萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

閑話書覧:鉄塔の空

2014-07-24 23:08:09 | 文学閑話散文系
無機物の夢



閑話書覧:鉄塔の空

鉄塔が準主役の物語を知っていますか?

ある少年の冒険譚、その冒険はすぐ傍で起きるのに深い。
家の庭先に作った小屋、家から見える山、そして山にそびえる高圧線鉄塔。
その鉄塔にまつわる物語と少年の過去と現実、夢と日常が織りなす冒険小説です。

佐藤さとる『ジュンとひみつの友だち』

日本の児童文学作家ではこの方がいちばん好きです、笑
代表作と言われるコロボックル物語シリーズは『古事記』の少名彦命伝説+北海道のコロボックル伝承から描かれています。
どちらも講談社から発刊されているんですけど、小学生の夏休み読書感想文ではおススメかなと思います。
もちろん大人が読んでも面白いです、笑

で、この鉄塔物語のテーマは「生きて遺すもの」ってカンジです、
って書くとちょっと深い感じですけど、深いことを穏やかな不思議の視点で描くのが佐藤さんの得手。
だから子供が読んでも大人が読んでも面白い、子供時代に読んで大人になってまた読むと良い作品をかなって思います。
親子で一緒に読んで感想を話し合うのも楽しいかもしれませんね、ソウイウの夏休みならではの読書なカンジで、笑

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secret talk21 氷月の朝―dead of night

2014-07-24 21:10:01 | dead of night 陽はまた昇る
雪の朝、閑話
宮田×黒木×国村の会話@第77話act.1-2の幕間



secret talk21 氷月の朝―dead of night

ゆっくり明ける朝に頬冷える、けれど唇はコーヒーに温かい。

マグカップ携える手に風ゆるく凍える、それでも額へ暁の光あわく射す。
青空はざま見えても雪雲は厚い、そんな空に疑似好天だと心配しながらも雪の暁に英二は笑った。

「国村さん、黒木さん、コーヒーもう一杯呑みますか?」

名前ふたつ並べて呼んで改めて気づかされる。
この二人は今どれくらい親しくなったのだろう?

―相変わらず黒木さんは光一を避けるよな、やっぱあれが図星か?

なぜか黒木は光一をすこし避けている。
それは第二小隊長の就任に関わるとは聴いた、けれどそれだけじゃない。

「もう一杯ほしいね、黒木もいるだろ?」

ほら、光一はからり訊いてしまう。
けれど黒木の反応はちょっと違っている。

「はい、」

ほら、やっぱり返事は最短縮だ?

『おはようございます、国村さん。お早いですね?』

さっきも黒木はそれだけだ。
社交辞令的な挨拶だけ、そして会話に加わってこない。
食堂で同席しても伝達事項しか話さない、そんな男に話題ふってみた。

「黒木さん、好みの女性に出逢えました?」

この話題がたぶん「最短縮」の理由だろう?
そんな記憶と笑いかけた屋上の空気が凍てついた。

「…っ、」

精悍な瞳が固まる、その周辺だけ低温化する。
この話題だとまた余計に短縮化するだろうか?

―失敗かな、でもカンフル剤ってやつになるか?

逆に吹っ切れて喋りだすかもしれない。
そんな期待とコーヒー淹れるままテノール機嫌よく笑った。

「へえ、黒木サン合コンでも行ってきた?」

ああ追い打ちだ?

本人まったく気づいていないだろう、けれど言われた方は硬化が進む。
このままだと黒木は彫像化するかもしれない?そう想うだけで可笑しい。

―こんな貌の黒木さん、第二の皆が見たら驚くだろな?

堅物、冷静、そんな評価の男でいる。
けれど今まさに「堅物」化してしまった、そんな貌に理由ひとつ見えてくる。

もしかして黒木が昇進試験に落ちたのは同じ理由かもしれない?

「黒木さん、紙コップくれますか?」
「あ、おう?」

笑いかけた先すこし硬化がゆるむ。
それだけ今も緊張していたのだろう、こんな意外な性格に笑いたい。

―緊張したら固まるタイプなんだ?

