水徒然

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水田土壌に生息する微生物によるメタン生成の天変地異への影響は?

2011-10-08 | 日記

'11-09-30投稿、強調
 既報でも記載しましたが、土壌中には無数の微生物が生息しています。

*引用文献:
土壌中の微生物の存在量
*参考文献:かもしてパッパラなーるなるhttp://blog.livedoor.jp/agrikin/archives/1565770.html

 今回は水田の土壌中の微生物によってメタンガスが発生する記載、および異常気象など天変地異の要因のひとつとして考えているメタン生成に係る微生物を調べました。
セシウム、ヨウ素、臭素、プルトニウムなど放射性物質とどのように反応するのだろうか?
稲の中のどの部分に蓄積しているのだろうか?
 参考:内部被曝に係る記載(原発漏洩放射性物質)
 メタンは既報で紹介しましたが、水にはほとんど溶解しないと思っていましたが、最新の研究では、シェールガス採掘地域の飲み水へのメタン流出を示すデータが初めて体系的に収集されました。 また、メタンはメタンハイドレイドに係る調査から、常温、常圧では簡単に水から分離すると言われています。

 それ自体でもガス化すれば、水(H2O)、CO2と並ぶ温室効果ガス、また、臭素などと反応して臭化メチル(CH3Br)など生成すればオゾン層破壊ガスとして地球温暖化に影響を与えるのか?
 昨今の眼に余るゲリラ雷雨など短時間大雨気象から鑑みて大気中に存在するさまざまな放射化作用を有する放射性物質と反応して、人工降雨剤的作用、オゾン層破壊ガス的な作用をしているのではと妄想しています。
参考投稿:
異常気象に係る記載(新潟中越地方に停滞した豪雨雲
異常気象に係る記載(記録的な夏の短時間大雨
異常気象に係る記載(ゲリラ雷雨の増加の原因は?)
 ⇒冬季は大雪、豪雪になるのか?

水田生態系の構造

http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~soil/index.html
(一部抽出しました。)
「水稲は世界人口の半数以上にとっての主食であり、水田景観は我が国の原風景である。本研究室では、水田生態系の成り立ちとそこで進行する生化学反応の実態を、土壌微生物学、水田土壌化学、地球環境問題の視点から取り組んでいる。 水田生態系は、田面水、作土層土壌、作土下の下層土から成り、作土層土壌は表層数mmの作土酸化層とその下の作土還元層から成りたっている。

 

 また、水田生態系においては、浸透水がこれら各層を上から下に結びつけている。加えて、作土層には、水稲根系が発達し、多量の刈り株・残根や稲ワラが鋤込まれている。これら各部位は、そこに生育する微生物にとってそれぞれ異なった環境であり、各部位に適応した微生物群集が生育している(研究課題1)。 水田に生息する微生物群集はウィルスに始まり、細菌、糸状菌、原生動物から構成され、各微生物は互いに影響を及ぼしあっている.例えば、地球温暖化ガスであるメタンは、メタン生成古細菌によって作られるが、その生成には共生菌の存在が不可欠である(研究課題2).また、生成したメタンは土壌中を移動するとともにメタン酸化菌によって分解され、メタン生成古細菌、メタン酸化菌は、そのウィルスや原生動物によって制御されている(研究課題2,3). 本研究室では、全国各地の水田土壌を用いて、そこに生息する各種微生物の種類と微生物間相互作用を、主として分子生物学的手法を用いて解析している。」

水田土壌の機能と微生物群集構造
http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~soil/Asakawa/paddy_soil_microbe.html#subtitle1
(一部抽出しました。引用文献など詳細は本文参照願います。)
はじめに
 
水田には洪水防止,水涵養,水質浄化,気温緩和,景観維持など多面的な機能30)が知られているが,最も重要な機能と役割はいうまでもなく,水稲の生産である。水田土壌の物理的・化学的・生物的な種々の作用や働きが水稲の生産を支えている。それらの水田土壌の働きの中で,無機養分としての窒素の供給や稲わら・堆肥といった有機物の分解など,土壌微生物の活動が重要な役割を果たしている場面は少なくない。  水田は,水稲の栽培期間中,湛水されることが,他の農耕地とは著しく異なる点である(図1)。湛水にともなって生じる作土の還元化と表面水(田面水)の存在は,他の耕地土壌には見られない水田土壌生態系の特徴であり,水田土壌で生じる物理的・化学的・生物的な作用だけでなく,生息する微生物群集にも大きな影響を及ぼす25)。   ここでは,水稲生産を支える土壌の機能として,最も重要な無機養分である窒素の形態変化に注目し,水田土壌における窒素代謝に関連する様々な微生物群集の研究例を紹介する。それとともに,還元的な土壌中における特徴的な物質代謝として,有機物分解の最終過程に位置づけられるメタン生成を取り上げ,反応に関わる微生物群集について,これまでの研究事例を紹介する。これらの研究の中で,それぞれの代謝の鍵となる微生物群や,反応に重要な役割を果たしている微生物間の相互作用について,明らかにされた知見と未解明のまま残されている点をも含めて述べたい。

窒素代謝に関連する微生物群集
1)有機態窒素の無機化
 土壌中の有機態窒素から生じた無機態窒素は,水稲が吸収する窒素量の半分程度を占めており27,44,50),地力窒素と呼ばれる。そのため,地力窒素の発現量と無機化パターンの把握は水稲の栽培・施肥管理にとって重要であり,古くから現在まで数多くの研究が行われてきた34)。 (中略)
2)硝化と脱窒
 酸化層,還元層およびその境界を含む水田表層部における硝化・脱窒現象は施肥窒素の肥効に関わる重要な代謝過程であり,塩入松三郎・青峰重範42,43)により発見され,深層施肥あるいは全層施肥法の開発へとつながったことは有名である。(中略)
3)窒素固定
 水田の田面水と作土の最表層部には光合成窒素固定微生物が生息している23,55)。これは,耕地土壌における窒素固定菌の分布や生態面からみた場合,水田の特徴といえよう。中でもシアノバクテリア(ラン藻)による窒素固定が古くから注目され,水田土壌の窒素肥沃性維持に重要な役割を果たしていると考えられている3,51)。(中略)

