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超傑作テレビドラマ「お荷物小荷物」鑑賞

2006-09-19 21:59:14 | Weblog
伝説のテレビドラマ、「お荷物小荷物」(脚本・佐々木守)見てきました。
はるばる横浜放送ライブラリー(みなとみらい線 日本大通り駅真上)に出かけて、見てきました。
そこでは、歴史上有意義と思われるテレビ番組が保存され、申し込めば無料で閲覧できるのです。
検索すると出てきたのは「お荷物小荷物」第18話、サブタイトル「18・19・最終回」である。これは、急に打ち切りになったので、3話分をまとめて一回で放送してしまった、ということだろう。このサブタイトルは佐々木守が、打ち切りを表現するための強烈な手段であったのだろう。
そして、ドラマが始まると突然、田村正和出演のテレビドラマ「冬の雲」予告が放送される。なんと、放映時間の最後まで「お荷物小荷物」最終回を放送するため次週新番組の予告編を先に放送してしまったのだ。
 そして、スタッフキャストを紹介するタイトルが始まる。
 ストーリーはけたたましく進行する。3話分の話を詰め込んであるから。
それは、祖父、親、兄弟(男5人)の3世代、計7人の男が中山千夏扮するお手伝い菊を奪い合う話なのであるが、菊は祖父(志村喬)と結婚することになる、というのが17話までのお話であるらしい。(映像がないので確認できないが)
おそらくは、元々は、こんな構成だったと思われる。

18話
 菊を奪った祖父に対して、菊奪還のため5兄弟が木刀の試合で挑戦する
 →その他、いろいろ悪どい手段を使うも、兄弟全員歯が立たず

19話
 5兄弟はそれでは収まらず、祖父と菊との肉体関係の完遂を要求。そうでもないと菊をあきらめきれない。
 祖父(志村喬)は意を決して、菊と布団に入ろうとするが・・・布団の中には菊の姉・洋子が生んだ子供がいた。
 そしてついに菊の滝沢家潜入の真相をあかし、この子供を滝沢の跡取りにせよとせまる。
 菊もカラテで祖父と勝負するが、破れてしまう。

最終話
 失意の菊に、孝太郎と偽装妊娠騒ぎを起こしたお手伝いさん仲間、神を裏切ったシスターの女3人で巡礼の旅に出る。
 出発点は、このドラマを制作している「朝日放送」正面玄関。

  ここで、最終話の部分が想定外の展開を見せる。
  残り時間少ない中で、最終回を今から放送しよう、ということで、再び、スタッフキャストを紹介する「最終回」のタイトルが始まる。そして・・・

  突然のニュースで、「憲法第9条が削除されました。自衛隊は軍隊になりました。20歳から35歳までの男性は徴兵されます」と。
  劇中のテレビには中山千夏が中山千夏として登場、
  「国会で大乱闘の末、憲法第9条が削除されました。いつもいっしょに番組をやっている国会議員(もちろん青島幸夫のこと)は国会の乱闘で生死が分かりません」(いまもそうだ)
  5兄弟はいきなり出征する。
  日本は周辺の仮想敵国群との戦闘状態に入る。
  劇中のテレビには今度はもんぺに防空ずきんの中山千夏が登場する。
  「メーキャップとパーマは日本タレント協会により自粛されています」
  そして各地での戦況を報告する。

  5兄弟は、海で、陸で、空で、戦死する。
   (もちろんチンケなテレビのセットのなかでの撮影)
  そして、滝沢運送店の撮影セットの屋台崩し。最後に祖父の部屋の日の丸が残る。5兄弟は、幽霊になっても、菊に誰が一番好きかと迫る。菊、えんえん引っ張る。それは、空っぽになったスタジオに出演者全員集合のエピローグまで持ち越される。
  菊はテレビカメラを指さし、
  「一番好きなのは、このドラマを見てくれたあなた、視聴者のみなさん」
  5兄弟は釈然としないながらも、お荷物小荷物は続編で復活することを約束し、本当に終了。

 (続編は、アイヌの中山千夏が、殺された熊の復讐のため、ある家にお手伝いさんとして潜入する話として放送されている。)


 佐々木守の、軍事・家父長制・男尊女卑批判が、最終話で炸裂、とても放送で再び流せない内容となっている。批判としては今や直球の部類になる作劇だが、ほんとにやりたい放題。
 また、いまのテレビドラマと違い、当時の事情(カラーカメラの性能、電波状況、カラーテレビの性能、)を考慮したフラットな照明、バラエティショーのような雰囲気が今見るととっても変。
 (一緒に鑑賞した者が、「憲法第9条削除」の下りで笑いすぎて横浜放送ライブラリーの係員に静かにしろと注意された)

 ともかく、伝説のテレビドラマをようやく、1エピソードだけではあるが、見ることができて、喉に刺さった小骨が抜けた気分なのである。
 アーカイブの意義を思い知らされたのである。


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参考URL
「昭和映像劇場」
http://www.hi-net.zaq.ne.jp/bucdo107/onimotu.htm

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1 コメント

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お邪魔します。 (壇 俊介)
2011-09-30 16:45:21
このドラマのフィルムが唯一保存している場所が神奈川県横浜市にある放送ライブラリーだったのですね。

てっきり制作局の朝日放送かと思いましたよ。当時は放送用ビデオテープを使用していた為、重ね録りが当たり前(保存が難しいため)。放送ライブラリーに来た時は拝見しますよ。

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