ワンダフルなにか ビューティフルだれか

並べてみると 輪郭がつかめるかもしれない

野口哲哉 別世界旅行 ギャラリー玉英

2015-10-26 23:53:10 | 美術


もう終わってしまったが、野口哲哉の個展「別世界旅行」はとても良かった。

野口哲哉といえば立体の甲冑や侍が有名だが、この人は絵も良い。今回は絵とストーリーを読み進める形の個展になっており、侍とガチョウの冒険譚が楽しめた。侍なんだけどオープンカーに乗り、西洋の城やバイキングのような兜の男が出てきたりと野口らしい独特の世界観の絵と各絵に添えられた数行の文章(これがまた文才があるのだ)がとても良い塩梅に異世界に連れてってくれる。少なくない人がミヒャエル・ゾーヴァを連想したのではないかと勝手に思っているのだが、ゾーヴァよりも良いのではないだろうか。ご本人も在廊されていてそこでも少し話をさせて頂いたのだが、是非本(絵本?)にしてほしいと思う。会場でうっすら流れていたクラシックの曲は何だったのか聞き忘れたのだけが心残りだ。あの世界観にあった曲だっただけに。




野口哲哉作品展「別世界旅行」
ギャラリー玉英

会 期 2015年10月5日(月)~24日(土)



春画展の混み様は異常

2015-10-16 00:04:05 | 美術



舟越保武展にも行ったしニキ・ド・サンファル展にも行った。曜変天目茶碗も見たしディンQレ展もIMAのクリスティーナデミデルも恵比寿の丹羽良徳展も近美常設展の藤田嗣治コレクションも見た。他にも結構行ったのに全然書けてない。書けてないから記憶が薄れる。


先週末に春画展を見に行ったらなんと行列ができていた。しかもなんだか小洒落たカップルばかり。この列に並んで見るのはなんか違うと思ってやめてしまった。混んでない時に行こう。春画もいいけど、こないだまで太田記念美術館でやってた「錦絵誕生250年記念 線と色の超絶技巧」の方が絶対面白かった。春画展を見てなくてもこれは揺るがない、それくらい良い展覧会だった。彫師と摺師にスポットがあたった展示で、彫師横川竹次郎(馬鹿竹)、小泉巳之吉、野口円活、片田長次郎、太田升吉や摺師大海屋久五郎が大々的に紹介されていた。絵師が誰かなど全く気にならないという珍しい浮世絵展だった(こういうのが見たかった)。


彫りの視点から見ると蚊帳の網表現に唸ってしまう。あと、浮世絵のきめ出し(要はエンボス加工)を見るといつも興奮してしまう。200年異常前に紙に加えられた圧力の跡がこんなにくっきりと残っている事に、なんだか興奮してしまう。