ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

脚立礼賛!転ばぬ先の脚立!

2009-11-24 21:42:58 | 日記
防災の季節、9月のある日、池袋の東急ハンズで地震で戸が開かないための安全フックを見つけて買いました。我が家のキッチンの食器やお盆などが入っているつり戸棚には、ばね式蝶番で観音開きになる戸が付いているだけで、もしもの時はちょっと危ない。ガスの火を消そうと、もたもた台所にいるとカレー皿などの食器が上から頭めがけて降ってきそうな気配がします。で、外から見えない扉の内側に地震を感知するとフックが作動して開かぬようにしてくれる安全フックを取り付けようというわけです。
ところが天井近くの高い位置にフックを取り付けようと背伸びしてドライバーでねじくぎをねじ込むのは一苦労。ヤマハのキッチンの合板がよほど硬いのか、力が弱いのか、錐も刺さらず、ねじも進まず、思い余って火箸で突いても焦げ目がつくだけで挫折、中途のまま長いことぶら下がっていました。
先日思い切って、近所の木工クラブを訪ね、匠の方々にお知恵を拝借するに至りました。皆さん親切で、ご指導を賜り、ベストな構えで電動ドリルで穴をあける練習をさせていただき、ドリルと、錐の鋭いのと、脚立をお借りしなんとか完遂!やった!お礼を言って道具をお返しすると、いわく「脚立はひとつ買うといいよ」これは目からうろこの発想でした。めったに使わない、場所をとる、いらないと思い続けていましたが、掃除にしろ、蛍光管を取り換えるにしろ、椅子ではちょっと高さが足りない。そのちょっとが、危ないし、あったらどんなに安定して作業がうまくできるでしょう。これから年末にかけてエアコンや高いところの掃除、めったに出さない道具の出し入れなど、思えば高いところの作業は意外とあるもの、これからますますバランスや運動神経があやしくなるでしょうから、これは将来のリスクを回避するためのものすごく貴重なアドバイスだったかもしれません!

フェルメール本2冊、そして魅惑の青ラピズラズリに思いを馳せて

2009-11-20 08:43:13 | ブックレビュー
フェルメールの絵画芸術を見たことがあります。思ったより大きくて、間近で見るとスーパーリアリズムと呼ばれる絵画のように床や蜀台や布の質感がリアルで、細かな表現が素晴らしい魅力的な作品です。このところ立て続けにフェルメールに関した本を読みました。「私はフェルメール・・・20世紀最大の贋作事件」第二次世界大戦のごたごたの中で、オランダの至宝フェルメールの作品がナチズムの支配するドイツに流失するのをおそれたオランダの老美術史家の焦りに付け込んで、まんまと騙したハン・ファン・メーヘレンの話。名門ボイマンス美術館に贋作を展示させたり、敵国ドイツを騙したり、というしてやったりの快挙にまずは拍手ものです。贋作は写真で見る限り、フェルメールの自然で魅力的な人物像とはニュアンスが異なりますが、アルコールによる絵の具の溶解テストやキャンバスや木組みの古さを調べる当時の年代調査では見抜くことができず、表面を特殊なオーブンで焼いて細かいひびを入れて古色を出したり、使われた顔料を研究したり、フェルメールの物語画家から、風俗画家へ変化する過程で描かれたであろうテーマを描き、美術史家があるべきものと探してやまない新発見の作品にかなう作品に仕上げて、まことしやかにべらぼうな価格で売りつけるなど、したたか極まりない生きざまも面白い。
もう一作は「謎解きフェルメール」こちらは丁寧にフェルメールの作品とその時代そしてあの贋作事件や盗難事件など、多角的にわかりやすく解説した良書です。
それにしても、「青いターバンの少女(真珠の首飾りの少女)」や「牛乳を注ぐ女」の青は美しい、日本画もやはり青の魅力に引き込まれます。ラピズラズリの青は古代エジプト以来私たちの心をとらえて離さぬ魅力に満ちた魔力を持つ色のように思いますがいかがでしょう。

横浜開港記念芸術麦酒ラベルコンペ入賞しました!

