。

認知症の人が運転を止めたケースを聞くと、
「運転中にとても怖い思いをしたから。道に迷って何時間もさまよったときから不安が大きくなったから。
車がボコボコになってもう駄目だと悟ったから」というように、家族の忠告よりも本人の自覚が止める
きっかけになっているようです。
認知症の進行に合わせて、いずれは運転できなくなる日が来るでしょうが、その前に人身事故を起こしたら取り返しがつきません。

「止めてほしい」とどう伝えるかですが、本人の不安や寂しさや悔しさに寄り添い、プライドに配慮しながら、危険性をわかりやすく話すことと、「あなたのことが心配でたまらない」という思いを言葉にして納得して
もらうといいと思います。
家族の話に耳を貸さない人には、医師や第三者からの説得が有効で、警察署や交番でも事情を話せば
対応してくれるそうです。
運転免許試験場・センターに設置された運転適性相談窓口に相談するのもよいでしょう。

また、運転を強制的に止めてもらうために、鍵を替えたり、タイヤをパンクさせたり、ガソリンタンクを
空っぽにしておく人もいます。
車が動かないような工夫をして、「車が動かない」と言われる度に「おかしいね。修理を頼んでおくね」とか、「修理に来てくれることになっているから」と言い続けた例もありました。

認知症の人が運転しなくても済むような態勢作りも欠かせません。
家族が代わりに運転できれば何よりですが、それが叶わない家も多いでしょう。
タクシー会社に自宅の電話番号と住所を登録し、登録した電話から連絡すれば家まで迎えに来てくれるサービスがあります。
また、マイクロバスで患者を送迎している病院もあります。
ボランティアや移送サービスを利用できるか社協やケアマネジャーに相談するのもよいでしょう。
生協やスーパーの宅配や配食サービスなど、便利なサービスについて情報を集めてみるといいでしょう。

認知症の人の命を守るためにも、何度も何度もお話しして運転を諦めてもらえるといいですね。

次回は、免許証の返納と運転免許更新時の認知機能検査(通称:講習予備検査)についてお伝えします。


【介護アドバイザーコラム】介護の「手間」に思うこと

2015年11月27日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

電話相談では、「介護保険サービスを使えば楽になりますよ」と相談者に伝えることがあります。
ところが先日、「ケアマネジャーに『介護保険サービスを使えば楽になりますよ』と言われてショックだった」という相談が来ました。
「母の介護は大変だが、喜びもある。母との時間を大切にしたいから頑張っているのに」ということでした。

この相談を受けてから、いろいろなことを考えました。

家でケーキを焼くのが好きな人に、「手作りするのは大変だから、お店で買ったほうがいい。そのほうが楽だ」と言ったらどう思われるだろう・・・
焼きあがる時間が待ち遠しくてわくわくする
手作りケーキをおいしいと褒めてもらえてうれしい
ケーキを作る喜びには思い至らず楽だから買ったほうがいいと言うのは、失礼だと思いました。

また、介護保険の要介護認定においては、病気の重さではなく「介護の手間」によって介護度が決まります。

「手間」から私が連想するのは、「手間取る」「手間を省く」「手間いらず」というように、手間をかけないほうがいいと思えるような言葉です。
実際に「手間」の関連語には、めんどう・やっかい・煩雑なこと等がありました。
それゆえ、「介護に手間をかけるよりもサービスを使って楽をする」のがよいことだと思い、人にも勧めていたのだと思います。

そういえば、明治生まれの祖母は、「子育てに手間を惜しむな」「手間がかかった子ほどかわいい」「ひと手間かけるとおいしくなる」とよく言っていました。
祖母は82歳で亡くなりましたが、時間を惜しまない丁寧な暮らしぶりが思い出されます。

家事の機械化は進みましたが、介護にはまだまだ人手を要することが多いです。
人の手で時間をかけて介護することで、介護する人もされる人も幸せを感じる瞬間があるのではないでしょうか。
ぬくもりのある「手間」が殺伐とした暮らしに潤いを与えるかもしれません。

