カラノキタイ

天竺 蜜柑

南極

2006-02-26 21:33:29 | 音楽

【「南極」は涼平の曲としては珍しく、状況と出演者を設定すると、かなりわかりやすい歌詞である。舞台は南極にある防衛軍の基地とその上空。登場人物は地球を守るバトルスーツである「シゼ」とそのクルーの「ぺこたす」。その彼女「あたし」。それとその敵である「ヘンレケ」。ガンダム物アニメの主題歌と考えたらわかりやすい。

きれいなメロディーと完成された曲の構成から、多くのアヤビエファンが好きな歌にあげるが、本来はもっと広く知られて良い曲と思う。いかんせんマイナーなインディーズバンドが弱小レコードで出すには惜しい曲である。そのうち本当にTVアニメの主題歌としてぜひ取り上げて欲しい曲である。】

南極      
作詞 作曲/リョウヘイ

気づけば、あたしの体と心の温度差は小さくなり続けました。
それは、シゼに収束していく。

 

【「シゼ」に搭乗した「ぺこたす」は徐々に機体と一体になり、精神も「シゼ」に集中させた。】

ひんやり、季節はあなたとあたしの深溝をえぐりえぐり続けました。
それは、シゼに収束していく。

【戦争が始まって以来「ぺこたす」の心は「シゼ」に集中して行き「あたし」から離れていく】

「静かにね」笑顔で君は、いつものように。
あたしが、ねえ ずっと泣いているから、耐えるのでしょう?

【「ぺこたす」は笑顔で「あたし」に「静かにね」と言う。というのも「あたし」がいつまでも泣き止まないから。】

「キミを、ずっと、抱きしめてるよ」服の下には、似顔絵が。    
本当はね、知っていた、キミのその笑顔
怖いから、奥歯を、食いしばる。

【「ぺこたす」は戦闘服の下に「あたし」の似顔絵を納めて微笑んでいる。でも「あたし」は知っている本当は怖いのを我慢して微笑んでいるんだ。】

 ヘンレケは獰猛なうなりをあげ、座席の貴方はきっと涙をこらえる必要は無い。

 なぜなら、もうあたしには高すぎて見えなくなってしまうのだから…

【「ぺこたす」は獰猛な敵ヘンレケと戦うため飛び立っていった。もう上空に飛んでいったから涙を隠す必要は無い。】

「静かにね」笑顔で君は、いつものように。

あたしが、ねえ ずっと泣いているから、耐えるのでしょう?

「キミは、ずっと覚えていてよ」頭 ふれる 小さな手に触れ
本当はね、知っていた、胸が詰まるほどの。
貴方は強い人でした…  

【あなたはこれから起きる戦いの怖さを押し殺して微笑んで、「あたし」の頭に赤い花をつけて出発していった。】  

貴方は大声を上げて、機体を震わせていますか?
貴方は、押し付けられた目標に達することが出来ましたか?

【あなたは敵を倒すことができたでしょうか。あなたは、本当は戦闘に行きたくなんか無かったのに。】

「あたしはもう なにも いうことが できない」

 赤い花は、枯れるまで、
 頭から外しません。 


変態最終頁

2006-02-22 23:43:10 | 音楽

変態最終頁
作詞 作曲/涼平

【この曲はもちろん、さなぎが蝶になる「変態」のことを指しているのだが、かなり初期に作られながら今でもワンマンで取り上げられるところから見ても「アヤビエ涼平」のルーツに当たる曲である。】
 「変態」  

八月空 奇遇かな 零れた(おちぶれた)判断 すでに言葉も 失うのだけれども

「変貌は醜悪?」いやそれに他意はない
吐ききれそうな気分から生まれた終焉 ここに極まれリ いざ微笑むべし

「理想は改悪?」癒そうとも機はない

【八月、涼平は変態を起こした。偶然会った人(家族または古い知人)は言葉を失う。「(涼平の)変態は醜悪」と言うけれど、この変態にはあなたたちに逆らおうというような意図は持っていない。今まで(受験勉強から来る抑圧。良い学校を出て良いところへ就職するんだよ。といったプレッシャー)の抑圧を吐き切ることができた。喜ぶべきことである。「(涼平の)理想は改悪」と言うけれど、ゆっくり説明しようとも時間が無い。】


