2010年のゴールデンウィークに入った。
仕事が決まってからあっという間である。
残業が多いわ、手のかかる生き物は増えたわで
なんだかんだでドタバタして四月が終わってしまった。
とはいえ、その残業代のおかげで
こうやって遠征にいけるわけなのだけど……
そんなことを思いつつ、俺は中央道を駆け抜ける。
茨城の実家を5/2の夜に出発した俺は、
常磐道~外環~関越~圏央~中央道という
微妙に都内迂回ルートを通りつつ、濃尾へと向かう。
移動距離は……都内経由ルートだと450kmほど、なのだが
迂回ルートだと500kmほどらしい。
まあ、高速だし大した違いではなかろ……
むしろ去年のように、首都高の渋滞に捕まるよりは
迂回ルートで車の少ない中をサクサク進むほうが良い。
中央道は、東名と違って車線数があまり多くなく
アップダウンとカーブがかなり多い。
平坦な東名と違って走りづらいけれど、
その分眠くら無いのが良いか?
甲府を抜ける頃には車の数も大分減り、
気楽に走れるのは少し有難いかもしれない。
ただ、車の窓を閉めていてもわかる、この寒さ。
高地を走っているから多少は寒いと思ったが
五月の初旬でここまで寒いとは……
諏訪湖SAに立ち寄ったとき、息が白かったのには驚いた……
しかし中央道のSA、この時間だと悉く売店が閉まっており
食事をとることすらままならない。
開いている店も、売り切れ多発でろくなものが残ってない。
やっと見つけたご飯類……笹の葉寿司だ。
鱒寿司2個、梅、葉わさびの三種類が入っていた。
温かいものが食べたかったが、もう仕方ない。
これはこれで旨いしな。
標高が高いからか、月が綺麗に見えた。
さて、長野の諏訪湖から、今度はまた南下する。
4時を過ぎると徐々に明るくなってくる、こうなれば走りやすい。
他の車も殆どおらず、気楽に走っていく。
下り坂なので、スピードだけには注意して
ただただ走って進んで……
おかしいな、予定では9時ごろ到着のはずだったのだが
まだ6時前じゃないか……
とりあえず最寄のPAについたことを今回一緒する人にメールで送る。
あとは何処かで一眠りしておけばいいだろう……
なんて思っていたら、さっさとメールが返ってきた。
起きていたようだ。
結局待ち合わせの場所を指定してもらい、
朝っぱらから出撃することに。
指定された場所でしばし待つと、
徒歩で遠くから歩いてくる人影。
……彼が、ボテ男爵さんか。
俺は車から出て頭を下げる。
そう、今回はボテ男爵さんとの共同採取なのだ。
うみーのお魚愚痴日記、採取記事第300回記念は
ボテ男爵さんと……ホワイティーに、逢いに行く。
というわけで、挨拶もそこそこに
俺は車を停めて、荷物を彼の車に移し変える。
失敗したのは、通常の遠征状態で
車に荷物を積んできてしまったこと。
最低限必要なものがどこにあるのかもイマイチわからず……
結局、目に付いた適当そうなものを移しかえて、さっそく出発。
……なんか、微妙に忘れたものがあるかもしれないが
まあ、いいや。大丈夫だろ……多分。
車の中では、ボテさんとの会話が弾む。
いままでに逢った誰とも違う新しいタイプの人物ではあるものの
考え方が似通っているのと……多分開き直った時の性格が近そうで
親近感を感じる人だった。
当然会話も楽しく、気が付けばポイントの近くへと到着していた。
さて、やってきましたポイント。
ここに……ここに、居るらしい。奴が、アレが、あいつが。
さっそく釣り道具を持って出撃する。果たして……
はやる気持ちを抑えつつ、釣り場に到着。
確かにここは釣りオンリーだな。深すぎる。
だが、水の透明度はかなり高く、底まで状況が良くわかる。
つまり、こちらが見釣りで相手を狙うことができる反面、
相手からもこちらの仕掛けがわかるということで
警戒心の強いタビラ相手にするには、
なかなか腕と経験が問われるポイントのようだ。
さて、そういうわけなのだけども、
水の中を覗いても、魚の姿は全く無い。
底まで見えるのに、魚の姿がない。
まるでいつぞやの岡山のようだ。
ボテさんに聞くと、普段はかなりの魚影なんだそうだ。
しかし、俺の目には魚の姿は全く無い。
とりあえず、物陰にいるかもしれないので
