西洋美術史の木村泰司先生が、新書を出されました。
興味深いテーマが並んでいてなかなか面白いです。
お正月に、ゆっくり読書を楽しもうと思います。
先生は、神楽坂で月一回古代から現代までの西洋美術史の流れを一年サイクルで講演されています。
「感性で絵を見るのではなく、歴史・政治・社会背景・思想などを理解した上で、理性的に美術を読む」というスタイル。何が面白いかというと、群盲象をなでるようだった断片的な絵の知識が、歴史の中にきちんと位置づけられていく快感でしょう。それと、当時の人にとってその絵の面白さはどこにあったのかが簡潔にわかります。
若いころ、大学の入学式で総長に、「学問は体系的に学ばねばならない!」という
マックスウェーバーの言葉を引用した薫陶を受けました。
全体の体系が見えるまでになるには随分と勉強しなくてはならないなあと緊張したことを思い出します。
美術も、本来体系的にしっかり基礎を学ぶことから始めれば個々の理解もより深まることでしょう。
趣味で美術館に通うことから、断片的な知識は少しずつ増えてきたように思いますが、
欧米(セレブの一族?)の教養として確立した西洋美術史という学問を本場の大学で学ばれたことを、惜しげもなく教えていただける講座はここしかないのではないかと思います。
この講座のエッセンスをまとめたお得な本も出版されています。
百聞は一見に如かずとばかり、解説に必要な図版がふんだんに掲載されています。
私は書店でこの本に巡り合えたことから、講座の受講につながりいい勉強になったと思います。
また、来年も新しい話題を交えて講演される予定です。
木村先生のH.P.
さて、今回は今年最後の講演で前期印象派、後期印象派がテーマでした。
今年はマネ展が三菱一号館美術館で開かれ、ドガ展が話題になり、ゴッホ展、モネ...と
印象派は相変わらず日本人に大人気でありました。
紹介すべき作家もたくさんあり、お話も超高速で進みます。
ドガの綿花取引所の人々(ニューオリンズ)では、現代性を切り取るのがうまい彼のシニカルな視点を、「たくさんの人が視線を合わせず淡々と仕事をこなす様子は、今ならパソコンの並ぶオフィスでただ黙々と仕事をする人たち」と解説され、この絵の何が当時の人に面白いと思わせたがうかがえました。
実は、この日の午前中、私は現代美術館でtransformationとオランダのアート&デザイン新・言語を見て、そのあまりに思い思いの作品群に、文化祭の様な不統一な高揚を感じ当惑していました。
木村先生の後期印象派のゴーギャンの説明の中での一言、「現代美術はパーソナルなものになり、難しくなっていきました。」に大きくうなずいたものです。
1年間のご講義ありがとうございました。
メリークリスマス
興味深いテーマが並んでいてなかなか面白いです。
お正月に、ゆっくり読書を楽しもうと思います。
先生は、神楽坂で月一回古代から現代までの西洋美術史の流れを一年サイクルで講演されています。
「感性で絵を見るのではなく、歴史・政治・社会背景・思想などを理解した上で、理性的に美術を読む」というスタイル。何が面白いかというと、群盲象をなでるようだった断片的な絵の知識が、歴史の中にきちんと位置づけられていく快感でしょう。それと、当時の人にとってその絵の面白さはどこにあったのかが簡潔にわかります。
若いころ、大学の入学式で総長に、「学問は体系的に学ばねばならない!」という
マックスウェーバーの言葉を引用した薫陶を受けました。
全体の体系が見えるまでになるには随分と勉強しなくてはならないなあと緊張したことを思い出します。
美術も、本来体系的にしっかり基礎を学ぶことから始めれば個々の理解もより深まることでしょう。
趣味で美術館に通うことから、断片的な知識は少しずつ増えてきたように思いますが、
欧米(セレブの一族?)の教養として確立した西洋美術史という学問を本場の大学で学ばれたことを、惜しげもなく教えていただける講座はここしかないのではないかと思います。
この講座のエッセンスをまとめたお得な本も出版されています。
百聞は一見に如かずとばかり、解説に必要な図版がふんだんに掲載されています。
私は書店でこの本に巡り合えたことから、講座の受講につながりいい勉強になったと思います。
また、来年も新しい話題を交えて講演される予定です。
木村先生のH.P.
さて、今回は今年最後の講演で前期印象派、後期印象派がテーマでした。
今年はマネ展が三菱一号館美術館で開かれ、ドガ展が話題になり、ゴッホ展、モネ...と
印象派は相変わらず日本人に大人気でありました。
紹介すべき作家もたくさんあり、お話も超高速で進みます。
ドガの綿花取引所の人々(ニューオリンズ)では、現代性を切り取るのがうまい彼のシニカルな視点を、「たくさんの人が視線を合わせず淡々と仕事をこなす様子は、今ならパソコンの並ぶオフィスでただ黙々と仕事をする人たち」と解説され、この絵の何が当時の人に面白いと思わせたがうかがえました。
実は、この日の午前中、私は現代美術館でtransformationとオランダのアート&デザイン新・言語を見て、そのあまりに思い思いの作品群に、文化祭の様な不統一な高揚を感じ当惑していました。
木村先生の後期印象派のゴーギャンの説明の中での一言、「現代美術はパーソナルなものになり、難しくなっていきました。」に大きくうなずいたものです。
1年間のご講義ありがとうございました。
メリークリスマス