TOKIO探究

数学ほぼ0点なのに合格だったシステム会社がコワくて就職しなかった理系志向の文系です。「心を時空間で解説する」本とか原稿中

リーマン・ショック後も世界から資金が集中するアメリカの秘密

2013-01-05 18:38:12 | 読むもの

 「アメリカの経済学者たちは、20年以上前から、アメリカでも通貨危機が起きる危険性があると警告し続けています…」…ですが、アメリカにそういった危機は起こっていません。大きなアメリカが倒れればそれこそ世界が吹っ飛ぶので、全世界はアメリカを支え続けるのでしょう。その証拠にリーマン・ショック後もアメリカに莫大な資金が集まり続けています。その代表が日本によるアメリカ国債の購入。『日本経済の奇妙な常識』で指摘されている根本的なファクターがコレです。それとパラレルに起こっているのが日本のデフレ…。円高はアメリカ国債を購入しやすくするためのバイアスでもあり、アベノミクス?ではじまったように見える円安傾向が続くかどうかは不確定要素が大きいかもしれません。

 アメリカの過剰消費による支払を受けた日本や中国が、その代金で再びアメリカの国債を買うという基本構図がありました。アメリカ・日本・中国の三角関係はそれぞれの政権の交代などで現在リセット中ですが、この基本的な構図からどうシフトするかが、今後の世界の5年~10年を決定する最大要因になるのは間違いがありません。本書はそれを予期する大きな枠組や経済的な認識方法を示しています。

 アメリカの対外純資産残高はマイナス200兆円を超えており、対外負債はこの10倍ほどあります。逆にいえば対外資産は1700兆円ほどであることが分かります。このハイインプットとハイアウトプットがアメリカ経済の活力そのもの。そしてこのインプットとアウトプットの差がアメリカが強い秘密?になっています。その10%の差がアメリカが所得収支を黒字転換しやすい理由なのです。日本は対外純資産残高がプラス253兆円(2011年末)もあり世界一ですが、対外資産と対外負債の比がおよそ10対6程度あり、逆転しそうにありません。これが現況が良くも悪くもダラダラと続いている日本の理由かもしれません…。

P51)

アメリカは世界一の対外債務国(対外借金国)です。ただ、対外資産・負債の両方がとても大きく、両者の比でみると、さほどの開きはないのです。これが、対外純資産残高がマイナスなのに、所得収支は黒字になるという「逆転現象」の要因のひとつです。

P67)

アメリカ国債によって海外からおカネを借り、多額の金利を海外に支払う一方で、それをはるかに上回る直接投資収益を稼いでいます。

 アバウトにいえば、アメリカは国債を日本に買ってもらい、金利を日本に払っています。しかし、そこで調達したマネーで対外投資をして、そこで回収する利益が支払っている金利より大きいために収支が黒字になっているワケです。黒字貿易は収支では赤字だから…というレベルの三面等価理論やマクロ経済の認識では推察もできない事実がここにあります。円キャリートレードと同じような仕組みがアメリカを支えているといえるでしょう。アメリカ議会で日本の個人の外為トレーダーがMrs.Watanabeとして興味をもたれているのも何か関連があるかもしれません。

 

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