TSUNODAの経営・経済つれづれ草

身近な経営に関すること、経済に関することを思うままに

エコ車補助金終わり各社値下げに

2010-09-30 07:14:19 | 経営全般
政府のエコカー購入補助制度の終了で、自動車各社が実質的な値引き販売を実施します。

 ホンダは10月から、一部の車種で自動車ローンの金利を通常より引き上げます。トヨタ自動車も10月から値引きを始める方針で、販売競争が激化する模様です。この値下げは、他の自動車メーカーにも波及するのではないでしょうか。

 日本銀行の9月の企業短期経済観測調査(いわゆる短観)では、生産や消費の現場では、夏場までの好調の反動が出始め、景気の先行き不安感は強まっています。

 テレビを見ていましたら、30歳の女性タレントが、自分たちは好景気ということを味わったことがないと話していて、好景気を経験してみたいと話していました。

 1990年から「失われた10年」その後の「まやかしの好景気の10年」と、ここ20年間私たちは、景気がよい印象というを持つものはないのではないでしょうか。

 価格志向はデフレを加速させていると言われますが、無理からざることのような気がします。

さて、地元群馬県では、前橋市に所在する「東芝機器」が来年3月に事業終了を発表しました。飲料用自動販売機製造・販売を事業内容にしている企業ですが、ここ数年は赤字に転落し、業績回復のめどが立たなくっての決断であったようです。

 不景気の長期化、そして雇用不安の増大と厳しい経済環境が続きそうです。

トヨタ自動車が軽自動車に参入

2010-09-29 07:19:42 | 経営全般
 トヨタ自動車が、2011年秋から軽自動車に参入します。

 子会社のダイハツ工業から0EM(相手先ブランド)で車の供給を受け、年60,000台を「トヨタ」ブランドで販売する予定です。現在、国内の新車販売は購入がしやすい軽自動車の比率が高まっているため、トヨタも自社ブランドの強みを生かして、売上を伸ばす戦略をとったようです。

 トヨタグループでは従来、トヨタが軽を除く登録車、ダイハツが軽自動車を販売することですみわけていましたが、新たな販売方法を実施していきます。

 この戦略はトヨタの持つ強力な販売網で軽自動車の販売台数を増やすものですが、それだけトヨタが、国内軽自動車販売を重視しているということです。

 トヨタは「レクサス」という超高級車を生産して世界に打ってでましたが、今や稼ぎ頭は「プリウス」です。

 今回の戦略は、国内消費動向を見極めたものであると私は思います。


消費者金融大手「武富士」が会社厚生法申請

2010-09-28 07:03:40 | 経営全般
消費者金融大手の武富士は、早ければ28日にも東京地裁に会社更生法の適用を申請します。

 武富士の2010年4~6月期決算での借入金などの帳簿上の負債は4,046億円に達しました。顧客から受け取り過ぎていた「過払い利息」の返還をすべて求められると仮定すると、負債総額は「2兆円を超える可能性もある」との見方があります。

 資産は5,592億円のため、大幅な債務超過になることは必至で、仮払い利息の返還金が大幅にカットされる可能性が高いと予想されます。

 武富士の破綻は消費者金融業界に一層の淘汰を促す可能性があります。競合他社の顧客も仮払い利息をきちんと利息を返してもらえないと恐れ、いったんは返還請求が増えると見られています。

 一方、三菱UFJフィナンシャル・グループ子会社のアコムや三井住友FG関連会社のプロミスの銀行系は、資金面のバックアップがあり生き残っていきそうです。

 改正貸金業法の完全施行で、強引な回収や高利息などは通用しなくなり、消費者金融の時代は終末期を迎えたようです。

 これは、言ってみれば「国の方針」ではないでしょうか。また、消費の低迷に見られるように、消費者金融から金を借りてでも物を買う消費者の減少が背景にあるとするのはうがった見方でしょうか。

 