2009-11-19 10:09:00 | 日記
横浜開港記念事業の一環で、横浜のはちみつを使った発泡酒を販売するにあたり、ラベルデザインとネーミングのコンテストがありました。芸術麦酒製造構想でその審査の動画を公開しています。出品した2作ともアップで映っており、そのうちの一点は最終審査に残り、どうやらはちみつ賞をゲットしたもよう!
選者に日比野克彦氏の名が見えたのでどのような作品が選ばれるのか楽しみでした。大賞、ぶんぶん賞はとてもかわいい感じのラベルに決定、年内に発売を予定しているようなので、はちみつ麦酒、是非飲んでみたいものです。

天皇御在位20年記念東京国立博物館無料入館

2009-11-12 20:35:07 | 博物館、美術館行ってきました
朝から大変な人出、9時50分に並び始めて平成館の特別展示室に入れたのは11時15分何と75分待ち、持ってきたフェルメールの本が一冊読めてしまいました。
Ⅱ期では、御物、および正倉院や三の丸尚蔵館など宮内庁が所蔵するの皇室ゆかりの名宝の中から考古遺物、書、絵巻、刀などを紹介します。なかなか見る機会のなかった正倉院宝物に出会えたり、書道のお手本として見た事のある粘葉本和漢朗詠集の本物や、小野道風、藤原佐理の書、御宸翰を見ることができました。佐理はのびのびとした筆致で個性的です。今回の手紙は矢を期日内に調達できなかったお詫びでしたが、以前見た書も「参内すべきを怠ったお詫びに依頼されていた書を書きます。」のような旨だったような・・・佐理さま公務は大丈夫だったのでしょうか?

仏女と歴女と美男・美女?

2009-11-11 08:01:58 | 日記
ヒノキでお地蔵さまを彫ってみました。目の詰まったよい木で、彫っているときにとても良い香りがしました。そう、ヒノキ風呂のにおいです。
木を彫っていると無心になれて時間を忘れます。気持ちが落ち着いて楽しく時間が過ぎてゆき、あっこんな時間!と暗くなっているのにあわてるほどです。
仏女が増えて、仏像を彫るのもブームだそうです。彫る順序、お顔の配置など、決まりごとが多くて本格的に菩薩像など彫るのは大変ですが、まずは、板彫りや地蔵菩薩などから始めたいと思います。
歴史も好きなので、歴女の気持ちもわかります。美術館や博物館の好きな方は、美博の好きな美男・美女というのでしょうか?博物館には仏女も歴女も美男・美女も大勢いらっしゃるようです。
東京国立博物館12日は無料入館日です。

YAは感動です。おすすめ!

2009-11-10 08:34:46 | ブックレビュー
ヤングアダルトYAというジャンルはお好きでしょうか?
青少年向きというのでしょうか大人になる過程の成長物語などを指すようです。
地味ですが、良書が沢山出て充実しています。
息子の場合、小さいときは、かいけつゾロリにはまり、少し大きくなってずっこけ3人組シリーズ、ハリーポッターも含めて今はYAに移行中。薦められたのは「まいなす」太田 忠司著。 どきどきわくわく笑いもあって読後感爽やかです。この分野、あさのあつこが歴史物も手がけるように、なかなか力量のある作家が多くて読むとはまることうけあいです。かつて少年少女だった誰もがあの頃に戻れ、自分って何かを見直せる良い機会になります。むしろ、大人にこそ読んで欲しいジャンルとも言えます。
ハリウッド映画にはファミリー向けにも恋愛や暴力の描写があり、気が休まらないのに対し、宮崎駿のアニメや柴又の寅さんはカップルでも安心して見ていられる!?ように、ベストセラー小説にありがちな社会の暗部をえぐる描写や、悲惨な恋愛から距離をおいて、健全で前向きな気分で明日を迎えたい大人のために、YAは癒しと活力の源となるでしょう!おすすめです。

「告白」フィクションの醍醐味満喫!

2009-11-09 21:19:14 | ブックレビュー
全国本屋大賞受賞作面白いから読んで!と薦められて読んでみました。
「告白」湊かなえ著はじめは小説のかたちを借りて、現代社会の不条理や、生きることの意味を問うシリアスものかと思いました。白石一文みたいな息詰まるものを想像しました。一つの事件がおこり無罪放免と思われた犯人を追いつめ、「藪の中」のように関係者の一人語りが始まり事件の真相がいろんな人の思いを通して見えてきます。それぞれに言い分があり感情移入した読み手を悩ませます。物語は事件後もいつしか不穏な空気をはらんだまま進行しノンフィクションを読むような緊迫感を漂わせて、最後は東野圭吾ばりの落とし所に唖然、読む楽しみに答えたプロの技!悩ませたまま終わらせないので、読後感壮快な一作です。

