THE READING JOURNAL

読書日誌と雑文

「検査・診断、疾患の種類」

2008-02-05 | Weblog
「親の「ぼけ」に気がついたら」 斎藤 正彦 著 

7.検査・診断、疾患の種類

ここでは、痴呆の検査や診断について、また、どのような疾患があるか。
まず痴呆の検査の基本は問診である。この時注意したいのが、一般に痴呆の問診には長い時間がかかるという事と、専門医の問診中に家族が会話に割って入らないという事。次に内科の検査がある。ここでは、診断後の投薬に備えて身体の状態を調べる事に加え、痴呆の症状の可能性のある身体疾患や脳血栓性痴呆の原因となる病気の有無を調べる。
次に脳の画像検査が行われる。これは痴呆性疾患の診断には欠かせないものである。そして最後に心理検査を行う。心理検査は医師と検査にあたる心理士によって相談してつくられる。

痴呆性疾患は次のようなものがある。
1、アルツハイマー病
これは、脳内のベータタンパクと呼ばれるタンパク質が異常に増殖することにより始まり(ぺータタンパクが脳内にたまると、脳の細胞が死ぬ)その後タウタンパクとう異常なタンパク質が増殖し始めるもの。(タウタンパクも脳の細胞を破壊する。)
女性そして高齢者に多い。少数ながら遺伝性のアルツハイマー病もある。
病気は物忘れで始まり脳細胞の脱落に伴いスロープを下りるように進行していく。ただし、進行の速度や病状に個人差が大きく必ず終末期まで進行するわけではない。

2、脳血栓性痴呆
これは、脳梗塞や脳血栓などが原因で起こる。男性に多い。
原因となる脳血栓や脳梗塞は生活習慣病なので、予防、早期発見、早期治療が可能である。
脳血栓性痴呆は、血管が詰まったり壊れたりした部位の脳に障害がでるので、症状も障害された部位によって異なる。症状の特徴としては、できることとできないことの差が大きい。また相手によって症状が変化する。

3.瀰慢(びまん)性レピー小体病
レビー小体という異常な物質が脳全体に確認できるのでこの名がある。アルツハイマー病と診断される人の中にかなりの部分この病気の人があると推定される。
この病気は、パーキンソン症状と幻視や幻覚に特徴を持つ。
パーキンソン症状とは、足がすくんで最初の一歩が踏み出せず、いったん歩き出すと小刻みにちょこちょこと前傾姿勢で突進するように歩いたり、腕の関節の動きがぎこちなくなったり、表情が仮面のように変化のないものになったりするもの。

4、前頭・側頭型痴呆
前頭葉や側頭葉が限局的に委縮してくるタイプの痴呆性疾患。
四〇歳代五〇歳代の現役世代で発症する事も多い。職場での仕事ができなくなったり、痴漢や万引などの軽犯罪を犯すケースもある。進行すればアルツハイマー病の終末期のようになる。

5.その他の痴呆
進行性核上麻痺、ハンチントン病などイロイロな疾患が痴呆の症状を示す。

6.MCI
MCI(Mild Cognitive Impairment)は、直訳すると「軽度の認知障害」である。これは、痴呆性疾患を疑わせる記憶の障害があっても、見当識や理解力、判断力などの障害がほとんど目立たないため痴呆性疾患の基準に満たないもの。しかし、MCIの人を三年ほど追跡調査するとそのうち半分が症状が進行してアルツハイマー病と診断されるようになり、残りの半分が進行しないで推移する。

痴呆は一般に治らないものと受けとめられているが、治せる痴呆もある。その代表的なものにうつ病仮性痴呆がる。これは、高齢期のうつ病に見られる一過性の症状で、うつ病が治れば痴呆も治る。



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