続く短編も同じような終わり方であるが、印象は同じように良いのである。「浮かれ節」では竃河岸で役職にあぶれている侍の三土路保胤は端唄の稽古に励み、ちょうど流行りだした都々逸にも興味を示す粋で貧乏な小普請組の武士だった。声の良い保胤は売り出し中の都々逸師と競争をすることになり、賞金の25両を手にするが、それは娘のちひろが奉公に上るときの衣装代に使うつもりだった。賞金よりも自分が歌う「黒髪」が評判をとったことのほうが嬉しい保胤であった。
京都の公家の娘で9歳の姫様がお供と江戸に向かう間に追い剥ぎにあって最後は江戸の町に一人で置き去りにされて、岡っ引きの家族に拾われる話が「身は姫じゃ」、大きな問屋の跡取り息子が遊び呆けた上に家に迷惑をかけたために房総の先に奉公に出されて行方不明になってしまった。親父が死んで跡取りに困ったところに帰ってきた息子には、年増の女が一緒にいた。悪い性格ではなかったが情が深い、跡取り息子は困ってしまったがここは別れなければと別れ話を持ちだしたところ、情の深い女は跡取り息子を包丁で刺してしまう。愛想尽かしをした跡取り息子ではあったが、一緒に暮らした情の深い女が妙に愛おしいのであった。「愛想尽かし 行徳海岸」。
ホッとしたい人にはオススメの一冊。
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