新美術館の開館相次ぐ!山種美術館「速水御舟」展開催

2009-11-05 00:07:25 | 博物館、美術館行ってきました
山種美術館は1966年に日本橋兜町に開館した日本初の日本画専門の美術館です。春の桜が美しい千鳥ケ淵に移転後このたび広尾に新美術館を建て移転しました。ロビー入口正面には、加山又造の陶板壁画千羽鶴が常設され、金彩の鶴の群れがシックな華やぎを添えています。
山種美術館は明治から現在までの日本画を中心に1800点余りを収蔵し、とりわけ旧安宅コレクション速水御舟作品を加えて、御舟のコレクションが充実しています。
日本画は展示期間が限られるので今回の展示は、重要文化財の炎舞、名樹散椿、が一度に見られ、御舟の短いながら充実した業績を一望できるまたとない機会です。
樹下にうずくまる黒猫が印象的な名樹散椿は、構想の過程がたどれる下絵の展示もあり、興味深く観賞しました。
炎舞の前にたたずむと、闇に舞う炎の先が右肩上がりの薄い煙となって背景に溶け込み、縦に長い作品の形状も相まって卒塔婆に書かれたサンスクリット文字にも見えてきて、厳粛な世界を感じました。
日本画の美術館のためか山種美術館は着物をお召しになった方に沢山お会いする独特の雰囲気がありますが、この日も多くの御舟ファンが華やいだ着物姿で熱気を醸していました。
一階のカフェでは、繊細な細工を施した練り切りの和菓子も用意されており、根津美術館から歩いて来れる地の利もあって、新しいアートコースになりそうです。

ちょっとお得な割引券
ここをクリックして印刷すると入場が百円引きになる割引券になります。

平櫛田中107歳の軌跡

2009-11-04 08:29:55 | 博物館、美術館行ってきました
小平市に平櫛田中彫刻美術館があります。平櫛田中は、私が木彫を教わっている石黒先生が芸大生だった時に御指導されていた方でもあり、傾倒し興味を抱いている作家の一人です。今年は開館25年・没後30年にあたり、11月29日まで平櫛田中 次世代に遺した珠玉の彫刻と題した特別展が開催されています。出光美術館のUtopia展に収蔵品の帳果像が出ていなかったので、もしやと思っていたところ1室で早々に御目にかかることができました。瓢箪からロバを出してそれに乗ったという仙人に由来し、仙人の手から下がる瓢箪の先から小さなロバの頭がにゅうっと出てくる場面をリアルに彫刻し彩色を施したちょっとシュールでユーモラスな作品です。
私がはじめて平櫛田中の彩色した木彫と出会ったのは、国立劇場の鏡獅子です。東山魁夷をはじめ、有名な作品が展覧会のようにロビーを飾る中でも高い精神性を感じ迫力ある姿に見いった覚えがありました。
業績を回顧する今回の展示では初期の作品である幼児狗張子などからすでに神業的な彫の技術と対象に迫る描写の確かさを見せつけられ感嘆するばかりでしたが、仏教説話や中国の故事などを題材にした作風を経て、モデルを使った塑像、昭和に入っての彩色と変遷し、絶えず「伝統」と「近代」のはざまで表現の可能性を追求し続けた足跡がうかがえました。
学芸員さんによると、初期を除いて彫りを手伝う弟子をおき、多い時には3、4人もの人がアトリエで働いて、工房のようだったそうです。また、工法は最初に正確な塑像を作り、石膏で型を取り、彫の深さを棒で測りながら正確に木に模写するような手間のかかる職人仕事で、今のように作家が木に直接形を描いて彫り進めるのではなかったようです。その仕事は荒彫りのまま完成とした活人箭の表面に残る沢山の穴に見ることができます。
茶室の傍らに置かれた巨大な楠はこれから彫ろうと田中が百歳の時に入手した原木と伺い、高齢者社会何するものぞと勇気がわきました。