「いせさきもんじゃまつりと当地B級グルメフェスタ」が開催されました

2010-09-27 07:06:00 | 地域産業
 地元伊勢崎市の「市民の森公園」で、26日「いせさきもんじゃまつりと当地B級グルメフェスタ」が開催されました。いさせきもんじゃまつりは今回で8回目ですが、今年は、近隣のB級グルメを呼んで開催されました。

 さて、このもんじゃによる街おこしは、伊勢崎商工会議所青年部が企画実施しているものです。マスコミにも取り上げられ、知名度が上がってきているのですが、もう一歩という印象です。

 あと一歩と感じてしまうのはなぜかと思うと、もんじゃの店が伊勢崎市にそれほど多くないということです。
 それから、もんじゃはマイナーな食べ物だからではないでしょうか。

 もしかしたら、仕掛ける対象の潜在力を間違っているのではないかと思うには私だけでしょうか。
 

「生きる意味」(諸富祥彦著)」を読む

2010-09-26 14:18:58 | 今週の一冊
 諸富祥彦著の「生きる意味-ビクトール・フランクル22の言葉-」を読みました。



 この本の中でフランクルが述べていることではないのですが、つまり著者の考え方ということなのでしょうが、以下のことが書かれています。納得です。以下引用です。

 例えば、キャリア心理学では、よく次のように問います。
「あなたがしたいことは何ですか。あなたが人生で叶えたい三つのことは何ですか。あなたの人生の目標は何ですか。どんな希望や願望を実現したいでしょうか。その目標を十五年後に達成するために、まずはどのようなことから始めたらいいでしょうか」

 しかし、人生観そのものの根本的な転換を迫るフランクル心理学では、こうした問いそののものを逆さまにします。

 「あなたは、この人生いま何をすることを求められているいますか。あなたがしたいことではなく、あなたのことを本当に必要としている人は誰でしょうか。その人はどこにいますか。その誰かや何かのために、あなたにできることには何があるでしょうか」と、このように自問自答せよ、フランクルは言うわけです。

 つまり、このようなことです。

「自分の幸福を求めて、自分がしたいことをやるのが人生だ」という人生観から脱却し、「自分がこの世に生まれてきたことの意味と使命とを実現していくのが人生だ」という人生観へと転換することなのです。

 この本に要約として、以下のように書かれています。

「自分中心」「自己実現中心」の生き方から、「人生からの呼びかけに応える生き方」「意味と使命中心の生き方」へと、生き方を百ハ十度転換せよ。そうしなければ、真に穏やかな幸福は決して手に入ることはないのです。

 今、キャリアデザインとか言われていますが、この考え方では、人間はもっともっとと自己実現の目標を高めていき、結局は、満足しない生き方をするのではないでしょうか。

 人間が人生の意味は何かと問う前に、人生のほうが人間に問いを発してきているのです。

 私は納得です。
 

イチローが10年連続200本安打を達成

2010-09-25 08:21:43 | 経営全般
 大リーガー(シアトルマリナーズ)のイチローが、10年連続200本安打を達成しました。

 この記録は、数々の記録を達成してきたイチローに新たな勲章となりました。それにしても、イチローはすごいですね。私は、イチローのファンで、大リーグに移籍した時から、日々の記録をインターネットやテレビを見てきました。

 イチロー、どこにいっても自分のスタイルを貫きますので、チーム内で孤立する傾向にあるようですが、天才肌の人にはままあることなのかもしれません。一方、最近は、低迷気味ですが、松井は、「いい人」のようです。

 プロスポーツの人が熱中するのは、自分のありたい姿を、選手に投影するためと言われます。イチローは、アンケートなどではもっとも人気のあるプロスポーツ選手なのです。

 これは、組織にあっても自分のスタイルを貫きたい、そして自分の存在をきわだせたいという願望を持っている人が多いということなのでしょうか。

中国、日本向けレアアース禁輸に

2010-09-24 06:53:19 | 経営全般
中国の複数の税関で、ハイテク製品に不可欠なレアアースの日本への輸出が止められていることが23日わかりました。

 これは沖縄県尖閣諸島での衝突事件を受けた事実上の禁輸措置と見られています。この他にも中国政府が日本への広範囲に及ぶ経済制裁措置を検討していることが判明してきました。

