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保守記事.131-3-3 今こそ、地域!

2007-03-11 23:00:04 | 記事保守
覚えていますか NPC運動 「夢の種」次は何まこう(西日本新聞) - goo ニュース
駆け足の春が6000本の梅林を淡いピンクに染め上げた。青空の下、山里にマーチングバンドの演奏が響き渡り、あちこちで花見弁当が開く。

 日田市大山町おおくぼ台で4日に開催された「梅まつり」。27回目となる今年も5000人の人出でにぎわった。梅園を営む森文彦さん(63)も一杯入り、ほんのり桜色に染まっている。

 「あん時代、大山がこげな観光スポットになるち、だれが思うたじゃろかい」

 森さんは1本の古木に近づいた。コケむした幹の太さは直径約20センチ、大きく枝を広げている。「ウメ、クリ植えてハワイへ行こう」で知られるNPC運動が始まった1961(昭和36)年、50アールの野菜畑をつぶして自ら植えた1本。

 「背丈が腰んあたりの赤ちゃんやったけど、今は人間でいえば70歳ぐらいかね。収量は落ちたが、まだよー働いてくれよる。切るにはむげねー(かわいそう)」

 61年といえば、岩戸景気に沸く高度成長真っただ中。坂本九さんの「上を向いて歩こう」がヒットした時代だ。あのころも都市と農村の「格差」が広がり、谷底で平地が少ない当時の大山村はまさに「限界集落」だった。

 ☆ ☆ 

 NPC運動は国が進めるコメ増産、規模拡大農業に反旗を翻し、果樹中心の少量・高収益農業を目指した。今よりも保守的であった農村で、なぜこんな大胆な運動が実現できたのだろうか。

 関係者の多くはまず、「強いリーダーの存在」を挙げる。村長と農協組合長を兼任し、運動を提唱した矢幡治美さん(故人)はいつもニコニコ、女性にもてたが「ここぞという時は機関車のような人だった」という。

 全国で初めて整備した有線放送を使って「これからは生産性を考える農業でなければなりません」と連日、住民に意識変革を求め、あきらめムードに沈む地域を引っ張っていった。その姿は「宮崎をどげんかせんといかん」と訴え、宮崎県知事になった東国原英夫氏の姿とも重なる。

 61年に県農業指導員として村に赴任した池永千年さん(82)の脳裏には、もう1つの矢幡像も刻まれている。

 「これからは魚ではなく肉中心の食生活になり、梅干しなどのアルカリ性食品が好まれる」「法改正で自家製リキュールが解禁され、梅酒の需要が増える」

 矢幡さんは村内ばかりでなく、九州各地の産地や市場を自分の足で回り、現状を分析しながら、時代の一歩先を読んでいた。2人は立場上、当初にらみ合っていたが、やがて意気投合。「新婚旅行」と称して視察に連れ立ち、ウメ、クリ増産による農村再生に取り組むことを決めた。

 現場主義、先見性、分かりやすいキャッチコピー、ムードづくり…。その手法は今も色あせることはない。

 ☆ ☆ 

 矢幡さんは「私はリーダーではない。シーダー(seeder=種をまく人)だ」と表現した。矢幡さんがまこうとしたのは「夢」ではなかっただろうか。

 梅まつりの会場。森さんたちの酒宴の席でそんな話をしたらアイデアがいっぱい出てきた。

 「しょうゆを搾る前の『しょうゆの実』っちゅうのがあるけど、あれを熱々のご飯に乗せるとうめー。お茶漬けにしてもいい」「葛(クズ)の根っこを使った葛根団子を最近はあまり見かけなくなったが、もう一度食べてーな」

 都会では決して買えない、食べられない、地域の「オンリーワン」。農家でつくり、地域で食べてもらうような地域循環を生み出せば、新たな農村の姿が見えてはこないだろうか。

  農家の高齢化もあり、NPC運動自体も曲がり角に立っているのも事実だが、その歩みは大山町ばかりではなく、合併後の新市の財産でもある。行財政改革の流 れの中、地方の事業や暮らしは削られるばかりだが、こんな時代だからこそ、夢の種を1粒まいてみませんか。 (日田支局・岩尾款)

■NPC運動

  ウメ、クリ栽培による所得向上を目指した第1期(1961年~)▽地域内のよりよい人間関係を築くための「人づくり」を軸とした第2期(1965年~)▽ 町内を8「団地」に分け、新たな農村共同体(コミュニティー)づくりに取り組む第3期(1969年~)と、3段階に分けて進められている。村や町、農協が 中核となり地域を挙げて運動に取り組み、県の「一村一品運動」にもつながっていった。九州農政局などによると、町内のウメ農家(約220戸)の年間生産高 は1億7000万円で、これまでに約1900人がハワイ旅行に行った。第1期は「New Plum and Chestnuts」▽第2期は「Neo  Personality Combination」▽第3期は「New Paradise Community」。

=2007/03/11付 西日本新聞朝刊=

【過去記事】
保守記事.131-3 地域は、必要なのか
保守記事.131-3-2 地域、とは?



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