 メタン生成に関与する微生物群集  
 メタン生成は還元条件下の作土での有機物の嫌気的な最終分解過程として古くから研究されており,近年では温室効果ガスの発生過程としても注目されている2)。

 メタン生成は絶対嫌気性のメタン生成古細菌により行われる。

 水田土壌に生息するメタン生成古細菌としては,これまでに表1に示した属の菌株が分離されており,目(Order)としては,Methanobacteriales, Methanosarcinales, Methanomicrobialesに属する菌群であった1,10,31,32,49)。

 遺伝子を用いた解析では,これら3目に加えて,既知の培養菌の分類群と類縁性の低い,Rice cluster Iと呼ばれる配列群が得られており11,64),これらが水田土壌のメタン生成古細菌の主要な菌群であると考えられる。なお,ごく最近Rice cluster Iに属するメタン生成古細菌が培養・分離された19)。

表1 水田土壌から分離されたメタン生成古細菌の種類



Methanobacteriales
Methanobacterium

Methanobrevibacter
Methanosarcinales
Methanosarcina

Methanosaeta
Methanomicrobiales
Methanoculleus

Methanospirillum

 メタン生成反応はメタン生成古細菌単独で進行するばかりでなく,様々な嫌気微生物との共生系によっても進行する。

 その中で,最も有名な例はモMethanobacillus omelianskiiモ 6)で,メタン生成古細菌と水素生成真正細菌との水素を介した種間水素転移と呼ばれる栄養共生関係に基づくメタン生成共生系である40)。水田土壌においても,プロピオン酸などからこのような共生系を介して生成される水素が,メタン生成反応に重要な役割を果たしていると考えられている9)。

 最近,水田土壌でプロピオン酸を分解する共生系の微生物群集を安定同位体プロービング(SIP)法により解析した研究28)が報告されたが,関与する微生物の分離培養が困難なこともあり,群集を構成する微生物についての知見は未だ十分ではない。

 森田ら(未発表)はプロピオン酸を基質とした培地に水田土壌を接種し,継代培養を行って得られた集積培養液について,DGGE法により培養液中に存在する真正細菌群集を解析した。SyntrophomonasSyntrophobacterなど,これまでに酪酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸を分解するメタン生成共生系で知られている水素生成真正細菌群40)に近縁な配列は得られなかったものの,Bacteroidetesに属するProteiniphilum acetatigenesに近縁な配列が得られた。P. acetatigenesは,プロピオン酸を分解する, Syntrophobacter sulfatireduenceとMethanobacterium formicicumからなるメタン生成共生系から得られた菌株で,自身はプロピオン酸の分解もメタンの生成も行わないが,この共生系に共存することにより,プロピオン酸分解とメタン生成を促進することが明らかにされている7)。

 DNA解析のみからの推定であるため,さらに研究が必要であるが,水田土壌のプロピオン酸分解共生系においても同様の共生的ともいえる相互作用が働いている可能性を示唆する結果である。これまで,共生では二者生物間の関係が主に研究されてきたが,このような三者の微生物からなる共生的な相互作用が,メタン生成共生系のみならず,水田土壌の様々な代謝に関与しているのかもしれない。 おわりに  窒素代謝とメタン生成という,水田土壌では古くから多くの研究が行われてきた代謝過程を中心に述べたが,鍵となる微生物群や反応に関わる相互作用について,亜硝酸酸化・脱窒やメタン生成共生系の例のように,不明な点もまだ多く残されている。加えて,嫌気的アンモニア酸化46)や硫酸イオン52)及び硝酸イオン37)の還元と共役した嫌気的メタン酸化など新たな反応経路や共生系が近年になって他の嫌気生態系で見つかっており,水田土壌でもこれらの微生物反応が行われているか,また,どのような微生物群が関わっているのか興味深い。

 今後の研究の進展に期待したい。分子生態学的手法の発達により微生物群集構造の解析はかつてより容易に行えるようになった。

 一方で,土壌中における機能や微生物間の相互作用を明らかにするためには,上記のプロテアーゼ生産菌Rice cluster Iに属するメタン生成古細菌,あるいは畑下層土における低栄養性脱窒菌などのように,菌の分離・培養を併せて行っていく必要があろう。・・・
おわりに
 窒素代謝とメタン生成という,水田土壌では古くから多くの研究が行われてきた代謝過程を中心に述べたが,鍵となる微生物群や反応に関わる相互作用について,亜硝酸酸化・脱窒やメタン生成共生系の例のように,不明な点もまだ多く残されている。加えて,嫌気的アンモニア酸化46)や硫酸イオン52)及び硝酸イオン37)の還元と共役した嫌気的メタン酸化など新たな反応経路や共生系が近年になって他の嫌気生態系で見つかっており,水田土壌でもこれらの微生物反応が行われているか,また,どのような微生物群が関わっているのか興味深い。

 
今後の研究の進展に期待したい。分子生態学的手法の発達により微生物群集構造の解析はかつてより容易に行えるようになった。一方で,土壌中における機能や微生物間の相互作用を明らかにするためには,上記のプロテアーゼ生産菌やRice cluster Iに属するメタン生成古細菌,あるいは畑下層土における低栄養性脱窒菌などのように,菌の分離・培養を併せて行っていく必要があろう。」
(転載終了)


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