うつろいゆくわ ふとく みじかく

【太く短く生きていきたい】

鬼ときめく季節に、埋もれたデモテ-プが発掘されます
変態が始まるは秋涼しく平静を保ち勉学捗る頃(父曰く)

【ときめく秋に以前に作った曲のデモテープが発見された。変態の始まりは秋の勉学がはかどるとき。涼しく平静を保ち勉学はかどる秋が、涼平の名前の起こり、父は自分が勉強を好む賢い人になることを願ってこの名をつけたのだ。まさにそのときに変態は始まろうとしている。】

僕ときめく記憶にいびつなラブソングが聴こえてきます
【かつて作ったいびつなラブソングが聞こえてくる。こんなのは本当に作りたかった歌ではない。これからは本当の歌を作りたい。】

変態が皆様にまだ伝わらないのは仕方がない

だけどね 最高の 思い出は まだまだ これからだよ!

【まだ、変わったばかりだから変態の本当の姿は知られていない。本当の姿はこれから徐々に明らかにしていきたい。期待して欲しい!】


ビッツ圧死クロール

2006-02-14 22:44:53 | 音楽

ビッツ圧死クロ-ル
作詞 作曲/涼平

【涼平の詩には簡単に理解しがたいものが多いがこの曲もそうである。ライブの煽り曲としては非常に良くできた曲ではあるが落着いて見てみるといったいどういう状況で何を言おうとしているのかまったく不明である。ここまでいくと涼平もまともに理解してもらおうとは思っていないだろう。読者に解釈はゆだねられているのである。

題名ははじめは「ビッツー圧縮―ロール」であった。初めは、この言葉と曲から製鉄所のような圧延ロールラインを想像した。曲自体まるで鉄工所のような低音の早い刻みのリズムで終始する。実際、この曲は鉄の島と共通なメッセージを持っており、鉄の島の中の1曲として納めてもおかしくないと思った。
ドッペルはドイツ語で「二つの」を指し、バッハの名曲「二つのバイオリンのための協奏曲」のクラシックファンの呼び方。ベーアーツェーハーはバッハBACHのドイツ語でのつづり。間奏にさりげなくサビの部分を取り込んでいるのが実験的で面白い。】

ビッツアシクロ-ル!ビッツアシクロ-ルビッツアシクロ-ルゥヤイヤイヤイ!
ビッツアシクロ-ル!ビッツアシクロ-ルビッツアシクロ-ルゥヤイヤイヤイ
!

ひいひい逃げたけど、まだ入り口。顎の先らへんだろ。
灰皿を足で蹴ってしまい、しゃがんであわてて拾います、
バッハ(べ-ア-ツェ-ハ-)のドッペル流れる店内。

【いったい何から逃げているのだろうか。私はビジュアルロックの世界の低次元な誘惑から逃げているのだと思う。この曲は「貯水槽より3人」に収録されているが「ゴシックパーティースピードセッション」なんかとテーマがかぶっていると思う。アヤビエは単にもてたいだけの、騒がれたいだけの、社会に反抗する(振りをする)だけのバンドではない。それらと一線を画さねばならない。この逃走はまだまだ終わらない。始まったばかりだ。】

要するに何も解っていない序の口。口許の皮膚に触れた。
あなたの眼が落ち窪んでいて、この角度じゃ見えない。

響きあえ青ざめた人や薄暗い人は生贄だよ
交じり合え塗り固め粘り気増やし無駄だよ
目線すら合わせないの

【この敵はガリバーのような巨人である。自分たちにもまだその全貌がつかめないでいる。ただ自分たちは巨人を批判し続け、戦い続けていく。決してその生贄とはならないだろう。】

