- 80's Movie Hits! - 目次はこちら
■「フットルース/Footloose」(1984年・米)
監督=ハーバート・ロス
主演=ケビン・ベーコン ロリー・シンガー ジョン・リスゴウ
高校3年生の夏だったか、毎週見ていた「ベストヒットU.S.A.」で映画の主題歌が1位を獲得した。映画の場面ということで流れたのは、ツンツンした頭の兄ちゃんが暗闇の中で踊っている映像。それがFootlooseだった。やたらニヤけたひげ面のおっさんが歌うこの曲、そしてそれに続くシングル曲が次々とチャートの上位に食い込んでくる大ヒット。この映画サントラが、その後の80年代のサウンドトラック盤が、ポップス/ロックのコンピレーションとなるきっかけをつくったのだ。
この映画の音楽には、もうひとつ特筆すべきことがある。それは脚本にも携わっているディーン・ピッチフォードが作詞を担当したことだ。そのためストーリーにビシッ!と合った内容になっている。単なるコンピではない。これは新時代のミュ-ジカルだったのだ。現在、「フットルース」は舞台でも演じられるている。ハーバート・ロス監督は2001年に亡くなったけれど、草葉の陰で喜んでくれていることだろう。
現在も個性派として活躍するケビン・ベーコンが主人公を演じ、相手役にはロリー・シンガー。ロックを聴くことが禁止された保守的な田舎町で、ロックをガンガン流すダンス・パーティを開こうとする主人公。ところがヒロインの父ちゃん(これがジョン・リスゴウという配役。こわ~)が保守派の代表市民。若者が大人達から自由を勝ち取ろうとする物語。
僕がこの映画を初めて観たのは、友達の家でのビデオ鑑賞。大学生だった。劇場公開から1,2年経っていたためか、それとも16型カラーテレビで観たせいか(後者の要因が大)今ひとつ気持ちが盛り上がらなかった。高校生の頃観ていたらもう、大人達の価値観に立ち向かう主人公にもっと感動したことだろう。でも音楽は別。その小さな画面でも躍動感は十分に伝わってきた。それから現在まで何度か繰り返し観ている訳だ。実は音楽が様々なジャンルに及び、ヴァラエティに富んでいることも面白い。すべて”洋楽”というひとくくりで語れた時代。それが80年代だったのかもね。日本では、このサントラから Holding Out For The Hero(麻倉未希) I'm Free(渡辺美里) Never(MIE) の3曲がカヴァーされ、ドラマの主題歌として使われた。
Footloose (1984) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers
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■Footloose & I'm Free (Heaven Helps The Man) / Kenny Loggins
from「フットルース/Footloose」(1984年・米)
80年代にサントラからのヒットを連発した人といえば、ケニー・ロギンス。70年代にロギンス&メッシーナとして活躍。77年までに9枚のアルバムを発表し、高い評価を得た。またソングライターとして、ドゥービー・ブラザースのWhat A Fool Believes(マイケル・マクドナルド共作)などを手がけている。83年の4枚目のソロアルバム"High Adventure"で、作詞のディーン・ピッチフォードとコンビを組んだ。これが縁で「フットルース」のサントラ参加をオファーされることになる。
ケニー・ロギンスは、タイトル曲 Footloose と I'm Free の2曲でサントラに登場。前者は全米No.1ヒットを記録した。Footlooseはつま先がビートを刻む印象的なオープニング、そしてエンディングで流れる。イントロのギターを聴くと思わず体が反応する方々はきっといるはず。「ロミーとミシェルの場合」で、故郷の同窓会に出かけるヒロイン2人がお気に入りの80年代ヒット曲をかけながら車を飛ばす場面があるが、そのとき真っ先に流れるのも実はFootloose。”あの頃”を語る上で欠かせない曲だと言ってもいいだろう。まさに80年代を代表するヒット曲。
I'm Freeもシングルカットされ、15位に入るヒットとなった。映画ではダンスパーティを開くことを許される集会の場面で流れる。こちらは力強いメロディーとバックの叫びが耳に残る。この曲は渡辺美里がカヴァーしてデビュー曲ともなった(ちなみにシングルB面はエイジアのDon't Cry)。間奏のギターソロはスティーブ・ルカサー!そしてシンセサイザーはデビッド・フォスターが弾いている。
