タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

産後に多い熱のパターンは弛張熱です

2016-02-22 21:23:39 | 産科
篠山市東吹の希歩(のあ)くん、1月6日生まれ。
「自分の望む道をどんなことが有っても、自分で歩いていけますように。
お産は2人目なので早かったです。
入院中は過ごしやすかったです。リフレクソロジーにも本当に癒されました。」

とっても元気に産めましたね。
ノアという名は聖書に出てきますから、国際人になれますね。

最近はいろんな感染症が話題になって、外国に行くのも気を使いますね。
もしくは日本に居ても、心配されているかもしれません。
一昨年に流行した病気で、エボラ出血熱という病気が有りましたね。
この時も注意喚起をしましたが、実はもっとコワイのはありふれたマラリアだと言いますよ。
西アフリカから帰国して体調不良を訴えた人の実に40%は、このマラリアです。
しかも致死率は高いですからね。
粟粒結核なんかも、致死率が高くて、しかも多い病気です。
エボラのような、むしろ稀な病気にばかり気をとられていてはいけませんね。

ところで、興味深いのは、このマラリアの熱の出方は、間欠熱や周期熱という形をとります。
熱が上がったり下がったりの繰り返しなのです。
それが数日間隔や、あるいは不規則に上がり下がりを繰り返すのですよ。

ですが、これは産婦人科のブログですから、
産婦人科でよく経験する発熱のパターンと言えば、乳腺炎でしょうか。
あるいは産後の子宮内膜炎がまれに有るくらいかもしれません。
インフルエンザなんかは、産婦人科の病気では有りませんからね。

この乳腺炎の熱の出方は、すごく分かりやすいのです。
夜になると39度ほどの高熱が出るのに、朝になるとすっかり下がるのですよ。
でもまた夜になると39度まで上がります。
だから夜にクリニックを受診される褥婦さんが多いのもうなづけますね。
夜の外来が終わった後なんかにね。

抗生物質を処方すると、たいてい2日ほどで解熱されます。
朝になって36度台中ほどになっていれば、その夜はもうあまり発熱しません。
ですが、朝に36度かそれ以下にまで熱が下がるようなら、その夜もまた出るかもしれませんね。
だからそんな時は、まだお乳をあげるのには早いと思いますよ。
と、熱の出方で予後まで分かるのですね。
この乳腺炎のように、1日のうちで上がり下がりを繰り返すのを、弛張熱(しちょうねつ)と呼びます。
これは産婦人科に特異的なので、覚えておいてくださいね。

ちなみに先の粟粒結核などは、熱が上がったっきり下がってきません。
こんな熱型は、稽留熱(けいりゅうねつ)と呼ぶのですよ。
産婦人科では、よく稽留流産(けいりゅうりゅうざん)という病名も使います。
まだ流れてきていない流産のことです。
ですがこの漢字の稽留(けいりゅう)って、検索しても出てきませんね。
私たちは、普通に使うのですけれどね。

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