 中国政府は、観光客の取りやめなど、日本経済の弱いところを突いた制裁を次から次へと繰り出しています。

 それで、きょうになって、日本政府は、日本に拘留している中国人船長の釈放を決めました。

 中国へ毅然とした対応ができないわが日本と中国の差は、成長する国と衰退している国の違いなのでしょうか。

 

日本産業カウンセラー協会上信越支部の「傾聴訓練」に参加しています

2010-09-23 06:48:07 | 経営全般
 日本産業カウンセラー協会上信越支部の開催している「傾聴訓練」に参加しています。

 この講座は、年間10回あるのですが、今日が4回目でした。都合で午前中しか参加できなませんでした。午前に実施したのは、「3K・プロセス面接実習」という手法でした。3人が聴き役で15分ずつ都合45分の面接実習を行うものでした。

 私は観察者でしたので、なんかぼーっと過ごしてしまいました。

地元群馬県地価下落幅拡大3.9%に

2010-09-22 06:46:34 | 経営全般
地元群馬県は、土地取引価格の指標となる2010年地価調査(7月1日)の結果を公表しあmした。

その結果は、林地を除く412地点の平均変動率は昨年比でマイナス3.9%となり、1993年から18年連続の下落となりました。
 最も下落幅が大きかったのは、前橋市千代田町4丁目のススラン前橋店近くの店舗で、1平方メートル当たり15万4千円)でマイナス7.8%でした。最高価格地点は商業地が高崎市連雀町のファーストフード店の26万6千円となりました。

 前橋市は、下落率10位のうち5地点を占めており、イトーヨーカ堂前橋店の撤退、前橋サティーの閉店など大型店の動向が地価に敏感に反応した模様です。

 さて、イトーヨーカ堂前橋店跡ですが、「前橋ステーションビル・el」と名称変更し、11月19日にリニューアルオープンする模様です。

 「たかの友梨ビューティークリニック」も出店します。スズラン、フレッセイと郷土色の強い商業施設に衣替えしますが、その店舗運営が成功するか未知数です。
 
 なぜなら、消費者は、郷土色という意味あいでなく、自分のニーズを満たしてくれるかで購買するからです。けやきウオーク付近はともかく、前橋中心市街地の商業地の復活の道は険しいものがあるのではないでしょうか。


 



「日本青年上海万博訪問団」の1,000人招致延期に

2010-09-21 07:01:38 | 経営全般
外務省は、中国の招待で21~24日に訪中するはずだった1,000人規模の「上海万博訪問団」について中国側が受け入れ延期を19日に通知してきたと発表しました。

 沖縄県尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁巡視船に衝突した事件の余波が民間交流に広がっています。SMAPの上海万博公演も延期となりました。

 どう見ても中国のやり方は問題があるのではないでしょうか。

「会社が嫌いになっても大丈夫」(楠木新著)を読む

2010-09-20 07:30:40 | 今週の一冊
「会社が嫌いになっても大丈夫」という本を読みました。



 この本は、有名国立大学出身で大企業に就職した著者が、課長職への登用も、支社長就任も同期トップとエリート街道を走っていたのですが、うつ状態になり、3度の休職を経験したが、立ち直った記録です。

 この本では「こころの定年」という著者オリジナルキーワードがたびたびびでてきます。この言葉は、「誰のために役だっているのか分からない」「成長している実感が得られない」「このまま時間をやり過ごしていっていいのだろうか」と自問自答した結果から生まれた言葉です。

 言ってみれば、うつ病を経て「こころの定年」にいかに向き合うのかというテーマを掘り起こした記録となっている本です。

 この本では、うつに至るまでの状況、会社、家族、病院などとの関係や、その時々の著者の心情が正直に書かれています。組織人が書いたものですから、医療や心理等の人が書いたのと違った視点のことが書かれています。以下、その箇所で私が印象に残った引用です。