竿を出してみるか。
ボテさんと俺は、それぞれ思い思いに竿を出す。
このあたりは黄身練りが主流だと思うので
ならば俺の赤虫は効果があるかもしれん。
さっそく放り込む。
物陰いくつかに放り込むが、さっぱりあたりが無い。
どうしたもんか。
二人して「だめだねえ」なんてぼやきつつ
ノンビリやっていると、俺の竿に僅かなアタリ。
さっと引き上げると……タナゴだ。
最初はシロヒレに見えたが……
よく見ると、これまた立派な一文字のメス。
黒点が出てはいるものの、サイズが相当でかい。
本場の一文字は初めてだよ。
九州で移入の一文字を捕まえたが
こんな立派なサイズは捕まえたことが無かった。
さすが本場というところだろうか。
さて、それからなのだが、
一時間ほどさっぱりアタリが無い。
いわゆる「当り障り無い」「アタリサワリ無い」である。
太陽が昇ってくると、少しずつ魚影が見えてくる。
決して濃いというわけではないが、
見るからにタナゴであるのがわかり、気持ちも盛り上がる。
ただ……
全然餌に見向きもしねえ。
そんな中だ……
物陰に。
物陰。
石と石の間の、ほんの僅かな隙間。
陰になった隙間。
その影に、白く輝く、ゆらりと舞うヒレ。
黒と白の、くっきり分かれた、ヒレ。
……あれは、あれは!
あれは!!
ホワイティーの、オス!!
間違いない、あれは俺の捜し求めた、オスだ!!
水の上からでもわかるその姿、
あれを……あれを釣ってこそのゴールデンウィーク!!
俺はさっそく、物陰の入り口にそっと赤虫を落とす。
それからじっと、じっと、じっと待つ。
奴は物陰の中の隙間を通って、
あちらこちらに顔を出しているようだ。
そのうちのひとつに、俺が餌をおいている。
10分ほど待ったところ。
奴が顔を出す。
奴は……俺の赤虫を……突付く。突付いた!
そして、針に掛からないギリギリの端を咥えて……
え? そこで食わないの?
奴は、端を咥えたまま物陰に潜ってしまう。
……赤虫は……引っ張られた勢いで、ちぎれてしまった。
仕方なく、赤虫を付け直して再度投入。
だが……奴は二度と赤虫を咥えることは無く……
最終的に、一時間も経つと、顔すら出さなくなってしまった。
あちこちでポイントを探していたボテさんも
結局成果を出すことは出来ず、
釣り上げたのは一文字一匹だけだった。
たった数メートル先に、俺の捜し求めた奴がいた。
フィールドで最高の色を出した姿を見た。
……でも、その数メートルが、遠い遠い。
とはいえ、たった数メートルまでたどり着いた。
ま、しょうがねーな。
また来る理由には、なるかね。
ちなみに移動の前に、浅場にアナカリスの塊があった。
「それっぽい」感じがするポイントだ。ビビっと来た。
俺は網を二本使って、ボテさんと挟み撃ちをすることにした。
ボテさんは「そんなところには」というのだが、
まずはやってからの話だ。
さっそく二人で岸から挟み撃ちをすると……
網の中に、ちっこいタナゴが入っているじゃないか。
極小のタナゴ……文字にも見えるが、白ヒレっぽいな。
……ま、メスだけど。
まあ仕方ないか、今日のところはこの辺りで我慢しとくかね。
……リベンジすっからな、待ってろよホワイティー。
●ここで出会えた主な生体(赤字はフィールド初遭遇)
イチモンジタナゴ
シロヒレタビラ
仕事が決まってからあっという間である。
残業が多いわ、手のかかる生き物は増えたわで
なんだかんだでドタバタして四月が終わってしまった。
とはいえ、その残業代のおかげで
こうやって遠征にいけるわけなのだけど……
そんなことを思いつつ、俺は中央道を駆け抜ける。
茨城の実家を5/2の夜に出発した俺は、
常磐道~外環~関越~圏央~中央道という
微妙に都内迂回ルートを通りつつ、濃尾へと向かう。
移動距離は……都内経由ルートだと450kmほど、なのだが
迂回ルートだと500kmほどらしい。
まあ、高速だし大した違いではなかろ……
むしろ去年のように、首都高の渋滞に捕まるよりは
迂回ルートで車の少ない中をサクサク進むほうが良い。
中央道は、東名と違って車線数があまり多くなく
アップダウンとカーブがかなり多い。
平坦な東名と違って走りづらいけれど、
その分眠くら無いのが良いか?
