アジア大会、バレーボールの世界大会が現在行なわれています。スポーツ中継の際に選手の練習風景が映し出されます。その中で、ゴムチューブを使っている場面が何シーンか映し出されていました。前にも書きましたが、私はゴムチューブを健常者がW-UP・トレーニングとして使用することに関してかなり懐疑的です。怪我のリハビリとして初期の段階で使用することに関しては何ら問題はないと思うのですが。
時は今から20年以上前、私はある高校の陸上競技部を週に1~2回指導していました。面白いように選手達が自己記録を伸ばして、中学時代には何の実績もなかった生徒が県大会で入賞を狙えるようになっていきました。当時、私のやることはすべて上手くいくものと確信しすぎていました。ある意味、私自身のおごりであったかもしれません。そんなある時、秋の新人戦の県大会への代表権を得る地区大会を迎えました。当然、上手くいくものと信じて疑いませんでした。ところが、その大会での県大会出場者は、予定の半分程度でした。「なぜだろうーーー。」筋トレとしてゴムチューブを取り入れ、筋力増強を図ってある程度は良い感触(筋力アップ)を得ていた私は、当時はその理由がわかりませんでした。
それから10年くらい経った時に、あるトレーナーからゴムチューブトレーニングの怖さについて忠告されました。「天才をも潰すトレーニング」とも言っていました。その時に私は10年前の失敗の原因がわかったような気がしました。万全に仕上げたつもりでした。しかし、結果は惨敗。ある優秀な指導者の方は「結果が出ない原因は、どこかに間違えが潜んでいる」という忠告をしてくれました。
科学の研究室と交流を持つようになった今となってよく考えてみれば、当然のことかもしれません。筋肉の収縮形態が理想とする収縮形態とは異なっています。チューブトレーニングは、結果として筋肉バランスを崩し、速い正確な動きができずに力む癖がついてしまう。最終的には怪我につながるのではないでしょうか?日本のナショナルクラスの選手たちがよくこのトレーニングをしているところが映し出されます。ところがその団体、選手達はその大会では怪我がちであったり、調子がよくありません。このトレーニングは科学的であると思っているのでしょうか?日本の優秀な選手・研究者の人たちは筋肉の収縮形態の違いに気付かないのでしょうか?