歴歩

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全南霊岩郡・内洞里双墓 5世紀末~6世紀始めの古代馬韓勢力の存在を再確認

2020年04月22日 | 韓国の遺跡・古墳など
 全南霊岩郡は、全南文化財研究所と栄山江流域古代社会実体を明らかにするために発掘調査を実施している霊岩・内洞里双墓(내동리 쌍무덤、全羅南道記念物第83号)で、羅州新村里9号墳から出土した金銅冠(国宝第295号)と非常に似た金銅冠(片)が出土したと21日発表した。
 羅州新村里金銅冠とその形状が非常に似ているという点で栄山江流域の馬韓勢力の存在を再確認させる。
 双墓に安置された被葬者は当時全南地域古代馬韓社会の最高の権力者と推定される。
 全南地域452ヶ所の馬韓古墳群のうち、霊岩に分布する古墳群は約41ヶ所が密集している。
その中20余りの古墳群が霊岩、内東里双墓周辺に分布していて、この地域に馬韓時代強力な政治勢力が存在したことがわかるという。
[参考:聯合ニュース]

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日本橋の麒麟像と靖国神社青銅燈籠の麒麟像レリーフ

2020年04月14日 | Weblog
今朝(4月14日)のグッドモーニング「ことば検定」の今日の問題は
日本橋の麒麟像、オリジナルの特徴とは?
で、答えは「翼がある」であった。
東野圭吾の推理小説『麒麟の翼』(きりんのつばさ)のイメージが強いのであろう。
実は「翼」ではなく「鰭(ひれ)」だそうである。
 
日本橋の「麒麟像」の製作経緯等が東京都公文書館ホームページに記載されている。
それによると、装飾の設計を建築家・妻木頼黄(つまきよりなか、1859-1916)、製作を東京美術学校に委嘱(製作主任は同学校の助教授の津田信夫(1875-1946))、獅子と麒麟の原型製作を渡辺長男(わたなべおさお、1874-1952)、鋳造を岡崎雪聲(おかざきせっせい、1854-1921)が担当したとある。
「日本橋記念誌 / 安藤安編」(日本橋記念誌発行所  1911)の「獅子と麒麟/岡崎雪馨著」では、麒麟像のモチーフについて参考にする作品が乏しかったが、彫刻物では九段の靖国神社にある鈴木長吉氏作、青銅燈籠の腰に造られた麒麟像が、最も参考品として有力であったことが記されている。
また、「翼」と「鰭」とを検討した結果、羽が生えたような形の背びれを採用したとしている。(「妻木頼黄と日本橋の意匠 金山弘昌著」(慶応大学日吉紀要-人文科学 2012 )にも同様なことが記載されている。)
左:靖国神社「青銅燈籠」の麒麟像レリーフ、 右:日本橋「青銅製麒麟像」 
    
靖国神社の青銅製金燈籠の麒麟像レリーフ
西南戦争に派遣されて、犠牲となった警察官を慰霊するため、明治12年(1879)に竣工、翌年5 月17 日に警視局(警視庁の前身)から青銅製金燈籠 2基が奉納された。
・銅工の鈴木長吉(1848 -1919)作
・腰部周囲の文様:龍、鳳凰、麒麟、玄武
この靖国神社の金燈籠について得られる情報は、インターネットでも上記の内容だけであるが、「小倉惣次郎と大隈重信伯像」(沓沢耕介著 早稲田大学會津八一記念博物館研究紀要第4号2002年度)に、この金灯篭の装飾、麒麟の原型を作ったのが、小倉惣次郎(1845-1913)であるという。灯篭には8面/基のレリーフがあり、この全てあるいは一部を小倉が製作に関与している。」 実は、早稲田大学の大隈重信像第1号は小倉惣次郎が制作し、鈴木長吉が鋳造している。1903年に完成し、1907年早稲田大学中央広場に設置された。現在は大隈講堂の回廊に移されている。
 
小倉惣次郎は富岡村下郡(現在、木更津市)に生まれた。幼くして久留里町大和田の宮大工興三郎の従弟となり、宮造りと彫刻を勉強したという。 波の伊八こと、武志伊八郎信由(1751-1824)の彫刻作品を時折見て、心に刻んでいたのだろう。 
 
左:靖国神社青銅製金燈籠 右:早稲田大学大隈講堂回廊の大隈重信像
 
追記:2020.5.14 早稲田學報 早稲田記念號(第百五十三號、明治四十年十一月一日)に「大隈伯銅像製作談」の中に、「鑄物師鈴木長吉氏談」があり、その中で (小倉惣次郎)氏が其の後の金工作品中、処女作ともいふべきは、靖国神社における金燈籠の装飾「麒麟」なり。 と記載されている。さらに、小倉惣次郎が明治15年頃より金工物に興味があったらしいことが書かれている。すなわち、鈴木長吉氏自らが、靖国神社金燈籠の装飾「麒麟」像は小倉惣次郎氏の作であることを語っているわけである。
 
追記:2022.1.18 日本橋の上に架かる首都高速道路が地下化されることになり、日本橋と麒麟像などが話題となっている。 1月15日(土)「新美の巨人たち」で、この日本橋麒麟像が採り上げられた。制作の参考にした靖国神社の灯籠に刻まれた麒麟のレリーフの作者は鈴木長吉氏としているが、前述のとおり、鈴木長吉氏が語っているように小倉惣次郎氏であろう。
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