昨日で、今年の全国高校総体陸上競技大会出場者がすべて決定しました。出場が決定した皆さん、おめでとうございます。また、念願かなわなかった選手の皆さん、捲土重来を期してください。ちなみに、私の教え子の世界陸上代表にまでなった選手の一人は全国高校総体出場を目の前にして涙を飲んだ選手でした。「全国大会で勝ち続けた選手が一流選手となり、将来的にオリンピック・世界陸上の日本代表選手となっている」と思ったら大間違いです。
それだけに以前のブログでも書きましたが、将来的に一流選手になりたいばかりにブランド校(私は、強豪校をこう名付けています)入学を目指す中学・高校生、それでいいのですか?そもそも陸上競技は、勝つことを目標とした場合、行なっていることに楽しさを見出し難い、辛い種目なのです。ブランド校入学=勝つことを宿命づけられます。年齢が若いのに勝つことを最優先に目指すと、弊害が多いことに気付くはずです。当たり前のように全国出場者が入学する学校があります。しかし、よく考えて、実態を見てみてください。強い選手が集まっている割に、卒業後に全国級の選手となった割合はそんなに多くないことに気付くはずです。私は、名は有名でなくとも地元の学校で熱心にあなたのことを何とか強くしようと努力してくれる(自らの考えを変えられる)指導者のいる学校への進学を勧めます。
また以前にも書きましたが、高校ほど長年全国大会の出場基準が変更されていないところはありません。中学は、標準記録を毎年のように全国大会出場状況に合わせて変更しています。大学は、地区の改変を行なうことに加え、全国大会出場標準記録を変更しています。一般社会人では、日本選手権は勝ち上がり方式に加え、記録が変更される標準記録制になっています。小学校の全国大会も一応ありますのでこれについて考えてみると、ここでは確かに高校同様、勝ち上がり方式の各県一人の代表が出場という内容は10年来ほとんど変わっていません。しかし、小学校の成績は、その児童の進路に何らメリットをもたらしていません。また、年齢の若い時期の早期の全国大会は、マイナス面が大きいとも考えています。しかし、高校の全国大会出場というステータスは、その生徒の進路に大きなメリットをもたらすことになります。
陸上競技のインターハイ地区は全国11地区に分けられています。その地区の登録者数の比較では、3倍以上の開きがあります。選挙でいうと一人の票の格差が大きくなってしまっていることを表します。それなのに全国高体連は、まだ参加基準の見直しをしようといはしません。感覚の鈍い人たちです。冬のインターハイでは、前年の成績によって地区割りの出場人数が決まっているようです。この現状は、雪国の選手にとって全国大会は非常に近い大会であることを表すとともに、雪の降らない大都市圏の選手にとって全国大会は非常に遠いものになっていることを表しています。
どうでしょうか?もうそろそろ全国高校総体陸上競技大会の参加基準の見直しを行ないませんか?私の主張する参加基準は、陸上競技ならではの日本選手権で採用されている順位+標準記録制です。今の地区を再編成するのも手かと思いますが、交通手段等、なかなか難しい面のあることも事実でしょう。そこで、各地区4位までは必ず出場できる。それ以外の各地区8位までの選手(チーム)のうちその年の(または前年の新人大会の記録を含めて)公認記録上位者18名(チーム)を全国大会に出場させる、というのはいかがでしょうか?なぜ+18名かといいますと、出場選手が1種目62名(現在は66名)となり各種目の組数は必ず1組減ることになります。そうすることで、今まで課題になってきた全国大会の規模を縮小(混成・競歩は拡大)できることになります。当然、反対意見は多くあるかと思います。反対する人、それでは今のままの高校総体陸上競技大会でいいのですか?こうしていれば、陸上競技は盛り上がり、競技人口も増えていきますか?また全国大会の規模縮小をうまく行なえるのですか?反対する人、対案を示してくださると議論は深まるかと思います。