ファウンテン 永遠につづく愛

The Fountain ダーレン・アロノフスキー監督・脚本、
映像と編集に面白みはあるが、インスタレーションを観ている感覚。
現代美術が苦手な方には苦痛かもしれない。

不治の病に冒された妻イジー（レイチェル・ワイズ）
妻の治療法を探す医師トミー（ヒュー・ジャックマン）
トミーは妻が生きた証として書いた物語「ファウンテン」を読み始めるが・・。
以下、鑑賞後にどうぞ。

観終わって、頭を整理すると三つの時代のヒュー・ジャックマンは
一人の人物であると理解できた。
医師トミーが実在の人物であり、中世の騎士は妻の小説の人物であり、
空中に浮かぶ僧侶のような姿は悟りをひらいた状態を暗示。

妻役のレイチェル・ワイズも中世では女王であり、悟りの世界では
生命の木である。

観ている間は、その三つの姿が瞬時に入れ替わるので意味がわからなかった。
妻の体をなでている映像が生命の木をさすっている映像に変ったり、
違う姿のヒューと同じ姿の妻が何度も繰り返す台詞があったり斬新ではある。
心に突き刺さるような台詞であるなら心を揺さぶられる映画になったのかも
しれないが、妻「終わらせて」夫「ゴメン」の繰り返しなので演出効果は薄い。

☆宗教会議に反発して永遠の命を手に入れようとする女王＆女王の命を受け南米の原住民が隠している木を発見し、女王の愛を得ようと必死になる騎士。
☆マヤ文明の「死は生の始まり」との意識に共感し、死を受け入れる妻＆科学の力で彼女の命を救おうと必死になる夫。
☆頭をまるめ生命の木と会話する男＆呼吸をやめて星になる生命の木（妻？）

この三つの男女の形態が時系列が寸断されて進行する。
キリスト教的な生命、科学者の傲慢、死は終りではないとする異文化の死生観などを示唆していると感じるが、ほぼ二人芝居であるためか表面的な印象を残すのみ。
心に直接訴えるのは映像の面白さだけだった。（意図はわかるんですが）
ヒュー・ジャックマン好きな私は満足だったが、娯楽映画とは程遠い。

永遠につづく愛という邦題は必要ないかも？
男女の愛だけでなく、死生観が映画の主題になっていると思う。