いつどんな介護サービスを使うかとともに、どの部分に「手間」をかけたら親も自分も満足するかを考えるのがケアプラン作成の要かもしれませんね。


【介護アドバイザーコラム】砂糖と薬の違い

2015年11月02日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

コーヒーがアルツハイマー病予防に効果があるという研究結果が各国から報告されています。
それを知った友人は、苦くて好きではなかったコーヒーに砂糖を入れて毎日飲むようになりました。

飲み物に砂糖を入れるか入れないかはその国の文化だと思います。
マレーシアに行ったとき、砂糖がたっぷり入った甘~~~~~いジュースやお茶に辟易してミネラルウォーターを頼んでいました。
売店でエビアンを買おうとしたら、店員さんに「日本人、こればっかり」とたどたどしい日本語で話しかけられたときは笑ってしまいました。

ところで、あなたはコーヒーにどのくらい砂糖を入れますか。
入れなければ甘くない、少し入れれば少し甘い、たくさん入れればとっても甘い・・・
入れた砂糖の量に比例して甘さを楽しむことができます。

では、薬はどうでしょうか。
少し飲めば少し効く、たくさん飲めばとっても効く・・・でしょうか。

実は、薬は血中にある一定量になったときに初めて効くのだそうです。
ですから、その基準量未満の場合は、“効かない”ので、飲んでも無駄になるという話です。
また、飲み過ぎれば副作用が強く出て、死に至ることさえあります。

医師は、この薬は患者の病気に処方できるかと薬の標準使用量について確認しながら薬を処方します。
それを守らないと薬に医療保険が適用されなくなるからです。

患者の中には、勝手に効かない量まで減らしたり止めたりしておいて、医師には「飲んでいます」と答える人がいます。
医師は薬の効果を判断できず、「効かないようですので薬を増やしましょう」とか「別の薬にしましょう」
ということになるケースも多々あるのではないでしょうか。

処方箋通りに薬を服用する意義は理解できたと思いますが、患者が自分の身体に合うように薬のさじ加減をしてはいけないかという問題もあります。

私はある病気になり、最初に診てもらった病院では、痛み止めの座薬を一度に2個使うように指示されました。
その座薬を持参して専門医にかかったら、これは子ども用の座薬なので一度に4個使ってくださいと言われたので驚きました。
しかし、2個で充分効いたので、最初の医師の指示通りその後も2個ずつ使ってしのいでいるうちに病気が治りました。
痛み止めをほとんど使ったことがないので、私には2個でも効果があったのでしょうか。

高齢になると、消化吸収能力が弱まるので薬効成分が素通りしてしまうとか、
肝臓の解毒能力が弱まるのでいつまでも薬の効果が持続してしまう等、若い頃とは違う面が出てくると聞きました。
小児科の薬は、身長や体重を考慮して処方されることが多いのに、成人してからは重要視されないという苦情も聞きます。

薬を効果的に服用するためには、自分の身体の声を聞き、介護者なら家族の様子をよく見て、
医師や薬剤師に率直に相談することが大事だと思います。


【介護アドバイザーコラム】癌に関する電話相談

2015年09月29日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

川島なお美さんの訃報に接し、癌と診断されたとき、いのちの終わりをどう迎えるかについて
考えた方は多いのではないでしょうか。

私の身近にも、突然癌であることがわかり余命宣告された人がいます。
治療法について医師や家族とよく相談しながら本人が手術も抗がん剤治療もしないと意思決定したそうです。
旅行に行くなど家族との時間を大切に過ごし、1年数か月後に美しい最期を迎えました。

同じころに別の知人も癌宣告を受けました。こちらはできる限りの治療をすることを選んで癌と闘い抜きました。
残念ながら天国に召されましたが、最後まであきらめない強さを教えてくれました。