・職場のメンタルヘルスを取り上げる場合、インフルエンザの患者に対する治療とは異なり、その人と組織との関係、上司、部下や家族との人間関係、またはその人のライフスタイルやメンタル面が密接に関わっていることなどを見逃しては意味がないと思ったからである。同時にその人の主体性が発揮されなければ本来の回復は難しいだろうとも感じていた。

・うつが治るというのは、元に戻ることではなく、「自分の心構えを切り替えること」、「新しい生き方を探すこと」だという実感である。逆に言えば、切り替えない限り、本来の治療はありえないような気がする。

・実際には、自分を変えることは本当に難しい。変えるどころか自分の立ち位置を変化させるだけでも自身の存在を賭けるようなことが求められる場合もあるのだ。ビジネス書の中には、前向きに一定の努力をすれば簡単に自分を変えることができると説く本があるが、私の実感とは相当隔たっている。

・採用の責任者を務めた立場でいうと、本来の採用活動は、一緒に働く仲間を募る行為だと思っている。

・就職には偏差値も全国共通就職テストも存在しない。それは、就職活動が優秀な人を見出すコンテストでなく、部下や同僚として一緒に働きたい仲間を探す行為だからだ。

 著者は、3度の休職という壮絶な経験を経験した中で、200人への転職した人へのインタビューという生きがいを見出し、書籍を出版、大学の講師、全国新聞への連載記事と活動をしています。

 この本には、苦しんで苦しんで得た、心の平安が書かれています。

 さて、3度の休職の時期のことが書かれているのですが、著者が休職時の他の人の負担はうだったのでしょうか。著者が自分の道を見つけていく過程が丹念に書かれていますが、その時に著者の仕事を代りに担当していた人の負担はいかばかりだったのでしょうか。管理職だったので実務はなく、意思決定するのが仕事だったので問題なかったのでしょうか。

 うつ病の人が職場に出て3カ月休業すると、他の人は不満が募ると言います。6か月休業すると、職場に不満が充満すると言われます。1年休業すると、他のうつ病患者が発生すると言われます。

 著者は管理職であり、大企業に勤務しており人員的な余裕がある環境なのでしょうから、上記のようなことはなかったのかもしれません。回復して、多方面で活躍されていることが丹念に書かれていますが、組織でうつ病の人の周辺のに負担を強いられる人への思いがないのが気になりなります。まあ、そんなものなのでしょうか。

 
 



三洋電機、地元大泉の半導体向上を閉鎖

2010-09-19 08:24:22 | 地域産業
三洋電機が2012年をめどに大泉町坂田と岐阜県にある半導体工場を閉鎖する方針を固めました。

 両工場の約1,000人の従業員は、生産を集約する新潟県の工場に移るか、太陽電池など成長分野に配置転換となります。閉鎖するのは、携帯電話やテレビ向けのトランジスタなど生産する東京製作所内(大泉町)ある工場と岐阜県安八町の工場です。地元大泉工場には約700人の従業員がいます。

 大泉町長は大阪府の三洋本社を訪問して雇用確保などを要望してきましたが、三洋電機にとって、半導体事業は、三洋の親会社のパナソニックも手がけており、相乗効果が小さくリストラの対象となっていました。このため、三洋は今年7月に不採算の半導体事業を米半導体メーカーのオン・セミコンダクター社の子会社に約330億円で売却することを発表しており、年内に事業譲渡が完了する計画です。企業の判断は厳しいものとなりました。

 2年前の金融恐慌以降、三洋電機を中心に工業都市として発展してきた大泉町では自動車ランプ大手の市光工業の撤退をはじめ産業空洞化の波にもまれています。宮津製作所の事業譲渡、そして三洋電機の半導体工場移転です。

 配置転換の対象となる700人の中には、家庭の事業で辞めざるを得ない人も出てくると思います。働く者にとっては厳しい時代が続きます。

 

 

菅改造内閣のスタートと地元「宮津製作所」の事業譲渡

2010-09-18 05:52:09 | 経営全般
菅改造内閣が17日にスタートしました。

 緊急の課題は円高の緊急対応ですが、地元群馬県の金型メーカー「宮津製作所」は富士テクニカに事業譲渡します。この背景には、世界的な金融危機後の消費減に伴う新車開発の縮小があります。自動車用金型の受注は大幅に減り、金型大手の経営は生き詰まっていました。

