水徒然2

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異常気象など天変地異に係る記載を調べました。(その14:スペースデブリ「宇宙のゴミ」について)

2013-01-21 | 天変地異・異常気象関連

'13-01-21投稿

 既報の天変現象の記載でふと思ったのは、関東上空に隕石? 大きな音と光とは直接もしくは全く関係がないかもしれませんが、以前から一般メディアにて公開されているスペースデブリ「宇宙のゴミ」の実態に係る記載を天変に影響する可能性がどのようなものか?個人的には不詳につき調べました。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)

宇宙ゴミの除去による地球軌道の環境改善を急ぐ 本文詳しく読む
(一部、グラフなど割愛しました。)

・・・宇宙空間に漂う不要な人工物

スペースデブリとは、地球の周回軌道上にある不要になった人工物体のことで、簡単に言うと「宇宙のゴミ」です。分類すると、役割を終えた衛星やロケット、衛星を運用する上で放出された部品、破砕した破片に分かれます。
具体的には、寿命や故障で運用を終えた衛星。衛星を軌道に投入するのに使われたロケットの上段部分。衛星の運用上、出さざるを得なかったゴミ。例えば、打ち上げのため折り畳んだ太陽電池パドルを縛るワイヤがありますが、ワイヤは太陽電池を広げる際に切られ、宇宙空間に放出されてきました。カメラのレンズキャップなども宇宙に捨てられていました。
破砕した破片というのは、初期には主に爆発によって発生しましたが、最近ではデブリ同士の衝突によっても発生するようになっています。衛星はロケットで打ち上げられますが、ロケットは燃料に多少の余裕をもたせて打ち上げます。そのため衛星を放出した後、太陽光によって燃料タンクが加熱されて中が高圧になると、残っていた燃料によって爆発する可能性があるのです。また、衛星にも姿勢制御用の燃料が搭載されていますので、運用を終えた衛星の燃料タンクが太陽光で加熱され、同じように爆発することもあります。このような爆発事故はこれまでに200回ほど起きています。爆発にしても、衝突にしても、ものすごい数の破片が出ますので、スペースデブリの多くはこの破砕で生じた物なのです。

Q. スペースデブリの問題が注目されるようになったきっかけは何でしょうか?

もともとは、NASAが国際宇宙ステーション計画を発表した1980年代後半頃から、アメリカを中心にスペースデブリの問題が議論されるようになりました。私自身がデブリの研究を始めたのもその頃からですが、当時、日本国内ではまだデブリへの認識が浅く、なかなか研究への理解を得ることができませんでした。しかし、国内外の関係者の努力もあって、ここ10年ほどは徐々にではありますが、問題の重要性・緊急性が宇宙開発関係者に認識されるようになって来ていました。そんな中、2007年に中国が行った衛星破壊実験により、10cm以上のデブリが約2500個発生したこと、さらに2009年のアメリカの衛星「イリジウム」とロシアの衛星「コスモス」の衝突で数千個のデブリが発生したことで、一般の方も含め世界的な認知度が急速に高まり、デブリの問題に真正面から取り組まなければならないという意識が日本にも広がりました。

スペースデブリの衝突が急速に拡大

Q. 現在どれくらいの数のスペースデブリがあるのでしょうか?

スペースデブリの数や大きさ、分布は地上にある光学望遠鏡やレーダーを使って観測します。その精度は、高度約1000kmにある10cm以上の物体を観測することができるほどです。スペースデブリについては、独自の観測網を有する米国が中心となり観測を行っており、10cm以上の比較的大きなデブリは約16,000個あることが確認されていますが、その数は近年急速に増加しています。これらの確認されたスペースデブリの情報については、米国が、SpaceTrackというウェブサイトで公開しています。そのほか地上からの観測では見えない1cmぐらいのデブリを含めると数十万個、1mm程度の物まで入れると1億個くらいは地球の周りを回っているといわれています。地球の周りはデブリの密集地帯となっているのです。

Q. それだけ密集していると、いつ衝突してもおかしくない状況ですね。

はい。実際にかなりの数の衝突が起きていますが、私たちはそのすべてを把握しているわけではありません。10cm以上のデブリについてはカタログ化されていて位置が分かっていますので、そのような大きいデブリ同士の衝突は比較的容易に分かります。
ところが、10cm以下の小さいデブリ同士の衝突や、小さいデブリが大きい物体に衝突しても、地上からではよく分かりません。運用中の衛星が理由もなく揺れた場合に、小さなデブリが当たったのではないかという推測はできますが、確証はないのです。そのような確証のない事例も数多く起きています。

