2006年10月1日(日)03:03
日本製の化粧品や食品の品質を問題視する事件が中国で相次ぎ、波紋を広げている。大規模な騒動となった高級化粧品「SK(エス・ケー)―2 (ツー)」は、中国市場で販売再開のめどが立たないまま。食品では詳細な情報が中国側から提供されず、日本政府は対応に苦慮する。日本への狙い撃ちとの見 方もあるが、消費者の安全意識の高まりなど様々な事情がからんでいるようだ。
●販売めど立たぬ「SK―2」
上海の高級百貨店では、SK―2の専売コーナーの取り壊しが進む。配合が禁じられているクロムなどの成分が当局の検査で検出され、一時販売停止に追い込まれたからだ。返品・返金を求める消費者が同市のオフィスに殺到し、玄関扉が破壊される事件も起きた。
美容液が880元(約1万3000円)などSK―2は日本円で1万円前後の商品が多く、中国都市部の月収に相当する超高級品だ。外資系で働く30 代の中国女性は「水銀入りの国産化粧品が摘発されるなど、安全性へ関心が高まっている。信用と期待が高い輸入品には反発も激しい」と話す。
SK―2は米P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)傘下のマックスファクター(神戸市)が生み、現在はP&Gの化粧品ブランドとして日中韓や 米英など12カ国・地域で売られている。シンガポール、台湾、香港、EU(欧州連合)の当局や業界団体は安全を宣言したが、中国大陸では騒動が続く。
問題の成分についてP&Gは「配合はしていない。水や土に微量に含まれるため混入の可能性もあるが、中国当局による検出量はWHO(世界保健機 関)が『食べても安全』とする量よりはるかに少ない」と反論。日本政府も中国政府に、化粧品成分の詳しい規制情報の公表を要請した。
中国では05年、SK―2で皮膚炎を起こしたとする訴訟が起き、ネット上でボイコット対象の日本製品に加えられることもあった。今回も日本製を強 調した報道が目立ち、「(日本を狙い撃ちする)政治的な理由がある、と疑念を持たれるのを避けられない」(香港紙、明報23日付社説)とする論評も出始め た。
こうした批判を意識してか、中国商務省系の新聞、国際商報は最近、ケンタッキーフライドチキンなどでの食品安全を巡るトラブルを挙げて「国際企業 と消費者の紛争が増えている」とする記事を掲載。その中で「(外資は)輸出先の法律や基準にあわせるべきだ」として、中国独自基準の正当性を強調してい る。
●農薬規制に報復の見方
中国では日本製食品への圧力も強まる。中国政府は6月から強化した安全検査で日本産の冷凍タコやサンマ、魚肉ソーセージなど約30品目から、中国 の基準値以上のヒ素などが検出された、と公表。日本政府にも8月下旬に通報があり、管理の厳格化を求めているが、日本側には「報復」との見方が広がってい る。
日本政府が5月末に、国産・輸入を問わず食品の残留農薬に対する規制を強化し、中国の農産物の対日輸出が6月時点で2割近く激減。中国商務省が「公平性に問題がある」と反発した経緯があるからだ。
検査の厳格化により、日本からの食材調達が遅れた飲食店が一部に出ている、との情報もある。ただ、政権交代で日中関係の改善も期待されるだけに、日本政府は、安全性をめぐる騒動が、新たな摩擦の火種になることを恐れている。
「何ですかね、この時期に」。中川農林水産相(当時)は9月中旬の記者会見で不快感を示した。日中貿易では、01年に日本が中国産のネギなど3品 目に緊急輸入制限措置を暫定発動し、中国が日本製自動車などに報復関税をかけて混乱した過去がある。松岡農水相は29日、「冷静に誠意を持って話せば、道 が開ける」と話した。
厚生労働省は、中国側に事実関係や基準の詳細などを照会中だが、「返答がないので輸出業者や生産地が特定できず、注意を促そうにも難しい」(監視安全課)。農水省も中国側から回答があれば、業者に中国の基準の順守を指導し、事態の沈静化を待つ構えだ。
中国産の茶、玩具、電気製品などの安全性をめぐり、EUは中国政府間と日常的に対話の機会を設けている。この点で、日中間では「当局間の連携や意思疎通に滞りがある」(中国紙記者)との指摘もある。
中国で販売中止の「SK-2」、韓国当局は「安全」(朝日新聞) - goo ニュース2006年10月2日(月)18:35
中国で金属成分の検出を理由に販売停止に追い込まれた日本製化粧品「SK(エスケー)―2(ツー)」シリーズについて、韓国食品医薬品安全庁は2日、「検査の結果、微量の金属成分が検出されたが、健康に危害を及ぼす量ではない」と発表した。
同庁が韓国に輸入されている8製品を検査した結果、7製品からクロムとネオジムが検出されたという。ただし、いずれも非常に微量で、「信頼できる 論文など学説に照らした結果、皮膚など人体に影響を与える心配はない」とした。製造管理記録も入手して調べたが、製造過程で配合された事実もなかったとし ている。
韓国では、SK―2は韓国P&Gが日本から輸入して販売している。高級化粧品として人気が高いが、中国での騒動を受け、一部百貨店などで販売中止や消費者が返品を求める動きが出ていた。
【過去記事】保守記事.73 まだ、発展途上?
保守記事.73-2 ただの言い合い?
保守記事.91 中華狂想曲
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