ひらり、煌け。
と宝石箱の呼び名高い僕は、舞い散る着物の中、変貌を遂げよう。
これはメガマソ涼平の「めのう」の冒頭の歌詞であるが、始めてこの曲を聴いたとき、三島由紀夫の小説を連想した。それは「仮面の告白」にある子供のときに、松旭斎天勝のきらびやかな衣装にあこがれて母のタンスからきれいな帯や着物を身にまとって喜んでいた(おそらく三島由紀夫自身の)思い出話や、あるいはさらにはその小説集に収められていた岩田専太郎のきらびやかな挿絵が連想させたものと思う。
岩田専太郎は美人画の得意な流行挿絵画家で、新聞小説などにおびただしい量の挿絵を供給したが、やはり、オーブリー・ビアズリーに触発され、自分なりにその官能的なイメージを取り込んで魅力的な絵をたくさん残している。ここまで多作でなく芸術的なところをもっと深く掘り下げ完成度の高い作品を残したらよかったのにと思うのは素人の考えか。