先日中野で出かけた折に入手した古本です。
実は中野には鉄道書籍を扱う準専門店みたいなのがあるにはあるのですが、今回はそう言うのとは関係ない古本屋で発掘できました。
こういうタイプの本が普通の古本屋にあるというのは私の現住地とか故郷とかではまず見られないケースなのですが、田舎に対する都会の古本屋の層の厚さと言う奴を実感させられる実例と言えます。
物はTMSの別冊シリーズ「模型車両デザインブック」
一言で言うと「自由形車両のデザイン作例集」といった内容でTMSとしては珍しく模型や実車の写真はあまり登場せず、大半が読者のデザインした自由形車両の図面と解説で占められています。
これが上梓されたのは昭和30年代前半頃(再販時で昭和38年なので)と思われますが、あの当時は実物準拠の車両のモデル化と同じくらいにオリジナルの自由形モデルの制作やデザインが盛んだった事が伺われます。
(模型車両デザインブック59Pより画像引用)
何しろ特定の課題を決めて車両のデザインを募集する「デザインコンクール」が毎年開かれていたそうで、本書でも第一回から第四回までの入賞作品の発表と講評が掲載されています。
自由形と言ってもきちんと三面図を起こした本格的なものですし規定上、模型化を前提にした設計も考慮されていますから数値を弄ればNサイズでもスクラッチは可能でしょう。
(模型車両デザインブック31Pより画像引用)
テーマが「長距離急行用電車」とか「テンダー機関車」とか具体的な条件が設定されたもののせいか、掲載されている作品はどれもこれもが当時の最新型みたいなのを想定したデザイン(あの時期はまだぎりぎりで「新型の蒸気機関車が作れるかもしれない」という期待が持てた時期ではないかと思われますし)。
作品に対する講評もやや辛辣な部分も散見するもののかなり具体的かつ的確なものでした。
最近では自由形と言うのは一部のスクラッチを除けば鉄道車両趣味の中ではすっかり傍流扱いになりましたし、特に完成品のコレクション層が増えている現状では尚更肩身が狭い感もあります。
それどころか自由形そのものを内心でスケールモデルより一段低く見る様な向きもある様ですし、実際、一部のお遊び的なモデルだけを取って自由形と勘違いしている人も多い様です。
ですが、本書を読んで感じた事ですが、作者の知識と感性がフルに発揮されるという点で自由形のデザインと言うのは模型趣味の中でも相当に高度な愉しみ方である事を改めて思います。
何しろ作者がゼロから設計しているだけにスケールモデルにありがちな「実車はここがこうなっているから、モケイもそうでなければいけない」と言う逃げが打てませんから、いい加減なデザインができる筈がない訳で気合も入るというものです。
それだけに投稿者の気合いの入り方がまるで違うのが感じられ読んでいる方も熱くなってきます(笑)し、それでいて何も彼もが実物準拠のモデルばかりで占められている最近の専門誌にはない独特の解放感を感じるのも確かです。
実は中野には鉄道書籍を扱う準専門店みたいなのがあるにはあるのですが、今回はそう言うのとは関係ない古本屋で発掘できました。
こういうタイプの本が普通の古本屋にあるというのは私の現住地とか故郷とかではまず見られないケースなのですが、田舎に対する都会の古本屋の層の厚さと言う奴を実感させられる実例と言えます。
物はTMSの別冊シリーズ「模型車両デザインブック」
一言で言うと「自由形車両のデザイン作例集」といった内容でTMSとしては珍しく模型や実車の写真はあまり登場せず、大半が読者のデザインした自由形車両の図面と解説で占められています。
これが上梓されたのは昭和30年代前半頃(再販時で昭和38年なので)と思われますが、あの当時は実物準拠の車両のモデル化と同じくらいにオリジナルの自由形モデルの制作やデザインが盛んだった事が伺われます。
(模型車両デザインブック59Pより画像引用)
何しろ特定の課題を決めて車両のデザインを募集する「デザインコンクール」が毎年開かれていたそうで、本書でも第一回から第四回までの入賞作品の発表と講評が掲載されています。
自由形と言ってもきちんと三面図を起こした本格的なものですし規定上、模型化を前提にした設計も考慮されていますから数値を弄ればNサイズでもスクラッチは可能でしょう。
(模型車両デザインブック31Pより画像引用)
テーマが「長距離急行用電車」とか「テンダー機関車」とか具体的な条件が設定されたもののせいか、掲載されている作品はどれもこれもが当時の最新型みたいなのを想定したデザイン(あの時期はまだぎりぎりで「新型の蒸気機関車が作れるかもしれない」という期待が持てた時期ではないかと思われますし)。
作品に対する講評もやや辛辣な部分も散見するもののかなり具体的かつ的確なものでした。
最近では自由形と言うのは一部のスクラッチを除けば鉄道車両趣味の中ではすっかり傍流扱いになりましたし、特に完成品のコレクション層が増えている現状では尚更肩身が狭い感もあります。
それどころか自由形そのものを内心でスケールモデルより一段低く見る様な向きもある様ですし、実際、一部のお遊び的なモデルだけを取って自由形と勘違いしている人も多い様です。
ですが、本書を読んで感じた事ですが、作者の知識と感性がフルに発揮されるという点で自由形のデザインと言うのは模型趣味の中でも相当に高度な愉しみ方である事を改めて思います。
何しろ作者がゼロから設計しているだけにスケールモデルにありがちな「実車はここがこうなっているから、モケイもそうでなければいけない」と言う逃げが打てませんから、いい加減なデザインができる筈がない訳で気合も入るというものです。
それだけに投稿者の気合いの入り方がまるで違うのが感じられ読んでいる方も熱くなってきます(笑)し、それでいて何も彼もが実物準拠のモデルばかりで占められている最近の専門誌にはない独特の解放感を感じるのも確かです。