えびす顔の造花卸売問屋元社長からの手紙

かすかな希望を抱いて幸せを自慢する尊大な手紙。重複掲載御免。造花仏花の造花輸入卸売問屋ニューホンコン造花提供

取り替え子

2006年04月16日 23時19分23秒 | ドンキホーテ
 九州出張の間に大江健三郎さんの「取り替え子」を読み終えたと先日、書きました。この本も驚きの本でした。

 文中、大江さんが自らの体験として、幼い頃、生死をさまよう病に伏した時に、母に自分が死ぬかを尋ねたことを書いています。母はその時、「死なない」と言った上で、
 「もしあなたが死んでも、私がもう一度、生んであげるから、大丈夫」と。
 子どもの大江さんが、その子どもは私ではないと再び尋ねると、
 「いいえ、同じです。あなたが私から生まれて、いままで見たり、聞いたりしたこと、読んだこと、自分でしてきたこと、それを全部新しいあなたに話してあげます。それから・・・・だから、ふたりの子供はすっかり同じです」
 と話したエピソードを書いています。

 さらに続けて、勉強することについて、
 「子供たちは、みんな大人になれないで死んだ子供たちの替わりに生きている。勉強するのはその死んだ子供たちの言葉をしっかり自分のものにするため。だから、勉強は必要」
 と説いています。

 そして最後の強烈な言葉へと繋がります。
 (いくら小説の感想と言っても、この最後の言葉までここで披露すると「ネタバレ」過ぎます。ご興味のある方は実際の本をお読みください。なお、上記の文も原文をいじっています。あしからず)

 大江さんがこんな死生観を持っていたのを初めて知りました。
 大変興味深い本でした。

 『取り替え子』『憂い顔の童子』と長江古義人三部作(長江古義人は作中に登場する大江さんの名前)の二作を読み終えました。
 明日からの東京出張には三部作最終作の「さようなら、私の本よ!」を携行しましょう。楽しみです。

 明日から水呑地蔵日記を暫く休みます。 

 ブログランキングに参加中です。クリックを。出来れば、毎日ワンクリックを。
blogランキング ←ココです

 姉妹ブログ「週刊なにがニュースやねん」もよろしくお願いします。
週刊なにがニュースやねん
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする