(写真は獅子にまつわる 能楽『石橋』)
126; 『獅子』王権と魔除けのシンボル (アジアをゆく)
荒俣宏 文
大村次郷 写真
集英社
2000年
117ページ
1995 円
龍や獅子などの聖獣に関心のある私は、先日訪れた 奈良の安部文殊院で公開されていた文殊師利菩薩像に刺激を受け、『獅子』王権と魔除けのシンボル (アジアをゆく)を楽しむことにした。
本書にはトルコのネムルート(本書 ネムルド山)、イスタンブーリ博物館の展示物や イランのペルセポリス、ナクシェ・ロスタム、ファールス地方、テヘラン博物館の展示物などのわたしのとってはなつかしい写真が載せられている。
そして、この場所がこんなにも美しく写せるんだと、写真家 大村次郷氏について知りたくなった。
そもそも獅子を意識したのは高校生の頃。
『四騎士獅子狩文様』を見て憧れのような感覚が生じたのが好きになったきっかけだった。
そんなような曖昧な理由でこの本も楽しく読了したが、井あままでにも言われてきた大切なことと、ためになる記述がいくつかあった。
今回も簡単にメモをと思ったが、目次とかぶる部分が多いので、ほんの一部だけ書きとめておきたい。
memo
獅子
水
王権のシンボル
生命の想像や再生を約束するシンボル
人面のライオン 109- 112
能楽『石橋』
ペルセポリス 「万国の門」
マンティコラス 人面ライオン体の怪物
ライオンの身体、サソリの尾、サメの歯、人面の幻獣
ライオンの胴体はスピードと力を表わす
中世『動物寓意譚』Sでは、人を殺す残忍さが強調されている
マンティコラス語源 ペルシャ語「人食い」
東アジアには存在しない
スフィンクス
人面ライオン体の神
⇅
顔がライオンである神
獅子舞 他
本の内容
百獣の王ライオンは聖獣として、世界中、いつの時代にも王権のシンボルであり同時に魔除けであった。エジプトのスフィンクスから日光東照宮の唐獅子まで全アジアを貫通する高貴な獣形の千変万化。
目次
ライオンから獅子への旅―ライオンの心を持つ者・西アジア古代王国の英雄からはじまる
王権を誇示するライオン―ライオン殺しのヘラクレスへの憧憬
王城守護獣のルーツを探る―城門の番獣から冥界の遣いスフィンクスまで
星と太陽とライオンと―生命の創造や再生を約束するシンボル
猊下のライオン―仏教の国で、獅子の咆哮は信仰をひろめる王の声となった
ネパールの宝珠を冠った獅子―頭頂の角に、宇宙原理を会得する霊的エネルギーが宿る
獅子の国、獅子の山―至福の浄土を見つけるこころみの中で
須弥山に吼える聖獣―建築で表現された「世界模型」とそれを護るライオンのポーズ
舞いおどるアジアの獅子たち―たてがみと大きな目の頭を振って、獅子舞が担った儀式
漢字の国へやってきたライオン―サンスクリットの「シンハ」が「師子」になり、獅子となった
高麗にはいなかった狛犬―狛犬も唐獅子も日本で新しい意匠を得た
イメージ・ジャングルの中の獅子狩
『獅子』王権と魔除けのシンボル (アジアをゆく)二関連のある内容の興味深いページを見つけましたのでリンクしておきたいと思います。
唐草図鑑 ライオンから獅子への旅