汐さいの浜の岩かげに立って
汐さいの砂に涙を捨てて
思いきり呼んでみたい 果てしない海へ
消えた僕の 若い力 呼んでみたい
青春の夢にあこがれもせずに
青春の光を追いかけもせずに
流れていった時よ 果てしない海へ
消えた僕の 若い力 呼んでみたい
恋でもいい 何でもいい
他の全てを捨てられる 激しいものが欲しかった
汐さいの浜の岩かげに立って
汐さいの砂に涙を捨てて
思いきり呼んでみたい 果てしない海へ
消えた僕の 若い力 呼んでみたい
小椋 佳の確かファーストアルバムだったと思う「彷徨」の中で、一番最初に出て来る歌がこの「しおさいの詩」で、当時20代半ばだったかと思う私は、早く仕事を覚えようと我武者羅に働き無我夢中で生きていたけど、ふと「シクラメンのかほり」の作者の作品を一から聴きたくなって小遣いを叩いて買い求めたLPに恐る恐る針を落とすと流れて来たのがこの曲だった。
「青春」・・・言葉にすると、光り輝く希望に溢れと言う絵に描いたようなイメージが浮かぶが、誰も彼もそんな絵に描いたような青春時代を送れる訳も無く、「青春の光と影」の中でも半影とも表現したいような微妙な陰影を衒い無く等身大に描いた作品群に徐々に引き込まれて幾度と無く聴いたアルバムには、「木戸をあけて」とか「雨が降り時が流れて」とか「さらば青春」とか、頑張れ~!とか大仰には叫ばないけれど、ひそやかな青春応援歌が軒を連ねる。