琉球新報コラム 「未来へいっぽにほ」 2011年9月

2011年09月17日 | 掲示板

⑤ 支えられて育つ

 アメラジアンスクールは多くの方に支えられて成り立っている。分かりやすいのは生徒と直接かかわるボランティアの方々や、寄付をくださる方々の支援だ。県による日本語教員の派遣や、宜野湾市による建物の貸与をはじめ自治体からの支援にも、本当に感謝している。
 
それに加えて昨年から、生徒が空港で職場体験をする機会にも恵まれている。この取り組みは、ボランティアとしてスクールに関わるJALスカイ那覇の社員の方の提案で始まった。同社は空港の地上業務に関わっており、職場体験では中学生クラスの生徒が国際線乗り継ぎカウンターに入り、荷物を運び、日本語または英語で実際に接客させてもらう。
 
普段、日本語と英語を勉強していても、生徒たちはその両方を用いた仕事をイメージできているわけではない。そもそも、地域で大人と接することが少ない生徒たちにとっては、働くということのイメージすら持ちにくい。そんな生徒たちにとって、この職場体験はとても貴重な機会になる。
 
最初は緊張していた生徒たちも、社員のサポートで徐々に自信を持って日本語と英語を使ってお客さんと話をするようになる。荷物の代わりに自分がベルトコンベアーで流されそうになった生徒は、終わった時には胸を張って荷物の運び方のコツを友逹に話していた。日米両言語を使う仕事の現場を直接体験できたことは生徒にとって具体的な目標を持つきっかけになった。
 
小さな学校の教師である私にできることには限界がある。周囲の大人たちに関わってもらうことで生徒もさまざまな体験ができ、自分の持っている多様な可能性に気付くことができる。これからも、そうやって多くの方々と一緒にアメラジアンスクールの教育をつくっていきたい。 (2011年9月9日)