歴歩

歴歩 歴史は歩く。ゆっくりと歩く。それを追いかける。

喜多方市・高堂太遺跡 現地公開

2008年09月22日 | Weblog
高堂太遺跡(たかどうたいせき)
■公開日時: 平成20年9月27日(土) 13:00~15:00
■場   所: 喜多方市豊川町大字高堂太字高里
【遺跡の概要】
 高堂太遺跡は、下高額(しもたかひたい)館跡や古墳時代の水谷地(みずやち)古墳を含む遺跡である。
 平成17年度から発掘調査が行われており、これまでに中世の下高額館跡の中心部と思われる施設が見つかっている。堀に囲まれた範囲にたくさんの建物跡があった。
 今年度は、これまで道路や水路のため調査できなかった部分を中心に調査している。
 現在、下高額館跡の中心部と、その南側にある湿地を調査中。館跡からは、礎石を持つ建物跡や地面を掘って直接柱を立てた建物跡、堀跡、井戸跡などが見つかっている。周囲からは、当時の土器や陶磁器が出土している。
 南側からは、平安時代のものと思われる遺物が出土した。南側区域は低湿地であり、木が腐りにくいことから、当時の木製品などが出てくる可能性がある。
 江戸時代のものと思われる流路と堰の跡も見つかっている。
 平成18年度の2次調査では、銅製提子(ひさげ、酒器)とその外側に10枚の景徳鎮窯製の小皿(15世紀後半)が納められて出土し、さらに提子内部にも10枚の皿が重なって納められていることがX線撮影で判明した。さらに、モミガラが充填され、十字掛けされた縄が発見された。地鎮の儀式に際する埋葬品と考えられている。(今回の現地公開で展示をする。)
 平安時代前半の遺構からは、土師器・須恵器(会津若松市大戸窯産が多い)が出土している。

 館跡は、中世の平地式館跡であり、年代は14~15世紀にわたるものと推定されている。
 江戸時代に編纂された、『新編会津風土記』には、至徳年中(1384~1386)、7代葦名直盛より渡部左京進長勝(わたべさきょうのじょうながかつ)が上高額村ほか12村を領し、至徳元年(1384)には長勝寺(ちょうしょうじ)を建立したという伝承が記載されている。長勝寺は調査区の南東200mに現在もある。
[参考:(財)福島県文化振興事業団HP(平成18年度現地説明会資料を含む)、ほか]

(参考)
葦名氏 (葦は芦、蘆とも書かれるが、吾妻鏡には葦名と書かれているため、ここでは葦をとる)
 葦名(あしな)氏は、桓武平氏系の三浦氏から興った氏族で三浦半島の三浦庄葦名村(現在横須賀市芦名)の出身とみられる。
 相模葦名氏と会津葦名氏の二系統があるが、ここでは会津葦名氏のみ触れる。
初代:佐原義連
 三浦義明の七男・佐原義連(通称十郎)を初代とする。義連は相模国三浦郡佐原郷(横須賀市佐原)を領して「佐原」を名字とした。
 吾妻鏡では治承五年(1181)4月7日に初見。頼朝が納涼のために三浦へと出かけたおり、三浦氏とともに平広常も出迎えたが、広常は下馬の礼をとらず、頼朝に近侍していた義連がそれを咎めた。
 文治5年(1189)源頼朝の奥州藤原氏征討に従軍し、軍功により会津門田庄を賜るとされるが吾妻鏡には書かれていないので確証はない。
2代:佐原盛連
 宝治元年(1247)六月の宝治合戦によって三浦一族の多くが滅亡するが、佐原義連の子盛連の子息らは北条時頼と縁戚関係にあったため北条方に味方し、その結果盛連の四男光盛が葦名氏を称した。
 筑後和田文書で、承元3年(1209)6月16日に初見
 また、定家の「明月記」嘉禄2年(1226)1月24日に、「近日在京の武士遠江の国司(盛連のこと)、その妻武蔵太郎時氏の母(三浦義村の娘矢部禅尼のこと)なり。仍って時氏に付くべきの由関東これを許すと」
3代:佐原(葦名)光盛
 吾妻鏡では寛元2年(1244)1月1日に、遠江次郎左衛門の尉、御行始めの二の御馬として初見。
 葦名姓を名乗るのは、光盛の代になってから。
 
 その後、戦国時代16代蘆名盛氏の時、奥州で伊達氏と並び称される最盛期を迎える。
 1589年 20代蘆名義広は伊達政宗に摺上原の戦いで大敗して、常陸に逃走し、ここに蘆名氏は没落する。
 しかし、葦名義広(義勝と改名)は、関が原の合戦後、佐竹義宣の出羽への転封に随行し、秋田・角館1万6千石を与えられる。その後、盛俊、千鶴丸と続くが、千鶴丸は3歳の時に亡くなり、お家断絶となる。その三代の菩提寺が角館にあり、会津・天寧寺から分かれて建立された万松山天寧寺である。(写真)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安中市・人見地区の2遺跡 ... | トップ | アフガン国境トルクメニスタ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事