Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファン、アナキン・tak・スカイウォーカーが、日々気になる音楽・映画・家族の出来事を記す雑記帳

ティファニーで朝食を

2013-10-05 | 映画(た行)

■「ティファニーで朝食を/Breakfast At Tiffany's」(1961年・アメリカ)

●1961年アカデミー賞 劇・喜劇映画音楽賞・歌曲賞

監督=ブレイク・エドワーズ
主演=オードリー・ヘップバーン ジョージ・ペパード パトリシア・ニール

 映画雑誌「ロードショー」を買い始めた中学3年から僕の映画ファンとしての歴史は始まる。本格的に「趣味は映画です」と公言するようになるのはこの頃からだ。その年、同じクラスで生徒会長だったW君と映画を通じて仲良しになる。ロードショーの付録や記事で過去の名作に興味が高まった僕らは”何でも観てやろう!”と意欲満々だった。大分市の映画館シネマ5で「ローマの休日」と「ロミオとジュリエット」2本立てを500円でやっていると知り、僕ら二人は早速出かけた(男二人で観る映画とは思えない)。今思えばあの頃は名作映画に触れる機会が多くってよい時代だった。「世界名画劇場」やら往年の映画をあれこれ観てたから、親父くらいの年齢の人とでも、映画を切り口にすれば会話に困らないくらいになっちまった。オードリー・ヘップバーン主演作は幸いなことにクラシック専門館やリバイバル上映でスクリーンで観る機会が多かった。

 オードリー主演作の中で特に好きな映画である「ティファニーで朝食を」。自由奔放で、偏ったバイタリティの塊のようなヒロイン、ホリー・ゴライトリー。同じアパートに暮らす新進作家ポールには心を許し、時折弱い部分を見せることもある。ポールは彼女に振り回され続けるが、手がかかる彼女を次第に愛するようになっていく。「恋人たちの予感」を筆頭に、僕が”お友達から発展する恋愛映画”が好きなのは、これがきっかけなのかもしれない。その後、カポーティの原作を英文で読むことにもチャレンジしたこともある(半分過ぎで挫折したけど)。オードリーの魅力はもちろんだが、物語に惹かれたのも大きかったかな。

 「スクリーン・ビューティーズ」と題された特集上映で、デジタルリマスター版が劇場で観られる!と聞き、初日に勇んで行ってきた。だって、オードリー主演作でいちばん好きなのに、テレビ放送版しか知らないからだ。デジタルリマスターの映像の美しさとヘンリー・マンシーニの音楽にうっとりする2時間。この映画はなんと言っても主題歌ムーンリバーが有名なのだが、場面ごとにアレンジが異なるムーンリバーが散りばめられているのが素敵。場面ごとに雰囲気を盛り上げてくれる。あぁ、こういうのが映画音楽だよな。ミッキー・ルーニー演ずる日系人ユニオシ氏登場シーンは、テレビ用の編集ではことごとくカットされてたのがよくわかった。やっぱりこれ、日本人には残念な描写。10代で観たときにピンとこなかったのは、ジョージ・ペパードとパトリシア・ニールの関係。年上の恋人?と子供心に思っていたが、別れを言い出した後で小切手を切ろうとする彼女やクローゼットにずらりと並ぶスーツ、不思議な室内装飾を見ると、いかにポールが彼女に依存した生活だったのかがよーくわかる。それだけにトイレに立つだけで50ドルなんて生活を送るホリーとの対比が見事。「女からお金もらうの得意でしょ」と酔ったホリーに言われる場面の切なさ、ふがいなさ。

 この映画はホリー・ゴライトリーを受け入れられるかどうかで、好き嫌いが分かれる映画なのかもしれない。改めて観てそう思った。さんざん振り回されたポールだが、彼女の無鉄砲さに"自分がいないと心配だ"と言うまでに気持ちが高まっていく。一方で、映画の最後まで彼女のキャラクターを許せないと思う方もきっと多いに違いない。身勝手で、人の気も知らないでズケズケものを言う娘ではあるけれど、僕は自分のスタイルや主張のあるホリーのような女のコをかっこいいと思えた。現実世界でもし僕のそばにいたら、きっとワクワクすることを一緒に楽しんでくれる存在であるに違いない。

 しかし自由奔放であるがゆえに、孤独を抱えているのもホリー。束縛を嫌う彼女が拾ってきた猫に名前をつけないのは、名付けすることで"所有"する気持が生ずるのが嫌だからだろう。そして映画のラスト。ホリー(と彼女の分身である猫)は雨の中でポールの愛情を受け入れる・・・。多くのフォロアーに真似された"雨の中で抱き合う男女"という構図。でも、あれで終わるからこの映画は恋愛映画として成立している。このラストシーンの後、自由奔放なホリーはやっぱり生き方を変えられずにどこかへ旅だってしまうかもしれない(行った先では別な名前を名乗るのかもしれないが)。そこが語られたらきっとこの映画を支持する人はグッと減ってしまうに違いない。お転婆娘が、愛情という窮屈さ(しかしそれは幸せでもある)を受け入れたと暗示するラストシーンだからこそ、ハリウッドらしい"ヒロインの成長物語"という結末にもっていけた。いずれにせよ、お洒落なスタイルと音楽、オードリーの魅力、そしてハリウッドらしいエンディングで原作を上書きしたことで永遠となった素敵な映画。映画の神様、これをスクリーンで観られたことに感謝します!

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2 コメント

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ついにオードリー登場 (ポップンポール)
2013-10-06 23:50:27
どうも。自由奔放に生きる孤独なポールです。

オードリー映画のレビューがブログに登場しましたね。

デジタルリマスターだと音も良かったんじゃないですか。
映画館で聴くムーンリバーは、自宅のビデオとはまた違った良さがあるでしょうね。

この時代の映画って偏見も多いし人間描写も現代ほど複雑じゃないけど、でもそんなとこが逆に登場人物の人間臭さとか、物語が盛り上がる要素になってるような気がします。最近はとくに。
ポップンポールさんへ (tak)
2013-10-07 08:17:36
オードリー主演作、お待たせしました。今回のリバイバル「スクリーンビューティズ」は嬉しいです。しかも第2弾がカトリーヌ・ドヌーブだなんて。今観るからわかることを発見すると、ますます旧作を観ることに傾きそう。
オードリー主演作で未見は、「尼僧物語」「許されざる者」「パリで一緒に」くらいになってきました。テレビ用に製作されて日本未公開だった「マイヤーリンク」(うたかたの恋)の劇場公開もあるみたいだし、そっちも楽しみ。

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