FBI女性職員、捜査対象のIS勧誘員とシリアで結婚
BBC News 5/3(水) 15:52配信
米連邦捜査局(FBI)は2日、過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)を取り調べていたFBI通訳が、シリアへ渡航し、捜査対象だったIS勧誘員とひそかに結婚していたことを正式に認めた。
FBIはBBCニュースに対して、この事態を受けて「安全保障上の危険性を特定して削減するため、様々な分野でいくつかの対策を講じた」と説明した。
FBI通訳だったダニエラ・グリーン元服役囚(38)が2014年にFBIに嘘をついてシリアでIS勧誘員と結婚し、米国に帰国後に有罪となり2年間服役していたというニュースは、米CNNが1日に最初に報道した。
米裁判所は当初、グリーン元服役囚の件について情報公開を禁止したものの、連邦裁判所の記録公開に伴い、1日に初めて明らかになった。
グリーン元服役囚の結婚相手は、、ドイツ人でラップ歌手からIS勧誘員に転じたデニス・カスパート容疑者。
米政府は2015年2月、カスパート容疑者を特別指定国際テロリスト(SDGT)に指定した。
同容疑者はISのプロパガンダ映像で、切り落とされたばかりの人の頭を手にしていた。
CNNによると、FBIのデトロイト支局で働いていたグリーン元服役囚は2014年1月、カスパート容疑者の取り調べを担当するようになった。
ドイツ語が堪能な通訳だった元服役囚はその6カ月後、カスパート容疑者と結婚するためシリアへ渡った。
チェコスロバキア生まれの元服役囚は、FBIの上司に対し、ドイツにいる両親に会うため旅行を計画していると話していた。
しかし実際にはトルコへ渡り、地元IS関係者の助けを借りてシリアへ入国したとCNNは伝えている。
元服役囚は当時、米国軍人と結婚していた。
2014年6月にシリアに到着して間もなく、元服役囚はカスパート容疑者と結婚したとされている。
カスパート容疑者は、ラッパーとしては「デソ・ドッグ」を名乗っていたが、ISに加わり「アブ・タルハ・アル・アルマニ」を自称していた。
一方で元服役囚は、結婚から間もなく、新しい夫について考え直すようになったようだ。
CNNによると、グリーン元服役囚は米国にいる人物に、「今回は本当にヘマをしてしまった」と書き送った。さらに翌日には、「もうおしまい。戻れないし」と書いている。
「とても厳しい環境にいて、ここでどれくらいもつかわからないけど、もうどうしようもない。何もかももう手遅れ」
しかしシリアに到着して1カ月たたないうちに、元服役囚は米国に戻った。どのようにIS支配地域から脱出できたのかは、明らかになっていない。
CNNによると元服役囚は、FBIの捜査対象になっていることをカスパート容疑者に教えたと、認めている。
元服役囚は2014年12月、「国際テロに関わる虚偽報告」をした罪を認め、連邦刑務所で2年服役した後、昨年夏に釈放された。
現在は、ホテルで働いているというが、場所は明らかにされていない。
CNNが入手した裁判書類によると、検察側はグリーン元被告の行為を「とんでもない」ものだと批判し、「厳罰」相当だと主張。しかし、比較的短い刑期が言い渡されたのは、当局に対し「重要で、長期にわたる、相当な」協力をしたためだと検察は説明している。
弁護を担当したショーン・ムーア弁護士は、元服役囚が「聡明でハキハキと話し、明らかに世間知らず」で、「心から後悔している」とCNNに述べた。
弁護士はさらに、「とうてい自分の手に負えないことに関わってしまった、単なる善意の人だった」と話した。
(英語記事 FBI woman went to Syria to wed IS recruiter she investigated)
(c) BBC News
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