下手の横好き日記

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島田荘司『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』

2007-04-23 23:36:18 | 
この本は御手洗シリーズではないのですが、
島田氏が書いたホームズ譚で、なおかつ夏目漱石とのコラボということですから、
ぜひ読んで見なければと思っていた作品です。

1900年。ロンドンに日本から文部省の留学生としてやってきた夏目漱石は、
ある夜以降、窓の外でパチパチと音を出しながら「出て行け」と囁く幽霊に悩まされる。
思い余って下宿を引越し、安堵したのも束の間、再び聞こえてくる幽霊の囁き。
彼は師事していた学者からベイカー街の変人ホームズの噂を聞き、訪ねてみることに。
夏目漱石とホームズの出会いは、一夜にしてミイラと化した男の謎へとつながっていく・・・

これはもう、読み始めてすぐニヤニヤしつつ、クスクスしのび笑いつつ楽しみました。
純粋なホームズ愛の人は、怒り出しそうですけど(^^;

構成としては、夏目漱石が書いた部分とワトソンが書いた部分が交互に配置されています。
驚きは夏目漱石部分。特に前半の章は、まさしく漱石風の文体でいい味が出ていました。
いや、漱石の文体でなければ、あのホームズの描写はユーモアでなく悪趣味になっていたかも。
そういう意味では、夏目漱石とホームズを出会わせたのは大正解でしょう。

それにしても、ワトソン側も漱石側も全く同じ出来事を描いているはずなのに、
書かれている内容が、本当に全然違っているのです。これは如何に?(苦笑)
漱石一流の風刺的作風が極端な形で炸裂していると見るべきなのか?
ワトソンのホームズへの友情が、彼をスーパーマンにしたと見るべきなのか?
どちらの立場に立って読むかは読者のお好きなように・・・とでもいうように、
作品はただ、作品として並べられているだけです。

島田氏のホームズ譚への思いは、最後の章に込められている気がしました。
ああ、好きなんだな~というのがしみじみと感じられるエピソード・・・
それに、個人的にものすごく夏目漱石に親近感を持ってしまいました(^^)
最後のオチまでニヤリとさせてもらって、大満足の一冊です♪

島田氏のホームズとワトソンを見ていると、つい御手洗と石岡を重ねてしまいます。
ホームズの言動が御手洗に見え、ワトソンの言動が石岡に見える。
島田氏が以前、御手洗は日本的思考&文化の人ではないと述べていたことからも、
島田氏のホームズ解釈の結論こそが、御手洗潔だと言えるかもしれませんね。


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2 コメント

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へぇぇぇ。 (あかね)
2007-04-24 20:31:58
島田先生ってこんな作品も書いてらっしゃるんですね!?
知らなかった~!!!
でも、
すっごく面白そうー!!!(笑)気になる!!!
だって、夏目漱石まで?!
これは読みたいな~♪♪♪
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まじで (viviandpiano)
2007-04-24 23:08:18
面白いです!
パロディなんですけど、軽視できない完成度。
夏目漱石のロンドンでの生活や、
当時のベイカー街の様子や、
さもありなん!って感じで、面白かったです。

シャーロック=ホームズを崇拝している人には薦めませんが、
シャレやユーモアの分かる人ならバッチリ♪
怪作かもしれないけど、読む価値は十分ですよ!
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