7.10集会アピール
2011年4月21日,最高裁判所(白木勇裁判長)は、「大江・岩波沖縄戦裁判」の元隊
長による上告および上告受理の申し立てを受理しないとの決定を下しました。これによ
り大江氏と岩波書店の勝訴が確定しました。
この裁判では,沖縄戦当時に慶良間諸島で起こつた住民の「集団自決」は, 日本軍の
自決を強要する命令によるものか,否かが最大の争点となつていました。
そして一審判決は,「(軍の命令が出されたという)事実を真実とする相当な理由があ
つた」と判示し,二審判決は,一審判決から更に踏み込み「日本軍の強制ないし命令と
評価する見解もありうる」と判示して,元隊長の主張を退けました。今回,最高裁判所
は,それらの判決を支持する決定を下したのです。
この裁判を勝利へ導く大きな力となつたのは,命を削るような思いで沖縄戦体験者が
語つた証言,陳述書等であり,体験者の証言の積み重ねによって,その証言の客観性を
高めることを追求してきた沖縄戦研究の成果の反映でもあつたともいえるでしょう。
またこの裁判は,沖縄戦の真実を歪曲し,「集団自決」を殉国美談に仕立て上げようと
する人々の支援と沖縄戦教科書記述の書き換えを狙う運動と直結した極めて政治的なも
のであり,そのことが2007年の高校歴史教科書の検定意見をめぐる問題によって明らか
になりました。
2007年3月,この裁判が「係争中」であるとの理由で,高校歴史教科書の「集団自
決」の記述にかかる「軍命」を削除する教科書検定意見が出されたことが大きく報道さ
れました。その後,沖縄県民の検定意見撤回を求める声が高まり,2007年9月29日に
開催された「教科書検定意見撤回」県民大会に見られるように「沖縄戦の実相を歪めて
はならない」と,その体験を継承しようとする意識が多くの県民に広がり,体験者が重
い口を開いて戦争体験を語り,島ぐるみの教科書検定意見の撤回を求める大きな運動ヘ
と発展しました。また,教科書検定意見撤回を求める要請書を採択する県外の自治体も
出る等,検定意見撤回を求める声は全国的な広がりも見せました。
今回の最高裁判所の決定により,元隊長の全面敗訴が確定し,教科書検定意見の「係
争中」との理由も消滅し,教科書検定意見が誤りであったことがはっきりしました。 し
かし,未だ文部科学省は,「私人の論争なので司法が下した判断についてコメントする立
場にはない」と開き直り,県民の教科書検定意見の撤回を求める声に全く応じようとは
しません。
わたしたちは,最高裁判所における勝訴判決をうけて、文部科学省に対し,2006年度
教科書検定意見の撤回を求める取り組みを続けます。
教科書に沖縄戦研究の成果を反映してもらうよう,教科書執筆者,教科書会社への要
請等に積極的に取り組みます。
今後行われる教科書検定についても,沖縄戦研究の成果が反映されよう働きかけると
同時に,沖縄戦の実相を正しく伝えるためのあらゆる取り組みに積極的に関わることを
決意します。
2011年7月10日
大江岩波書店沖縄戦裁判勝利報告集会参加者一同
2011年4月21日,最高裁判所(白木勇裁判長)は、「大江・岩波沖縄戦裁判」の元隊
長による上告および上告受理の申し立てを受理しないとの決定を下しました。これによ
り大江氏と岩波書店の勝訴が確定しました。
この裁判では,沖縄戦当時に慶良間諸島で起こつた住民の「集団自決」は, 日本軍の
自決を強要する命令によるものか,否かが最大の争点となつていました。
そして一審判決は,「(軍の命令が出されたという)事実を真実とする相当な理由があ
つた」と判示し,二審判決は,一審判決から更に踏み込み「日本軍の強制ないし命令と
評価する見解もありうる」と判示して,元隊長の主張を退けました。今回,最高裁判所
は,それらの判決を支持する決定を下したのです。
この裁判を勝利へ導く大きな力となつたのは,命を削るような思いで沖縄戦体験者が
語つた証言,陳述書等であり,体験者の証言の積み重ねによって,その証言の客観性を
高めることを追求してきた沖縄戦研究の成果の反映でもあつたともいえるでしょう。
またこの裁判は,沖縄戦の真実を歪曲し,「集団自決」を殉国美談に仕立て上げようと
する人々の支援と沖縄戦教科書記述の書き換えを狙う運動と直結した極めて政治的なも
のであり,そのことが2007年の高校歴史教科書の検定意見をめぐる問題によって明らか
になりました。
2007年3月,この裁判が「係争中」であるとの理由で,高校歴史教科書の「集団自
決」の記述にかかる「軍命」を削除する教科書検定意見が出されたことが大きく報道さ
れました。その後,沖縄県民の検定意見撤回を求める声が高まり,2007年9月29日に
開催された「教科書検定意見撤回」県民大会に見られるように「沖縄戦の実相を歪めて
はならない」と,その体験を継承しようとする意識が多くの県民に広がり,体験者が重
い口を開いて戦争体験を語り,島ぐるみの教科書検定意見の撤回を求める大きな運動ヘ
と発展しました。また,教科書検定意見撤回を求める要請書を採択する県外の自治体も
出る等,検定意見撤回を求める声は全国的な広がりも見せました。
今回の最高裁判所の決定により,元隊長の全面敗訴が確定し,教科書検定意見の「係
争中」との理由も消滅し,教科書検定意見が誤りであったことがはっきりしました。 し
かし,未だ文部科学省は,「私人の論争なので司法が下した判断についてコメントする立
場にはない」と開き直り,県民の教科書検定意見の撤回を求める声に全く応じようとは
しません。
わたしたちは,最高裁判所における勝訴判決をうけて、文部科学省に対し,2006年度
教科書検定意見の撤回を求める取り組みを続けます。
教科書に沖縄戦研究の成果を反映してもらうよう,教科書執筆者,教科書会社への要
請等に積極的に取り組みます。
今後行われる教科書検定についても,沖縄戦研究の成果が反映されよう働きかけると
同時に,沖縄戦の実相を正しく伝えるためのあらゆる取り組みに積極的に関わることを
決意します。
2011年7月10日
大江岩波書店沖縄戦裁判勝利報告集会参加者一同