甲府を抜ける頃には車の数も大分減り、
気楽に走れるのは少し有難いかもしれない。
ただ、車の窓を閉めていてもわかる、この寒さ。
高地を走っているから多少は寒いと思ったが
五月の初旬でここまで寒いとは……
諏訪湖SAに立ち寄ったとき、息が白かったのには驚いた……
しかし中央道のSA、この時間だと悉く売店が閉まっており
食事をとることすらままならない。
開いている店も、売り切れ多発でろくなものが残ってない。
やっと見つけたご飯類……笹の葉寿司だ。
鱒寿司2個、梅、葉わさびの三種類が入っていた。
温かいものが食べたかったが、もう仕方ない。
これはこれで旨いしな。
標高が高いからか、月が綺麗に見えた。
さて、長野の諏訪湖から、今度はまた南下する。
4時を過ぎると徐々に明るくなってくる、こうなれば走りやすい。
他の車も殆どおらず、気楽に走っていく。
下り坂なので、スピードだけには注意して
ただただ走って進んで……
おかしいな、予定では9時ごろ到着のはずだったのだが
まだ6時前じゃないか……
とりあえず最寄のPAについたことを今回一緒する人にメールで送る。
あとは何処かで一眠りしておけばいいだろう……
なんて思っていたら、さっさとメールが返ってきた。
起きていたようだ。
結局待ち合わせの場所を指定してもらい、
朝っぱらから出撃することに。
指定された場所でしばし待つと、
徒歩で遠くから歩いてくる人影。
……彼が、ボテ男爵さんか。
俺は車から出て頭を下げる。
そう、今回はボテ男爵さんとの共同採取なのだ。
うみーのお魚愚痴日記、採取記事第300回記念は
ボテ男爵さんと……ホワイティーに、逢いに行く。
というわけで、挨拶もそこそこに
俺は車を停めて、荷物を彼の車に移し変える。
失敗したのは、通常の遠征状態で
車に荷物を積んできてしまったこと。
最低限必要なものがどこにあるのかもイマイチわからず……
結局、目に付いた適当そうなものを移しかえて、さっそく出発。
……なんか、微妙に忘れたものがあるかもしれないが
まあ、いいや。大丈夫だろ……多分。
車の中では、ボテさんとの会話が弾む。
いままでに逢った誰とも違う新しいタイプの人物ではあるものの
考え方が似通っているのと……多分開き直った時の性格が近そうで
親近感を感じる人だった。
当然会話も楽しく、気が付けばポイントの近くへと到着していた。
さて、やってきましたポイント。
ここに……ここに、居るらしい。奴が、アレが、あいつが。
さっそく釣り道具を持って出撃する。果たして……
はやる気持ちを抑えつつ、釣り場に到着。
確かにここは釣りオンリーだな。深すぎる。
だが、水の透明度はかなり高く、底まで状況が良くわかる。
つまり、こちらが見釣りで相手を狙うことができる反面、
相手からもこちらの仕掛けがわかるということで
警戒心の強いタビラ相手にするには、
なかなか腕と経験が問われるポイントのようだ。
さて、そういうわけなのだけども、
水の中を覗いても、魚の姿は全く無い。
底まで見えるのに、魚の姿がない。
まるでいつぞやの岡山のようだ。
ボテさんに聞くと、普段はかなりの魚影なんだそうだ。
しかし、俺の目には魚の姿は全く無い。
とりあえず、物陰にいるかもしれないので
