鹿島鉄道、廃線の危機 継続めざし住民らが新会社
霞ケ浦湖北を走る鹿島鉄道は、80年以上の歴史を持つ単線非電化の私鉄。1936年に製造された現役最古の気動車「キハ601」などを目当てに、全国から鉄道ファンも訪れる。
だが、利用客は減少し続け、02年から親会社の関東鉄道(同県土浦市)と県、地元自治体の財政支援でかろうじて存続してきた。昨年8月、つくばエクスプ レス(TX)が開業。TXと競合する関東鉄道のドル箱、高速バスが打撃を受けたこともあり、「支援」の仕組みが崩れた。結局、来年3月で鉄道事業から撤退 することが決まり、運行を引き継ぐ会社に存続を託すことになった。
11月末に始まった公募は、12月11日まで実施。新事業者には来年度以降5年間、自治体が6億5000万円を上限に支援を行う。廃線に反対する市民団体「『鹿島鉄道』存続再生ネットワーク」(長谷川功代表)は応募に向け、11月から会社設立に取り組んできた。
だが、課題は多い。資本金は最低目標の1億円に対し、現時点で出資の確約がとれたのは、約7000万円ほど。鉄道施設や技術者は鹿島鉄道から引き継ぐ意向だが、同鉄道は「具体的な交渉は審査を通ってから」との立場で、先行きは不透明だ。
利用客の減少は、JR常磐線(石岡駅)への乗り換えを重視したダイヤ改定で歯止めをかける計画という。長谷川代表は「この地域の交通サービスを維持するには鉄道が必要だが、残された時間が少なく、撤退を1年ほど延期してもらわないと間に合わない」と話す。
ローカル鉄道の廃線は、ここ数年全国で相次いでいる。公募は今回が3例目で、茨城県の日立電鉄では事業者が決まらず、05年3月で廃線。一方、和歌山県の南海電鉄貴志川線は岡山電気軌道(岡山市)が事業を引き継ぎ、今年4月から和歌山電鐵として再生した。
公募には今のところ、東京の旅行会社も名乗りを上げている。ただ、「市民団体と連携したい」としており、再生ネットの行方が存廃を左右することになりそうだ。
【過去記事】保守記事.44 よみがえるか?
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