Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

アメリカン・ハッスル

2014-03-21 | 映画(あ行)

■「アメリカン・ハッスル/American Hustle」(2013年・アメリカ)

●2013年ゴールデングローブ賞 作品賞・女優賞・助演女優賞(ミュージカル/コメディ部門)
●2013年NY批評家協会賞 作品賞・助演女優賞・脚本賞 

監督=デビッド・O・ラッセル
主演=クリスチャン・ベイル エイミー・アダムス ブラッドリー・クーパー ジェレミー・レナー ジェニファー・ローレンス

 いきなりだけど、愚痴らせてもらうよ。わが生息地である北九州市の映画事情は決してよくない。市内4カ所にはシネコン4つ、単館2スクリーンと銀幕数だけ見ると決して悪くないのだが問題はそこにかかる映画のセレクトだ。どこもほぼ同じ。シネコンは、アニメが多いところ、ミニシアター系がやや多い(経営母体が変わってからますます減少)、万人受けするとこと、ときどき驚くようなのをやってくれるところ。カラーはある、といえばあるのだが、結局大部分はほぼ同じ。タウン誌の映画紹介のコーナーは、市内によっぽどネタがないのか、近隣の中間市のシネコン(単館系と大手のバランスが絶妙)と福岡市の単館系を主に紹介している始末。だから1館だけ上映している映画があると、無駄に期待が高まってしまう。この「アメリカン・ハッスル」は、アカデミー賞10部門ノミネートとか謳っているくせに1館のみの上映。しかも発表翌週には終了しちゃうという。思えば昨年の「アルゴ」もそうだっただけに、観ておくべきか。しかし一抹の不安は、ラッセル監督の前作「世界にひとつのプレイブック」がどうも好きになれなかったことだ。それでも、このキャストなら観てもいいか、と考えて劇場へ。前置きが長くてすんまそん。

 長尺だが、確かに楽しい2時間18分だった。何より主演者がみんな魅力的。そのアンサンブルが何よりも面白い。体重を20キロ増やしてハゲでデブの詐欺師を、二枚目クリスチャン・ベイルが演じていること。ブラッドリー・クーパーのクレイジーな暴走振り、実はちょっとお気に入りのエイミー・アダムスは胸元チラつかせて(字幕が読みにくくて仕方ない・笑)、ジェニファー・ローレンスの軽いけどかわいい女を楽しく演じている。ジェレミー・レナーも誠実そうなイメージだけに政治家役はなかなかだ。ノークレジットで登場するロバート・デ・ニーロは、座ってるだけで凄みを感じてしまう。70年代の空気感を演出すべく散りばめられた音楽も、ビージーズにアメリカ、ドナ・サマーにELOと素敵な使われ方をしている。特にジェニファー・ローレンスがポール・マッカートニー&ウィングスの「死ぬのは奴らだ」に合わせて感情を高ぶらせる場面は最高。「プレイブック」では使われ方が気にくわなかった僕は「スティービー・ワンダーに謝れ!」と心の中で叫んだ(笑)。今回の使われ方はなかなか魅力的だ。

 ディティールや特定の場面を語ると、素敵な瞬間はいくつもあるのだが、残念ながら映画全体で観るとどうもすっきりしない。サスペンスはサスペンスなんだけど、ハードでもなく。コメディといえばコメディなんだけど、スッキリと笑わせてくれるでもなく。そのどっちつかずな雰囲気に楽しみ方を最後まで迷ってしまった気がする。それにジェレミー・レナー市長は、そもそもは市のためを思っての仕事だったはずなのに、利用されたような印象でなんとも可哀想。詐欺師の映画って、やっぱり「スティング」を超えられないんだよな。あの痛快さを味合わせてくれる映画はなかなかないもんだ。




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