Q. 実際にスペースデブリによってどのような被害が起きているのでしょうか?

例えば、1996年にフランスの衛星「セリース」がアリアンロケットの破片に衝突しました。「セリース」は一部の機器を破損しただけで運用を続けることができましたが、2009年に起きたアメリカの衛星「イリジウム」と運用を終了したロシアの衛星「コスモス」との衝突は被害が大きく、ニュース等でも報道されました。「イリジウム」はバラバラに破壊され、運用を停止せざるを得なくなったうえ、大量のスペースデブリが発生したのです。

危険をもたらす宇宙からの落下物

Q. 2011年9月にはアメリカの上層大気観測衛星「UARS」が、10月にはドイツのX線天文衛星「ROSAT」が大気圏に再突入し、燃え残った部品が地上に落下すると世界的なニュースになりました。そもそもスペースデブリが地上に落下するのはなぜでしょうか?

 
高度2000km以下の地球低軌道では、非常に希薄ですが大気が存在しますので、そこを高速で飛んでいる衛星は大気の抵抗を受けて徐々に高度が下がっていきます。このように、衛星はいずれ必ず落ちてくる物なのです。ただ、高度1000kmにある衛星だと、落ちてくるまでに1000年くらいかかるという具合に、その落下までの時間は、高度によって異なります。例えば、X線天文衛星「ROSAT」は1990年に打ち上げられたときには高度580kmで地球を周回していましたが、1999年に運用を終えた後、少しずつ高度を下げ、2011年9月には高度が約270kmまで低下しました。
それと同じように、他のスペースデブリの高度も大気抵抗を受けて徐々に下がっていき、そのほとんどが大気圏で燃え尽きてしまうものの、一部、耐熱金属などの燃えにくい部品が地上に落下するというわけです。アメリカの衛星「UARS」の場合は約532kg、ドイツの衛星「ROSAT」の場合は約1.6tもの破片が地上に落下する可能性があるということで、世界中のみんなが心配しました。でも実は、それほど大きくないにしても、衛星レベルの比較的大きなスペースデブリは、週に平均1~2回の割合で、大気圏に再突入しているんです。これらの大気圏に再突入するスペースデブリについても、SpaceTrackで情報を公開しています。

Q. スペースデブリが地上に落下して人に当たったことはあるのでしょうか?

今のところ落下したスペースデブリが見つかった事例はありますが、スペースデブリが人や建物に被害を与えたという報告はありません。日本では、破片が落ちてきたという報告もないと思います。

Q. 将来、実際に日本に破片が落ちてきて被害が生じたときには、何らかの補償が受けられるのでしょうか?

人工衛星を所有する大半の国によって締結されている「宇宙損害責任条約」という国際条約があり、衛星を打ち上げた国から賠償を受けられるようになっています。日本の人工衛星やロケットのスペースデブリによって被害が生じた場合は、損害賠償の責任が日本にありますので、日本の国が補償します。」

 JAXAのスペースデブリ対策

JAXA未踏技術研究センターでは、「観測」「モデル化」「防御」「発生防止」という4つの観点からスペースデブリの総合的な研究を行い、デブリ対策の活動に生かしています。

1つ目は、カタログ化されていないような、より小さいデブリを発見できる観測技術の研究です。また、光学望遠鏡を使ってデブリを自動的に検出する観測システムの開発も行っています。より多くのデブリがカタログ化されれば、運用中の人工衛星や国際宇宙ステーションが軌道を変えてデブリを避けるなど、衝突回避に役立ちます。

2つ目は、デブリの分布の将来に渡る変化を予測する研究で、これは九州大学と共同で行っています。また、衛星などの宇宙機の形状や姿勢などを考慮して、どの部分にどのくらいのデブリが衝突して損傷を与えるかをシミュレーションするツールも開発しています。この研究成果を元に「デブリ発生防止標準」という基準を制定し、JAXAの衛星やロケットに適合させる活動も行っています。

3つ目は、スペースデブリの衝突に耐えられるような構造の研究です。デブリが地球低軌道の衛星に衝突する速度は平均で秒速10kmもあり、そのエネルギーは非常に高く、破壊力があります。デブリが衛星や国際宇宙ステーションに衝突する時に起こる破壊現象を解明することで、デブリ衝突の被害を防ぐ構造を研究開発しています。

4つ目は、これ以上デブリを発生させないための技術の研究です。例えば、大気圏突入の際に燃えて溶けやすい材料を開発したり、レンズキャップなど運用上のゴミの非放出化を考えます。また、デブリを捕獲して軌道から除去するようなデブリ除去衛星を打ち上げて宇宙を掃除する技術の研究も行っています。

Q. スペースデブリの観測は日本国内の望遠鏡を使って行っているのですか?

  ・・・  (中略) ・・・

スペースデブりが人に当たる確率は?