出光美術館「Utopia描かれし夢と楽園」にびっくり

2009-11-03 14:58:16 | 博物館、美術館行ってきました
出光美術館Utopia描かれし夢と楽園と題して、夢物語や幻想、福寿を司るおめでたい仙人の世界、果ては美人や夢のように描かれた理想の風景が広がる楽しい展示をしています。これらがほとんど収蔵品のみで雄弁に物語られることに驚きと企画の力量を感じます。ここで桃山時代の吉野龍田図屏風にまたも遭遇してびっくり。そうです、根津美術館にあった江戸時代のものと大きさも色合いも構図の取り方もとてもよく似ているのです。この作品が根津に遅れて開催する31日からの展示に、まるでここにもありますよとばかりに置かれていて、観客の興味を見越して根津美術館の作品の写真と並べて、比較しながら解説されていました。痒い所に手が届くような心にくい気配りです。より新しい江戸時代の屏風は様式化が進み、もみじの幹は桜と同様に大きくよじれ、これから紅葉を迎える明るい色の葉は、色が抜けて純白に変容し、赤いもみじを引き立てる影のよう、枝には華やかな和歌の短冊が楽しげにゆれています。一方出光の屏風は、様式の原点に近く、より自然で生命感に満ちているように思いました。さらに次室には根津の粉彩百鹿尊壺と同じものがありますよとばかりに中国・清「大清乾隆年製」銘の紛彩百鹿文双耳扁壺がさりげなく置かれ、目を引きました。
今回テーマである楽園をイメージしながら観覧したことによって見え方が違った、心の琴線にふれたと感じ大きな収穫だったのは、四季花鳥図屏風でした。山本梅逸による透明感のある薄彩色の風景画には鳥のさえずり、水辺で水の跳ねる音、しぶき、ユリの花の香りが漂い、草木が風にさわさわと揺れ鶴が長い脚で近づいてくる動きまでもがリアルに感じられ、楽園のただ中に立ち入ったような幻惑を覚えました。これはもう本当にびっくり体験、イメージしながら見る楽しさを知りました。

続「新・根津美術館探訪」国宝那智瀧図と自然の造形

2009-11-02 11:45:06 | 博物館、美術館行ってきました
根津美術館は現代的な建築と広大な日本庭園との融和をコンセプトの一つにしています。新創記念特別展 第1部は国宝那智瀧図と自然の造形と題して自然をモチーフにした日本や東洋の様々な名品を展示しています。約7000件もあるという収蔵品は絵画、書蹟、彫刻、陶磁、漆工、染織、考古など多岐にわたり、その中には国宝7件、重要文化財87件、重要美術品96件を含むといい、コレクションの充実ぶりに驚きます。
今回特に感心したのは、企画展の物語としての楽しさ以上に、展示された品々を心地よく楽しめる展示空間の演出にありました。たとえば、陶磁器等の小さいものを観賞するところでは、戸栗美術館のように展示ケースの手前に木製の肘が載せられる台があり、しかも距離が近く角度も程よく、まるで茶室で手にとってお道具の拝見をしているような心地よい満足感に浸ることができました。2階6室の茶室ケースも本来四畳半のところを一畳半削って、お道具や床の間が間近に良く見える配慮がなされていて親切でした。全体に落ち着いた自然光のように感じられるのも、様々に工夫された最新の照明設備のたまものなのだそうです。
広い展示室1で、江戸時代に描かれた吉野龍田図屏風の艶やかさに胸打たれ、展示室5では二つ並んだ景徳鎮の粉彩百鹿尊壺に、沢山の鹿たちが群れ遊ぶ幸せに満ち足りた情景を見て印象に残りました。これらはのちに別の美術館でのサプライズにつながることになります。

新・根津美術館探訪

2009-11-01 22:29:39 | 博物館、美術館行ってきました
3年半をかけた大規模な建て替えを経て、隈研吾氏の設計で生まれ変わった話題の美術館に行ってきました。
根津美術館は高級ブティックの並ぶ閑静な立地にあり、竹林の中にたたずむ日本家屋の趣で迎えてくれます。勾配のある大きな屋根は瓦屋根を思わせる落ちついたデザインが美しく、館内は吹き抜けの空間や、階段でつながれたいくつかギャラリーからなり、天井までの広い空間を階段を上りながら床からの高さがさまざまに変化するのを楽しむように回遊していきます。ホールは広い庭園をガラスの壁面で借景のように取り込み大きな石仏の存在感が際立っていました。床や階段も硬質な感じがしますが、そろそろ紅葉が見られる美しい庭園に出ると、4つの茶室が木々の間に見え隠れする小道を散策でき安らげます。
軽い食事もとれるNEZUCAFEは庭園の中にあり、四季の景色を楽しみながらゆったりとできるうえ、展示の妨げにならないのはさすがだと思いました。