 宮津製作所(大泉町)は1950年創業で、1967年に設立した地元群馬県を代表する金型メーカーです。国内自動車各社のほかプジョーやクライスラー、タタ自動車(インド)などにプレス金型を製作しています。従業員は460人ですが、12月中旬までに140人を人員削減する予定です。売上高は2008年2月には157億円計上しましたが、2010年2月期は、71億円と半減して純損失が20億円と債務超過に陥ってしまいました。

 これらのデータを見ますと、いかに金融危機以降の景気後退が大きな要因になっているかがわかります。このデータを見ますと、政府の公的な景気対策ではどうにもならない要素があるのではないかと思ってしまいます。

 世の中、政府の景気対策がしっかりしてないから不況から抜け出せないと言われていますが、経済のグローバリゼーションの進展の中、どうしょうもない分野もあるのではないでしょうか。

 確かに政府は無為無策と批判することは容易ですが、政府が景気対策を実施することで、すべての企業が浮上するものではないようです。

 



 

外食日本一ゼンショー-日経ビジネス2010.9.20-

2010-09-17 07:01:54 | 経営全般
 外食産業の首位逆転が秒読みに入りました。

 牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーが、ハンバーガーのマクドナルドを連結売上高で抜くのがまじかになっています。

 その躍進の根底にある生産性に対する執念と特異な社風について今週号の「日経ビジネス」で特集しています。

 特集では、「ヒト生産性で極限に望む」という題が記載されています。

「夜と霧」(フランクル著)をよんでまた新しい発見

2010-09-16 06:42:57 | 今週の一冊
 フランクル著の「夜と霧」(新版)を読んでいます。

 この本は、読むたびに新しい感動、発見があります。今回読んで感動したのは以下の箇所でした。以下引用です。

 雪に足を取られ、氷に滑り、しょちゅう支え支えられながら、何キロもの道のりをこけつまりびつ、やっとの思いで進んでいくあいだ、もやは言葉はひとことも交わされなかった。だがこのとき、わたしたちにわかっていた。ひとりひとりが伴侶に思いをはせているのだということが。

 わたしはときおり空を仰いでいた。星の輝きが薄れ、分厚い黒雲の向こうに朝焼けが始まっていた。今この瞬間、わたしの心はある人の面影に占められていた。精神がこれほどいきいきと面影を想像するとは、以前のごくまっとうな生活では思いもよらなかった。わたしは妻と語っているような気がした。妻が答えるのが聞こえ、微笑むのが見えた。まなざしでうながし、励ますのが見えた。妻がここにいようがいまいが、その微笑みは、たった今昇ってきた太陽よりも明るく私を照らした。

 そのとき、ある思いがわたしを貫いた。何人もの思想家がその生涯の果てにたどり着いた真実、何人もの詩人がうたいあげた真実が、生まれてはじめて骨身にしみたのだ。愛は人が人として到達できる究極にして最高のものだ、という真実。

 今わたしは、人間が詩や思想や信仰を通じて表明すべきとしてきた、究極にして最高のことの意味を会得した。愛により、愛のなかへとすくわれること!人は、この世にもはやなにも残されていかくても、心のおくそこで愛する人の面影に思いをこらせば、ほんのいっときにせよ至福の境地になれるということを、わたしは理解したのだ。

 収容所に入れられ、なにかをして自己実現する道を断たれるという、思いつくかぎりでもっとも悲惨な状況、できるのはただこの耐えがたい苦痛に耐えることにしかない状況にあっても、人は内に秘めた愛する人のまなざしや愛する人の面影を精神力で呼び出すことにより、満たされることができるのだ。わたしは生まれてはじめて、たちどころに理解した。天使は永久の栄光をかぎりない愛のまなざしにとらえているがゆえに至福である、という言葉の意味を。

 以上が、「もはやにも残されていなくても」に書かれている文章です。