竿を出してみるか。
ボテさんと俺は、それぞれ思い思いに竿を出す。
このあたりは黄身練りが主流だと思うので
ならば俺の赤虫は効果があるかもしれん。
さっそく放り込む。
物陰いくつかに放り込むが、さっぱりあたりが無い。
どうしたもんか。
二人して「だめだねえ」なんてぼやきつつ
ノンビリやっていると、俺の竿に僅かなアタリ。
さっと引き上げると……タナゴだ。
最初はシロヒレに見えたが……
よく見ると、これまた立派な一文字のメス。
黒点が出てはいるものの、サイズが相当でかい。
本場の一文字は初めてだよ。
九州で移入の一文字を捕まえたが
こんな立派なサイズは捕まえたことが無かった。
さすが本場というところだろうか。
さて、それからなのだが、
一時間ほどさっぱりアタリが無い。
いわゆる
太陽が昇ってくると、少しずつ魚影が見えてくる。
決して濃いというわけではないが、
見るからにタナゴであるのがわかり、気持ちも盛り上がる。
ただ……
全然餌に見向きもしねえ。
そんな中だ……
物陰に。
物陰。
石と石の間の、ほんの僅かな隙間。
陰になった隙間。
その影に、白く輝く、ゆらりと舞うヒレ。
黒と白の、くっきり分かれた、ヒレ。
……あれは、あれは!
あれは!!
ホワイティーの、オス!!
間違いない、あれは俺の捜し求めた、オスだ!!
水の上からでもわかるその姿、
あれを……あれを釣ってこそのゴールデンウィーク!!
俺はさっそく、物陰の入り口にそっと赤虫を落とす。
それからじっと、じっと、じっと待つ。
奴は物陰の中の隙間を通って、
あちらこちらに顔を出しているようだ。
そのうちのひとつに、俺が餌をおいている。
10分ほど待ったところ。
奴が顔を出す。
奴は……俺の赤虫を……突付く。突付いた!
そして、針に掛からないギリギリの端を咥えて……
え? そこで食わないの?
奴は、端を咥えたまま物陰に潜ってしまう。
……赤虫は……引っ張られた勢いで、ちぎれてしまった。
仕方なく、赤虫を付け直して再度投入。
だが……奴は二度と赤虫を咥えることは無く……
最終的に、一時間も経つと、顔すら出さなくなってしまった。
あちこちでポイントを探していたボテさんも
結局成果を出すことは出来ず、
釣り上げたのは一文字一匹だけだった。
たった数メートル先に、俺の捜し求めた奴がいた。
フィールドで最高の色を出した姿を見た。
……でも、その数メートルが、遠い遠い。
とはいえ、たった数メートルまでたどり着いた。
ま、しょうがねーな。
また来る理由には、なるかね。
ちなみに移動の前に、浅場にアナカリスの塊があった。
「それっぽい」感じがするポイントだ。ビビっと来た。
俺は網を二本使って、ボテさんと挟み撃ちをすることにした。
ボテさんは「そんなところには」というのだが、
まずはやってからの話だ。
さっそく二人で岸から挟み撃ちをすると……
網の中に、ちっこいタナゴが入っているじゃないか。
極小のタナゴ……文字にも見えるが、白ヒレっぽいな。
……ま、メスだけど。
まあ仕方ないか、今日のところはこの辺りで我慢しとくかね。
……リベンジすっからな、待ってろよホワイティー。
●ここで出会えた主な生体(赤字はフィールド初遭遇)
イチモンジタナゴ
シロヒレタビラ