Kenny Loggins - Footloose (Official Video)
Kenny Loggins - I'm Free (Heaven Helps the Man)
※Kenny Loggins の歌が流れる80年代の主な映画
1976年・「スター誕生」 = I Believe In Love(作曲)
1980年・「ボールズ・ボールズ」 = I'm Alright Lead The Way 他
1982年・「マイ・ライバル」 = You Don't Know Me
1984年・「フットルース」 = Footloose I'm Free
1985年・「ロッキー4 炎の友情」 = Double Or Nothing (duet with Gradis Knight)
1986年・「トップガン」 = Danger Zone Playing With The Boys
1987年・「オーバー・ザ・トップ」 = Meet Me Half Way
■The Girl Gets Around(危険なガール)/Sammy Hagar
from「フットルース/Footloose」(1984年・米)
「フットルース」の本編はジョン・リスゴウ扮する神父が、「ロックンロールやらTVやらの悪しき影響で若者たちは乱れきっておるっ!」と熱弁をふるう場面から始まる。でも後方の席では女の子たちが引っ越してきたばかりのレン(ケビン・ベーコン)に視線チラチラ。神父の娘(ロリー・シンガー)は、説教ききながら真っ赤なマニキュア塗っている。少し後には、主人公レンが大人たちに「スローターハウス8」が名作だと言うのだが反論される場面もあり、この町の異常に保守的な大人たちが押しつける価値観がいかに堅く、若者文化とのギャップがあるのかを強く印象づける導入部である。
神父の娘ロリー・シンガーが友人たちとドライブするところ。走行中の2台の車に立ち、正面からきた巨大なトレーラートラックに向かう危険な場面。男友達の白いトラック積まれたラジカセから流れてくるのが、サミー・ヘイガーが歌うハードロック、The Girl Gets Around(危険なガール)。お説教場面の後だけに、”ロケンロールに乗ってバカをやる若者”を象徴する場面になっている。
サミー・ヘイガーはヴァン・ヘイレンの2代目ヴォーカリストとしての活動が今や最も知られるところだが、「フットルース」の頃はまだヴァン・ヘイレン加入前の時期。70年代に西海岸で活躍したモントローズというバンドでの活動後、76年にソロに転向。そして86年、ヴァン・ヘイレンに2代目ヴォーカリストとして加入。発表されたアルバム「5150」は、先代ダイヤモンド・デイヴとは違った硬派なロックヴォーカルを聴かせてくれた。96年にはヴァン・ヘイレンを脱退したが、2004年の再結成で再び加入した。映画関連のお仕事も多い(ベストアルバムにはタイトル・チューンを歌った「初体験リッジモント・ハイ」も「ヘヴィー・メタル」も「オーバー・ザ・トップ」も収録)。あのパワフルなヴォーカルはリスナーの心を引きつける。それ故の人選なのだな、きっと。
Sammy Hagar & The Wabos - The Girl Gets Around (From "Livin' It Up! Live In St. Louis")
※Sammy Hagar関連の曲が流れる主な映画
1981年・「ヘヴィー・メタル」 = Heavy Metal
1982年・「初体験リッジモント・ハイ」 = Fast Times At Ridgemont High
1984年・「フットルース」 = The Girl Gets Around
1985年・「シュア・シンク」 = Two Sides Of Love
1985年・「ビジョン・クエスト 青春の賭け」 = I'll Fall In Love Again
1986年・「ランナウェイ/18歳の標的」 = Burnin' Down The City
1987年・「オーバー・ザ・トップ」 = Winner Takes It All (Sammy Hagar with Edward Van Halen)
1989年・「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」 = I Can't Drive 55
1992年・「ウェインズ・ワールド」 = Rock Candy (Bullet Boys)
1995年・「パワーレンジャー」 = Dreams (Van Halen)
1996年・「ツイスター」 = Humans Being (Van Halen)