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矢のない弓は折れてしまって

2010年03月21日 | チャイルド・ハロルドの巡礼第2編

90.
疾走する将軍、矢のない弓は折れてしまって――
烈火のようなギリシア人が、執拗に追跡する。
山々は高く、大地の、海洋の平原はひた続く。
目前には<死>が、背後には<破滅>!
それがこの光景だった。今や何が残っている?
<自由>の微笑と<アジア>の涙を記して、
どれほど聖なる記念碑が聖なる土地を標すのか?
盗まれた骨壷、冒された陵、おお 無礼な異邦人よ、
おまえの馬の蹄が辺りに蹴散らす塵だけなのだ。


XC.

The flying Mede, his shaftless broken bow―
The fiery Greek, his red pursuing spear;
Mountains above―Earth’s, Ocean’s plain below―
Death in the front, Destruction in the rear!
Such was the scene-what now remaineth here?
What sacred Trophy marks the hallowed ground,
Recording Freedom’s smile and Asia’s tear?
The rifled urn, the violated mound,
The dust thy courser’s hoof, rude stranger! spurns around.


Mede:古代メディア人。ここではペルシア人の意。ペルシア軍を率いていた将軍ダティスがメディア人だったことによる。
shaftless:矢・やりのない
hallowed:神聖な, 神聖視された;((時におどけて))尊ばれる, あがめられる.
rifled:〈場所を〉くまなく捜して(物を)奪い取る, 盗み取る((of ...))
courser:17世紀に使われた修辞語。「馬」の意。


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