二人を知る者としては、どちらが良かったかという思いが湧いてきてしまいましたが、それは比べようもないことです。

二人とも自分の意思で治療法を選び、それを貫いたことは素晴らしいことだと思います。
お二人のご家族もそれを応援して、よい看取りをされました。

突然癌と宣告されたら、
どうして癌になったのか
なぜ早く気付かなかったのか
どの治療法がいいのか・・・
考えれば考えるほど、後悔したり、疑問が湧いたり、不安にさいなまれたりすることでしょう。

そういうときに、電話で相談できる窓口があります。
財団法人 日本対がん協会の無料電話相談「がん相談ホットライン」です。
03-3562-7830 (祝日を除く10:00~18:00)
看護師や社会福祉士が対応 通話料のみ有料 予約不要 20分まで 相談内容の秘密は厳守
事前予約が必要ですが、医師に電話相談もできるそうです。

癌は他人事ではありません。
そのときのために有効な情報をチェックしておくといいですね。


【介護アドバイザーコラム】「どうしてる?」と声をかけてみましょう。

2015年09月16日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

先日、レビー小体型認知症と診断された50代の女性の話を、直接お聞きする機会がありました。

とてもにこやかに、明快にお話しなさるので、認知症の方というイメージが覆された思いでした。

 ご本人は、「認知症の人には見えない」と言われることが実は心外で、
「認知症だから何もわからないはずだ」
「だんだん悪くなる一方で将来を悲観しているにちがいない」という
イメージに合わないことをいぶかしがる視線がつらいそうです。

 認知症には様々な症状があり、
経過も人それぞれなのに、
私も同じような目で見ていたかもしれないと大いに反省しました。

 いくつかの病気にかかると、
その人が突然「その病気の人」という目で見られるようになります。

その典型的な病気が認知症かもしれません。

例えば、高血圧症の人を、ことあるごとに「あの人は血圧が高い人」という目で見るでしょうか。

その人はあくまでも「○○さん」であって、高血圧症はそれに関連する事情のときに出てくるに過ぎません。

 このケースと同じように、認知症と診断された人も、「○○さん」として見てほしいと訴えていると思いました。

80歳でお亡くなりになった評論家の吉武輝子さんは、
長年複数の病気と闘ってこられた方ですが、
「病気はするけど、病人にはならない」とおっしゃっていたと樋口恵子さんからお聞きしました。

人には皆、寿命があります。

一生に一度も病気にならなかった人はいないと思います。

病気を抱えて生きていくことになったとき、
周りの人にその病気にばかり目を向けられたら、どんな気持ちになるでしょうか。

前述の女性も、「元気じゃない」のだから、「元気?」とはきかないでほしいそうです。
「元気そう」とも言わないでほしいそうです。

それよりも、たまに「最近、どうしてる?」と連絡してほしいということでした。

皆さんも、「最近、どうしてる?」と親御さんに声をかけてみませんか。

病気を抱えているとつい病状を聞いてしまいますが、
「どうしてる?」と投げかけたら、どんな返事が返ってくるか、耳を澄ませてみるといいですね。


【介護アドバイザーコラム】介護保険の利用者負担について

2015年08月03日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

介護保険制度は2000年4月に施行されましたので、今年で16年目になります。

介護保険とは、40歳以上の人が保険料を納めて、介護が必要だと認定された人がケアプランにもとづいたサービスを利用し、そのサービス料の1割を自己負担するという社会保障制度です。 

実はこの8月から、介護保険始まって以来の大改革が断行されました。

それは、利用者負担割合が2割になったのです。

と申しましても、65歳以上の80%の方は1割負担のままだそうです。

 「誰が2割負担になるのか。」

 それは、65歳以上で、本人の合計所得金額が160万円以上、かつ年金収入+その他の合計所得金額が、単身で280万円以上、2人以上の場合346万円以上の場合に、2割負担になります。