Q. 落下する衛星が人に当たる確率は、アメリカの上層大気観測衛星「UARS」は3200分の1、ドイツのX線天文衛星「ROSAT」は2000分の1だといわれました。この確率はどのように出すのでしょうか?

衛星が大気圏に再突入した時に、地上にどれくらいの大きさの物が、いくつくらい地上に到達するかは、計算で推定することができます。その結果は、衛星がどのような素材でできているかによって異なります。一方、大気圏再突入時に燃え残った衛星の破片が落下する可能性のある地域は、衛星の軌道によって決まります。例えば「UARS」の場合、北緯57度~南緯57度の範囲が落下推定範囲となっていました。この落下する可能性のある地域の面積とその地域の人口分布、落下物の大きさと数によって、人に当たる確率を算出しています。
ところで、「UARS」の重量は約6tで、人に当たる確率は3200分の1。「ROSAT」の重量は約2tで、人に当たる確率は2000分の1。「ROSAT」の重さは「UARS」の3分の1程度しかないのに、なぜ「UARS」より人に当たる確率が高いのでしょうか?これは先ほど言った衛星の素材に関係しています。「ROSAT」はX線天文衛星で、搭載されたX線望遠鏡の主鏡部分が特殊なガラスでできていて、その部分の総重量が約1.6tありました。このガラスはただでさえ燃えにくいのですが、補強のために炭素繊維強化プラスチックでカバーされていたので中に熱が伝わりにくく、およそ1.6tものガラスが落下する可能性があったのです。「UARS」に比べて「ROSAT」には燃えにくい物がたくさんあったので、人に当たる確率が高くなりました。

Q. 「ROSAT」が人に当たる確率は2000分の1、というのは高い数字なのでしょうか?

この2000分の1の確率を、「2000人に1人に当たる」と勘違いして心配なさった方もいらっしゃいましたが、正しくは「2000分の1の確率で、誰か1人に当たる」ということなのです。世界の宇宙機関との間には、この確率を、衛星の再突入1回につき10000分の1以下にするという規定がありますので、それに比べると5倍も高い確率だということで大騒ぎになりました。
ただ、2010年の警察庁の統計によると、交通事故の死傷者数は1年で約90万人ですので、日本だけでも90万人/年となり、交通事故の方が10の12乗倍(1兆倍)と桁違いに危険だということになります。

 また、隕石の落下による年間の死亡予測数は、0.36人/年という統計が出ています。1年間に0.36人が隕石に当たって死亡する、つまり3年間に1人ずつ亡くなる可能性があるということですから、わりと大きな数字です。この数字と比べても、衛星の落下物に当たる確率は非常に少ないことが分かります。でもだからと言って、この確率をより小さくする技術的努力を怠ってはいけません。

 増え続けるスペースデブリ

Q. スペースデブリの数は今後、どのように変化すると予測されていますか?

それは、これからの人間の努力によると思います。つまり、これからどのくらいの規模で、どのような宇宙開発を行うのかによります。これまでのようにデブリを軌道上に放置しつづけると、その数は増え続けて膨大な量になるのは確実です。シミュレーションによる推定では、4~5年に1度の確率で運用中の衛星、もしくは運用を終えた昔の衛星と衝突をするといわれていますが、これが現実に起こると、デブリの量は数千単位で増えていきます。デブリの密集地帯で衝突が頻繁におき、さらにデブリが増えるといった具合に、負の連鎖は続きます。どこかでこの現象を止めなければ、地球の周りはゴミだらけになり、取り返しがつかなくなるのです。
中には、デブリを出さないために宇宙開発を止めればいいと究極の策を考える人がいるかもしれません。しかしもう既に地球の周りはデブリでいっぱいです。実際に、軌道上にあるデブリ同士が衝突し、デブリの数がどんどん増加する現象が起きていることが分かっています。たとえ今、宇宙開発を中止するという究極のデブリ発生防止策をとったとしても、デブリの数は増え続ける一方なのです。そこで、地球軌道の環境を改善するためには、デブリを取り去ることが急務だといわれています。特に、衝突で大量の破片を発生させる可能性がある大型デブリの除去が最優先されなければなりません。」

スペースデプリには超新星爆発、流れ星(彗星)など天然の破片は介在するのだろうか?

 落下する確率の高い地域はどのようなところだろうか?

今回の正体不明の「関東の閃光物」のように、上空で燃え尽きるか、海であってもらいたいですね。


人工衛星の位置:

(図拡大クリック)

    (google画像検索から引用)

関連投稿:天変に影響する要因に係る記載(その4:大気圏より上の宇宙空間)


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