やけに澄んで細い声が割れようと欠けようと僕は慌てて拾うよ
この速度に合わせて詩を歌うよ、謳うよと宣言する。高らかに。

【これはその後のアヤビエの生き方を宣言するものである。このテーマの曲は実際、「音楽を下らぬ」などにつながってその火を燃やし続けている。】

一度綺麗にして、またぶちまけるよ。僕らは泳いで逃げるから、君らは対岸を走ればいい。

【この一節はファンのみんなに声かけをしているのだろうか。君らは安全な対岸から眺めていてくれれば良い。自分たちはこちらで戦い続ける。】

響きあえ青ざめた人や薄暗い人は生贄だよ
交じり合え塗り固め粘り気増やし無駄だよ
目線すら合わせないの

やけに澄んで細い声が割れようと欠けようと僕は慌てて拾うよ
この速度に合わせて詩を歌うよ、謳うよと宣言する。高らかに。

欠けようと僕は慌てて拾うよ
謳うよと宣言する。張り上げて。

【ここまで素直に自分たちのスタンスを宣言するロックバンドも珍しい。涼平の曲にはいくつか子供のように素直思っていることを表現しているのがあるが本当に珍しく、今後の展開に期待したくさせるところを持っている。】


閉園の後、雨

2006-02-05 21:30:22 | 音楽

閉園の後、雨
作詞 作曲/涼平

【涼平はきっとこの歌を自分で非常に気に入っているに違いない。それと言うのもこの曲はワンマンの中で、大音響でしびれた耳を癒すためかのようにまったく別の構成で、静かに演奏されているからだ。珍しく叙情的な曲である。舞台は夕方の動物園か?僕はまだ見ぬ彼女との出会いを願ってやってきたのだが。まだ会えない。もう閉園時間を過ぎている。暗くなってきて雨も降ってきた。どうかうまく出会えますように。】
植木前だけ白い線が浮いて見えるのは
背景の明暗のせいでした

【これはフェンスのことを歌っているのだろうか。薄暗くなってきた園の中で植木の前だけフェンスが白く浮かんでいる。】

背の低い僕は同じ星を被るための
表面積が足りないのだけれど
この様子なら誰でも同じだ
早く目指す君に辿り着きますように

【このフレーズがいかにも涼平らしいところである。涼平は歌詞の中に科学用語を巧みに取り込んでいるのが多い。涼平の意図は正確にはわからないが、宇宙の星からは、いつも、いろいろな種類の宇宙線が降り注いでいる。それらの中にはエネルギーが高く、人の体を簡単に通り抜けるものも多い。宇宙線が体を通り抜けるとき、脳細胞を刺激しひらめきが生まれるとも言われている。ここでは、宇宙線が自分の体を通り抜けたら、他の人より早く彼女に合えるかのようだ。晴れていたら表面積の小さな僕を通り抜ける宇宙線は少なく不利だが、雨が降って星が見えなければ条件は同じだ。早く君にたどり着けますように。】

静かになった園内を満たすのは
沢山の糸と心地よい雑音。

【静かになった園内には今はたくさんの雨の糸とその雨音だけが響いている。】

背の低い僕は同じ帽子を被るための
表面積が足りないのだけど この様子なら誰でも同じだ
早く目指す君に辿り着きますように

背の低い僕は同じ帽子を被るための
表面積が足りないのだけれど
この様子なら誰でも同じだ

どうか状況がうまく働きますように

【僕は当ても無く園内を探し回っている。どうかうまく状況が好転しますように。(でもだめみたいだ。)】


吟遊詩人

2006-02-05 06:30:14 | インポート

【吟遊詩人】とは

広くは古代・中世期に民族伝承などを詠唱しつつ、各地、諸方を遍歴した詩人・楽師・芸人の総称。特に12~13世紀に武勇を讃えた武勲詩を吟遊し、また、恋愛詩を作った宮廷芸術家、南フランスのトルバドゥール、北フランスのトルベール、ドイツのミンネゼンガーを言う。

○現代、活字文化が衰退し、漫画やビデオ、インターネットなどビジュアル文化が栄えるにしたがって、いわゆる「詩」(本屋で詩集を買って読む行動)は衰退してきている。

○昔、まず同人誌を作って仲間うちで批評し合い、何年も経って後中央の詩人雑誌に投稿し、何年も経って自費で詩集を発行するといった少しづつ読者を広げていくスピードは現代の情報スピードに合わない。

○ビジュアル系バンドの意匠をまとってインターネットを駆使し、ライブで諸国を回り、CDとDVDで急速に詩を広めるアヤビエ涼平のやり方に現代の吟遊詩人を見るものである。