「2割負担になったら、これまでの2倍負担しなければならないのか。」

そうです。しかし、同じ月に利用したサービスの利用者負担の合計額が一定額を超えた場合は、超えた分が「高額介護サービス費」として後から戻ってきます。

現役並み所得者では世帯で44,400円、一般世帯では世帯で37,200円がその限度額ですので、それ以上負担することはありません。高額になった場合、サービス利用月の2~4か月後くらいに、介護保険給付係から「高額介護サービス費支給申請書」が送られてきますので、初回だけ手続きをすれば、その後は自動的に超えた分が戻ってきます。

「うちの親は2割負担なのだろうか。」

要介護認定を受けている親御さんであれば、利用者の負担割合を記載した『負担割合証』が届いているはずですので、ご確認ください。要介護認定を受けていない場合はお知らせは届きません。

各保険者(市区町村)は、65歳以上の方の年収に応じた保険料を徴収していますので、1割負担か2割負担かの判断もそれに準じています。

これから介護保険サービスを利用する際には、介護保険被保険者証とこの介護保険負担割合証の2つをセットにして提示することになります。

高収入の高齢者は、保険料が高いうえに利用料も高くなるという二重負担を強いられる形になってしまいましたが、この制度を持続するためには、致し方ないのかなあとため息をついております。


日常的に運動するには

2015年07月15日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

 

アルツハイマー型認知症は、脳の中にアミロイドβやタウ蛋白といった蛋白質が蓄積し、
それらが脳の神経細胞を死滅させることによって起こる認知症です。

なぜ、そのような異常な蛋白質が蓄積するのかはいまだに解明されていないため、決定的な治療薬や予防法は見つかっていません。

 

ただし、一定数の高齢者を追跡調査したところ、週3回以上運動していた高齢者は、
有意にアルツハイマー病の発症率が低いという結果が出ました。

これにより、運動はアルツハイマー病の予防に効果があると言われています。

 

もの忘れが激しくなり、今までできていた行動ができなくなり、場所や時間がわからなくなるなど、
日常生活に支障が出るようになって初めて、アルツハイマー型認知症を発症したと診断されます。

そのときには相応の神経細胞が死滅していると思われ、それは異常な蛋白質がかなり蓄積しているということです。

 

そこで、いつ頃からそれらが蓄積し始め、何年位でアルツハイマー型認知症を発症するのかと信頼する認知症専門医に質問しました。

すると、「発症した年齢の20年前から蓄積し始めているという海外の論文があるから、75歳で発症した人は55歳からになるね」とのこと。

 

そうかあ・・・

アルツハイマー病に関しては、ある日突然発症するのではなく、それなりの準備期間(?)があって、
すでに私の脳にも蓄積し始めているかもしれないと思いました。

 

私も週3回運動しなければ・・・

でも、3日坊主の私は、何年も続いている運動や健康法はありません。

特にこれをしたいというスポーツもないし・・・

 

そのとき思い出したのが母の姿です。

母は1階に寝室を移した後も、タンスや鏡台等は2階に置いたままでした。

「これが必要、あれをもってくる」と1日に何度も何度も2階に上がって行くので、「タンスを1階に下せばいいのに」と言ったら、
「階段の上り下りが私の運動なの。このおかげで駅の階段も苦にならないわ」

 そこで、私も、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う、
駅の階段などで人が少ないときは2段上がりをすることを実行してみようと思い立ちました。

つい楽な方を選んでいましたが、これが運動だと思えば見方が変わります。
ダンベル体操をするつもりで、重い荷物を手で持ち運びます。
バランスボールを使うつもりで、バスや電車の中でどこにもつかまらずに立つことにします。
ジョギングやウォーキングだと思って、日頃から小走りで歩くことにします。

そういえば、子どもを抱っこしたりおんぶしたりしていた頃、いつの間にか腕に筋肉がついていたなあ・・・

 

 

 

 


