モダンローズの祖先:カタログその1
バラの歴史は人類以上に古くその野生種は200種もあるというのに、
現代のバラ、“モダンローズ”の祖先は8種という。
オールドローズとモダンローズの境目は、
最初のハイブリッド・ティ(HT)『ラ・フランス』が誕生した1867年を境にしている。
それ以前のバラを「オールドローズ」 、それ以降を「モダンローズ」とよんでいる。
1800年代初めにジョゼフィーヌがマルメゾンの庭園で
昆虫などによる自然交配ではなく、初めての人為的な交配によりバラを作ったことは前に触れた。
この1800年初めから1867年までの期間を「プレ・モダンローズ」としてここでは呼ぶことにし、
オールドローズの系譜はジョゼフィーヌにバトン立ちするまでを描くこととする。
厳密に言うと19世紀の中頃までヨーロッパで栽培されていた品種をオールドローズというが、
中国のコウシンバラ、日本のノイバラもジョゼフィーヌのマルメゾン庭園に存在していたが
オールドローズに含めることとする。
8種の選定や花の特徴などは、鈴木省三著『バラ花図譜』 (1996年小学館)に教えを乞い、
バラの絵は, 19世紀初めのオールドローズのリアリティに近づくために
ジョゼフィーヌのバラを描いたというルドゥーテ『バラ図鑑』 (1817-1824)を活用させてもらった。
※出典 http://www.cstone.net/people/hughest/index.html
1.ロサ・ガリカ(小アジア)
Rosa gallica Linnaeus ロサ・ガリカ・(命名者リンネ)
・別名 French Rose(フレンチ・ローズ)
・原産地は小アジア、コーカサス地方と南・中央ヨーロッパ。
・花はローズピンクでサーモンがかかる。一重咲きだが半八重咲きに近いものもある。
・花径は5-8cm
・樹高100㎝の小低木。
・枝や花に強い香りがあるので香料として利用される。
・ヨーロッパには紀元前に、近東から小アジアの自生種がはいり自然交配したと考えられる。
・フランスで切花・香料の原料として栽培される。
・ローズピンクでサーモンがかかった赤紫の花色はガリカの特色でモダンローズに大きな役割を果している。
※12世紀十字軍の兵士が西アジアから持ってきたバラ、ガリカローズ(R.gallica officinalis)別名プロヴァンローズは、プロヴァンの地で栽培されたことからこう呼ばれる。
※紀元前16世紀頃のクレタ島の遺跡、クノッソス宮殿の壁画にはローザ・ガリカR.gallicaやローザ・ダマスケナR.demascenaと考えられるバラの絵が残っている。
※ジョゼフィーヌの庭にはガリカ系167種の園芸品種があった。
2.ロサ・ダマスケナ(小アジア・トルコ原産)
Rosa damascena Miller ロサ・ダマスケナ
・原産地は小アジア
・英名ダマスクローズDamask Rose
・花は肉色を帯びた薄いピンク、またはローズピンク。裏弁はやや色が薄い。
・八重咲きで中心は4つに別れ平開し、一枝に2-5の花がつく。
・花径6-8cm、花弁はやや細長く20-25枚+5枚が通常。
・ダマスク系の芳香がありダマスク香として珍重される。
・原産地小アジアからヨーロッパには紀元前に入ったという説が有力。
・十字軍の遠征で中近東から再移入する。
3.ロサ・アルバ(ヨーロッパ)
Rosa alba Linnaeus ロサ・アルバ
・英名Bonnie Prince Charlie’s Rose(ボニー・プリンス・チャーリーズ・ローズ)、Jacobite Rose(ジャコバイト・ローズ)
・花は白色、半八重咲き
・花径6-8cm 通常は房咲き
・濃厚な香りがある。
・1597年以前から栽培されていた記録があるが、氏素性に関してはよくわからない。
・ガリカと他の種の雑種といわれるが、中部ヨーロッパに自生するカニナ(別名ドッグローズDog Rose)との自然交配で生まれたという説もある。
※イギリスのばら戦争での一方のヨーク家の白バラは、ユーラシア大陸に広く生育しているローサ・アルバ(Rosa alba)と信じられている。
(次回残りを掲載)
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