ファンタジアランドのアイデア

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瀬戸内海の豊かさを回復する仕組み  アイデア広場 その259 

2017-11-04 20:26:10 | 日記
瀬戸内海の豊かさを回復する仕組み  アイデア広場 その259 

 瀬戸内海の海がきれいになって、久しくなります。でも、兵庫県の養殖ノリが、日本一の座を佐賀県に譲り渡してかなりの年数が過ぎています。海水中の窒素やリンが減少し、貧栄養状態になっているのです。栄養がない状態では、ノリは育たない海なっていたわけです。ノリは、アミノ酸の塊です。成長するためには、窒素が必要不可欠なのです。昔は東京湾が、ノリの名産でした。それが瀬戸内海に移り、今は九州の佐賀県になっているわけです。ノリの生産者の方は、「きれいな海になったが、豊かな海ではなくなった」という人も出てきています。
 そこで、瀬戸内海を豊かな海に戻し、稼げる漁場にする方法を考えてみました。ヨーロッパのドーバー海峡では、太ったアジが漁獲されています。アジに限らず、魚の生育が良い漁場として知られているのです。理由は、オランダにあります。オランダは、農業大国です。園芸農業や植物工場など最先端の農業を展開しています。機械化された生産システムには、多くの肥料を使用します。この肥料の残存成分である窒素やリンが、ドーバー海峡に流れ込んでくるのです。これが、この海域の植物プランクトンや動物プランクトンの繁殖を促すわけです。これを、アジなどの餌魚が食べるという食物連鎖ができています。
 瀬戸内海には、窒素やリンなどの栄養塩の流入が減少しています。日本は、耕作地が減少しています。河川を通じて田畑の肥料が瀬戸内海に流れこまなくなったのです。オランダとは、逆の現象が生じているわけです。耕作放棄地が増加し、陸から海に化学肥料の窒素やリンが流れ込まなくなっているわけです。高度成長時代は、赤潮などの公害を解決することが第一の課題でした。今の瀬戸内海は、栄養塩のバランスをどうするかが課題になっているのです。この海では、漁場への施肥を独自に注入する方法も必要になります。さらに、窒素やリンが多く含むため池からの放水により、瀬戸内海に栄養塩を補充する対策も必要になっているのです。
 瀬戸内海の近くで獲れる関サバや関アジは、高値で取引されています。日本の漁業が衰退してきた理由は、漁獲の自由競争を放置してきた結果です。関サバを獲る地域では、一定の大きさになるまで漁獲を控えるとか、禁漁期間を設けています。瀬戸内海でも、魚を一定の大きさまで育てることです。育てたうえで、付加価値を高めて漁獲する仕組みを考える時期になっています。例えば、年平均漁獲量より、2%少ない漁獲量を設定し、5年程度少ない漁獲高で辛抱するのです。その期間で、魚は大型になり、付加価値を増していきます。品質の良い魚の供給が少なければ、高値で取引されます。
 これからは、量ではなく質の時代です。漁獲量を漁業関係者全員で決め、関係者が稼げる仕組みを築くことです。ブランドが確立すれば、神戸牛のように海外販売も視野に入ってきます。和食は、フランス料理と同じように高級料理とみなされるようになっています。そこで使われる高級魚は、当然高値で取引されます。川上の少ない儲けよりも川下の大きな儲けに、瀬戸内海の漁業関係者が目を向けてほしいものです。