これでは試験など苦手だろう?
そんな納得とコーヒー注いで渡して、けれど横から白い手が横取りした。

「お初の一杯もーらいっ、」

テノール笑って紙コップ口付けてしまう。
こくん、白い喉ひとくち飲み下すと底抜けに明るい目が笑った。

「お先にゴチソウサン、はい黒木、」

笑って紙コップ部下へ押しつけてしまう。
その大きな手に受けとらせると雪白の貌は満足に笑った。

「さて、打合せの資料チェックあるからお先に戻るね、また食堂で、」

からり笑って雪さくさく踏んで行ってしまう。
ばたん、扉の開いて閉じて、しんと静かになった屋上に長身が膝崩した。

「大丈夫ですか黒木さん?」

訊きながら想ってしまう、どう見ても大丈夫じゃないだろう?

―こんなに緊張するとか黒木さん意外だよな?

好みの女性に逢えたのか訊いただけなのに?
それだけで固まりまくった先輩が可笑しい、その原因に笑いたい。
秋に非常階段で交わした会話、あれが今も尾を引いたままでいるんだろう?

『男だけの世界に籠ってたらダメだな、でも今さら合コンとか無いか…三十だし、』
『国村さんが女だったらタイプでした?』

あのときも固まって可笑しかった。
そして今も固まる貌と理由つい笑いだした先、低い声が唸った。

「…コーヒーあたらしい紙コップでもらえるか?」

ああこの人って中学生レベルだ?



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雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚162

2014-07-24 13:40:00 | 雑談寓話
昼休憩で短めですが昨日バナー押して頂いたので書きます、感謝で、笑



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚162

年明けて帰りの新幹線、携帯を開いたら受信メール3通だった、

From:葭田
本文:年越ありがとな、卒論の時みたいで楽しかった。
   ご両親にもおせちありがとうって伝えてくれ。また一緒に呑もうな、気をつけて帰れよ?

律儀に謝礼メールを送ってくれてある。
こういうトコ相変わらずな友達に笑って返信した。

Re :こっちも楽しかったよ、また一緒しような?

ほんと懐かしかったし楽しかった、
長文メールやら飛入り参加もあったけどソレもまあ有りで、
なんだか濃い年越だったな思いながら開いた次のメールは案の定だった、笑

From:御曹司クン
本文:明けましておめでとうございます、
   昨夜は長文メールごめん、なんか昂ぶってたかもしれない。
   今夜また電話するかもしれないけど嫌いじゃなかったら出てくれる?

また考えさせられるような文面だよね、笑

この返事すぐした方が良いんだろうか、それとも放置しようか?
いま休日だから圏外あつかいでもOKだろう、でも友達に今朝も言われたな?
そんなこと考えながらも開いた3通目は意外な相手からだった、

From  :(無登録のアドレス)
subject:歯医者です
本文  :昨日はありがとうございました、楽しかったです。
     本さっそく読んでいます、まだ全部は読めていませんが面白いです。
     またおススメ教えてもらえますか?

いつメアド交換したんだっけ?

その記憶あまり無い、そんだけ呑んだツモリも無い。
それでもメールが届いているならメアドを教えたんだろう?
ちょっと不審だったけど返信しないと悪いかなって考えていたら受信1通来た、

From:伯母さん
本文:来てくれて嬉しかったわ、お土産もありがとう。
   歯医者さんと道で会ってあなたのメアド訊かれたわよ、
   本のお礼したいっていうから教えたけれど良かったかな?

そういうワケだったんだ?笑

まあ大晦日午後だっていうのに診てくれたほど悪いヤツじゃない、
だから伯母も信用してメアド教えたんだろう、本のコトも話したし?
そんな推定に笑ってトリアエズ返信した、

Re:了解、さっそく彼メール来たよ?笑

で、ちょっと考えて3通目にも返信した。

Re:こちらこそ昨日は治療他ありがとうございました。
  どの辺が面白かったか教えてくれますか?それで好み合わせておススメします、

身内が世話になっているから無碍にも出来ない、
それに別に嫌いなワケでも無い、ちょっとメンドクサソウな感じはするけれど?
そんなこと考えながら送信して、2通目の返信をした。

Re:昨夜完徹で眠い、もし寝てて出なかったらゴメンね?笑


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Aesculapius「Saturnus27」読み直したら校了です、雅樹@大学病院小児病棟にて希の両親との会話です。
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