【介護アドバイザーコラム】塗り絵カレンダーはいかがですか

2015年02月04日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

庭の梅の花が咲き始めました。

毎年毎年、忘れずに咲いてくれる梅の木に、「今年もありがとう」と声をかけました。

風は冷たく、まだまだ冬の真っ只中ですが、梅の花と梅の木に集まる小鳥のさえずりに春を感じます。日差しの角度も変化してきました。

日本に住んでいると、四種類の季節を楽しむことができます。

四季折々の花を愛でるもよし、旬の食べ物は栄養価が高く美味ですので、それを味わうだけでも幸せな気持ちになります。

そんな季節のことを話題にするためのツールをご紹介します。

それは塗り絵カレンダーです。その月の行事や風物が塗り絵になっていて、色鉛筆で塗る方が多いようです。
無料の素材をインターネットから入手することもできます。

例えば2月のカレンダーの絵を梅とウグイスにします。バックに色を付けて白梅を浮き上がらせるか、鮮やかな紅梅にするか、ウグイスを実物の茶色にしないでメジロのようなウグイス色で塗ろうかなど、心躍らせるひとときになります。

仕上がったカレンダーは、まるで水彩画のように淡い色合いのものやポップアートのようにくっきりしたものなど、その人の個性が表れます。

知人は“母の機嫌と体調のバロメーター”と言っていました。

ベッドから見えるところにそのカレンダーを貼っておくと、訪ねてきた人と母親がそれを基に思い出話に花をさかせることもあったとか。知人が代わりに塗ったときに「小学生の絵だね」と言われたそうで、お母さんの才能を見直したそうです。

認知症の進行を遅らせたり、認知症を予防するための“芸術療法”のように、楽しんで塗り絵をすれば脳が活性化するでしょう。年間行事を題材にした塗り絵をすることで、“回想法”の効果も期待できると思います。

高齢者と家族が一緒にできるレクレーションとして、塗り絵をお勧めいたします。

 


【介護アドバイザーコラム】セイフティーネットワークについて

2014年12月26日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

 

このブログを読んでくださっているあなたに質問します。

 

 “介護”という言葉を聞いたとき、介護をする側に立って考えていませんか?

 

配偶者を介護する私

実親、あるいは義理の親を介護する私

その姿が想像できないので不安なのだと思います。

そして、なんとなく他人事のような、遠い未来の話のような・・・

 

今日は、少し視点を変えて、自分が重い病気になった時のことを想像していただきたいと思います。

 

ベッドから起き上がれなくて、トイレに行けない

喉が渇いた、何か食べたい、薬も飲まなければ・・・

 

これらの願いを叶えるためには、人の手が必要です。

心配して連絡をくれる人

家に来て面倒をみてくれる人

買い物を頼める人

病院に付き添ってくれる人

 

こういう時に助けてくれる家族や親戚、友人、懇意にしているご近所はいますか。

同居している家族は、気持ちよく会社や学校を休んでくれますか。

 

自分が介護を受けることになった場合を想定すると、
具体的に助けてもらうことの難しさに気付く方も多いのではないでしょうか。

それを、自分の家族の不安と重ね合わせてみることが、“介護の備え”だと思います。

 帰省したり、年賀状をやり取りするこの時期に、
ご自分のセイフティーネットワークについて考えてみることをおすすめします。


【介護アドバイザーコラム】介護保険改革について

2014年06月30日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

 

消費税が8%になって、介護保険サービスの利用料や要介護度別の支給限度額がスライドして上がりました。3月と同じようにサービスを利用したのに請求額が増えたと思われる方も多いのではないでしょうか。 

負担増といえば、6月18日に、介護保険改革法案が参議院を通過して、「地域医療・介護推進法案」が成立しました。 

 

その中身のポイントですが、

①280万円(夫婦では359万円)の年収のある高齢者は、介護保険サービスの利用者負担が2割になる。

②要支援1・2の人向けのサービスを介護保険から外し、市区町村が独自に運営する。

③特別養護老人ホームに新規入所できるのは要介護3以上。

④低所得の人が介護保険施設に入所している場合、単身で1千万円以上の預貯金があると食費と居住費の補助が受けられなくなる。

 

