ロマンサー
作詞 作曲/涼平
とうとう「アヤビエ涼平」と呼べなくなってしまったので、このブログのサブタイトルも「元アヤビエ涼平」と微修正を実施。
ロマンサーはromancerでそのまま「空想家」あるいは「ロマンチスト」を指しているのだろう。(ちなみに日本語のロマンチストは英語には無く、英語で言うとromanticistまたはdreamy personになる。)いずれにしろ、「夢ばかり見ている頼りない人」的な感じがする。
アヤビエは04年5月に「変態最終頁」とこの「ロマンサー」を引っさげてビジュアル界に参入したわけだがこの2曲、それなりの強いインパクトを持った曲だった。そのインパクトは変態最終頁が歌詞だったのに対し、ロマンサーは歌詞というよりもメロディーが注目された。とにかくユニークできれいなメロディーである。上がって上がってそろそろ下がるだろうと思っていると、もう一段上がるメロディーラインになっている。涼平の多くの曲の中でも類似の曲はなく、特異な存在になっている。
夜泳ぐ君がね 泣きじゃくり願ってた
あの時なぜわからなかったのか アイシテル
11月に初雪がまつげにのってふと気付きました
突然の詩的な出来事だけで感傷的になれるあたしがいるよ
セリフがシャリシャリと高音で回りだします
突然な詩的な出来事だけで感傷的になれるあたしがいるよ
夜泳ぐ君がね 泣きじゃくり願ってた
あの時なぜわからなかったのか 愛してる
冬火照る君がねふるふると祈ってた
今なら手にとるようにわかるのにキスをして
突然な詩的な出来事だけで感情的になれる僕はまだいる
落ち着いて読んでみると、ずいぶん勝手な男である。いつもは自分のことに夢中で、相手の細かなしぐさにも気づかず、無視しているのに、ちょっとしたことで感傷的な気分に落ちると、急に相手のしぐさや、過去の思い出が繊細に思い出され、後悔する。
(君がいなくなった)今頃になって君に語るべきセリフが溶け始め、シャリシャリいい出す。君が雪が降るようにと祈っていたのも、自分が感傷的になるのを知ってのことか。
冷たい手で缶詰を開けた オレンジがこぼれて
両の目の蛇口はまたゆるんだ 潰れた実を見て
こういう男、一度感傷的になると底を知らない。缶詰のオレンジのつぶれた実を見てさえ(何を思い出したのか)涙が出てくる。
(細かいことだけどオレンジの缶詰ってあまり見たこと無いからミカンの缶詰の実を想像してしまう。まあ良いか。)
夜泳ぐ君がね 泣きじゃくり願ってた
あの時なぜわからなかったのか 愛してる
冬火照る君がねふるふると祈ってた
今なら手にとるようにわかるのにキスをして
涼平は次のバンドでどんな曲を打ち出してくるのだろうか。わずか2年あまりで、これだけ個性的な曲を次々出して来た男である。楽しみではある。