介護保険サービスを利用して少しでも自立した暮らしをと望む高齢者や、施設に預けて介護はプロに精神的な支えを家族でと思っている家族にとっては不利益を被る改革になっています。

一方で、増え続ける要介護高齢者を支えるために支払われる保険料と税金は2000年4月の予想をはるかに上回り、このままでは65歳以上の人が納める保険料の月平均額は現在の5千円から8千円~1万円になるのは時間の問題とも言われていました。 

年金額は今年も減額され、介護保険料は上がり、消費税も上がり・・・

超高齢社会がクローズアップされていますが、国の将来を支える子どもが減っている少子化の問題も深刻です。安心して子供を産み育てられるように、子どもにももっと税金が投入されるようになってほしい・・ 

こんなに文明が進んで便利になったのに、不安な空気が漂っている日本。梅雨が明けたらスカッとした青空が見たいですね。

 


【介護アドバイザーコラム】お金の計算と認知症

2014年05月28日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

 

消費税が8%になりました。

 

消費税5%を含めた税込価格に慣れていたので、税抜価格を見て一瞬“安い”と勘違いしてしまいます。

3%上乗せされるだけのはずなのに、8%が新たに課税されたのではないかと思う値段設定も見かけます。

ずっと500円で売っていたものが、「消費税が上がったので550円になりました」って、どういう計算なのでしょう。値上げの口実になっていますね。

一円単位の支払いも増え、小銭で財布が重くなりました。

 

さて、認知症になると計算能力に影響が出てきます。

「100から7をひくといくつですか」

「そこからまた7をひいてください」

これは、認知症診断に用いられる長谷川式スケールの中にある質問で、計算ができないことを一つの指標にしています。

 

買い物は、買いたいものを選んでその値段を足して合計を出し、それに消費税を足して支払額を把握します。カード決済をしないのであれば、手持ち金の範囲で買えるものを選びます。通常はレジスターが計算してくれるので、完璧に暗算ができなくても大丈夫です。

レジで「○○円です」と言われたら、ちょうどの金額か、お釣りが一番少なくなるようにお金を払います。

 

小学校の算数でお金の計算を習い、その後何十年もさりげなくしていた行為が、認知症になったためにどうすればいいかわからなくなった・・・

これはかなりつらいことです。プライドがありますから店員さんにあたふたしているところを見られたくないので、高額のお札を出してお釣りをもらうほうがいいと思っても不思議ではありません。後ろに並んでいる人がいれば尚更です。

認知症の家族がスーパーでもコンビニでもいつも一万円札で支払うという話や、家の中に小銭が異常にたまっているという話を電話相談でも時々耳にします。

 

消費税アップは、認知症の方にとってさらなる混乱の種になっているかもしれません。

 

効率を重視する人にとっては、「年寄りは時間がかかって困る」とイライラしたり、「認知症になったら買い物はするな」となりがちです。

しかし、いつか自分も老いる日が来ます。レジで戸惑っている高齢者を見かけたら、「大丈夫ですよ」とやさしい眼差しを向けて、“待って”いただきたいと思います。

 

老いも若きもそれぞれの力に応じて安心して暮らせる社会が来るといいなあと思います。


【介護アドバイザーコラム】認知症の人の遺族に360万円の賠償命令

2014年05月13日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。 

4月24日に、
徘徊して電車にはねられた認知症の男性(当時91歳)の妻に対して、
約360万円の損害賠償を支払うようにとの二審判決がおりました。

これは、2007年に愛知県大府市のJR東海共和駅構内で起きた事故の判決です。

午後4時半ごろ、デイサービスから戻った男性が妻と長男の嫁と一緒にお茶を飲みました。

そして、妻が目を離したすきに男性は家を出て行ってしまい、
家族が近所を探し回っていた5時47分に事故が起きたのだそうです。

同居の妻は要介護1、長男は神奈川県に住み、
長男の嫁が介護を手助けするために近くに転居していました。

この事故によって運休した電車は34本、影響を受けた人は2万4千人。

鉄道事故では、
振替輸送費や特急券等の払戻金、
列車の運休による機会損失費や設備の修理費、人件費などがかかり、
JR東海は約720万円を遺族に請求しました。

2012年8月、
一審の名古屋地裁の判決では、
男性の妻と長男に請求通りの支払いを命じ、
遺族が控訴していました。

2014年1月、名古屋高裁は双方に和解を勧告しましたが成立しませんでした。

名古屋高裁の二審では、妻は民法上の監督義務があり、
外出を把握できる出入り口のセンサーの電源を切っていたことから、
「徘徊の可能性のある男性に対して監督不十分な点があった」としました。

JR東海にも、駅で十分に監視していれば事故を防止できる可能性があったと指摘して、
賠償額を5割にとどめたそうです。

一審判決で責任があるとされた長男は、「20年以上別居しており、監督者にあたらない」とされました。

そして、5月8日にJR東海が、9日に遺族が最高裁に上告しました。

NHKニュースで、
2005年から2013年までの8年間に認知症の人が鉄道事故によって死亡した数は
少なくとも64人と言っていました。

これらの人たちの遺族は損害賠償を請求されたのでしょうか。
詳細は不明ですが、支払い能力に応じて、
鉄道会社と遺族の和解が成立するケースがほとんどだそうで、
裁判に持ち込まれたのが今回のケースらしいのです。

認知症の人を地域で見守る、
安心して徘徊できる町を目指すという国の方向性が打ち出されても、
それが機能していない地域はたくさんあります。

家族の責任の重さに
言いようのない不安を感じた家族は多いのではないでしょうか。

認知症の人を閉じ込めておけというのか?

家族はずっと見張っていなければならないのか?

家族の責任は?

いろいろ考えさせられるニュースです。


【介護アドバイザーコラム】“すこやか介護”のこと

2014年04月15日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

 “すこやか介護”というFM世田谷のラジオ番組をご存知ですか。

毎週火曜日の午前10時30分~45分に放送されていましたが、
残念ながら3月末日をもって終了となりました。 

その最終回は、月曜日ではありますが3月31日の放送となり、
なんとなんと、私がゲスト出演させていただきました。 

2007年から毎年1~2回この番組で介護にまつわることを
インタビュー形式でお話しさせていただきました。


その時々の電話相談から見える介護の現状や当方が主催したイベントの話などを、
スタジオのマイクの前で緊張しながら話したことが懐かしいです。

それをカセットテープやMDディスクやCDなど、
その時の録音技術に合わせた媒体でいただいたものです。 

最後の出演は、電話相談室にいる私と生電話によるインタビューになりました。

 

お話ししたことは、

①親の晩婚化や高齢出産により、30代や40代で親の介護を担うことになった息子や娘さんからの相談が目立つようになった。

②仕事を辞めて親を介護している40代や50代の子ども世代では、自分の将来の不安が大きく介護うつになってしまったという相談が寄せられており、これからは仕事と介護の両立が重要である。

③親と別居して暮らす子どもの場合、親に介護が必要になったときに、嫁よりも実子が介護を担う風潮が強まっている。

④嫁からは、複雑な人間関係の中で介護している相談が増えている。

そして、
「一本の電話で介護の問題が解決するのは難しいですが、
『苦しい胸の内を吐き出すと気持ちが軽くなりますよ』、
『悩んでいるのは自分だけではないと気付くと肩の力が抜けて楽になりますよ』、
『電話相談室はあなたの味方ですよ』と伝えていきたいと思う」
としめくくりました。

 

“すこやか介護”が終了してしまったことは大変残念ですが、
これから迎える大介護時代に向けて、
このような番組へのニーズは高まっていくと思います。

ラジオはリスナーに直接語りかけてくれるようなところがあって、
ラジオが友だちという方がいます。

また、介護中で手が離せなくても耳だけ傾けることができます。
ラジオで介護をテーマにした番組がもっと増えるといいなあと思います。
皆さんもアンテナを張っておいてくださいね。