「キル・ビル」のルーツを探せ!(その21)★セルジオ・レオーネ風のカット割り
■「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗/The Good The Bad And The Ugly」(1967年・イタリア)
監督=セルジオ・レオーネ
主演=クリント・イーストウッド リー・ヴァン・クリーフ イーライ・ウォラック
この映画のラスト、主人公三人の決闘シーンは何度観ても緊張するし引き込まれる。何度も繰り返されるカットバック。その度にクローズアップして最後はシネマスコープの画面いっぱいに両目のアップ。アメリカ映画の西部劇ならサッと片づけて終わりそうなところを、ひたすら観客をじらし続ける演出。このじらされ方が観ている側にマゾ的(?)快感を与えてくれる。タランティーノ監督は本作について「こんな映画が撮れたら監督を辞めてもいい」とまで言う。ラストの三すくみなんて「レザボア・ドッグス」にも出てくるアイディアだから、この映画が”タランティーノが最も好きな映画”という報道もまんざら嘘ではなさそうだ。
「夕陽のガンマン」とは全く関係のない別のお話だが、こんなタイトルの付き方は当時じゃあったりまえのこと。こちらは南北戦争を背景に、賞金稼ぎたちがだましだまされる様を描いた大長編となっている。むかーし「ゴールデン洋画劇場」で観て以来だったのを今回観なおしたのだが、覚えていない場面の連続にあれはいったい何分カットされていたのか?と思う。最初にも書いたラストの息詰まる決闘シーンもすごいけれど、橋をめぐる北軍と南軍の攻防を描くエピソードも印象的だ。戦争の愚かさを感じずにはいられない。またイーストウッドとウォラックが交わす会話も実に気が利いていてかっこいい。もちろんエンニオ・モリコーネの音楽は最高!
「キル・ビル」という映画は日本映画やカンフー映画へのオマージュであると同時に、マカロニ・ウエスタンへのオマージュでもある。「vol.2」の脚本で、エルとブライドがにらみ合う場面には、「セルジオ・レオーネ風のカットで」とト書がつけられている。荒野を泥だらけになって歩くブライドの姿は、この映画の砂漠をひたすら歩かされるイーストウッドの姿の様だ。悪役リー・ヴァン・クリーフが男を家族の前で殺す場面だって、「vol.1」最初の犠牲者ヴァニータが娘の前で殺されることに通ずるではないか。さらにこの場面の音楽まで「vol.2」で引用している。多大な影響を与えた映画であることは間違いない。えっ?オマージュってパクリだって?そうとも言えるだろう。でもそこにオリジナルへの尊敬の念が込められていることを忘れてはならない。これは愛情の表現なのだ。
■「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗/The Good The Bad And The Ugly」(1967年・イタリア)
監督=セルジオ・レオーネ
主演=クリント・イーストウッド リー・ヴァン・クリーフ イーライ・ウォラック
この映画のラスト、主人公三人の決闘シーンは何度観ても緊張するし引き込まれる。何度も繰り返されるカットバック。その度にクローズアップして最後はシネマスコープの画面いっぱいに両目のアップ。アメリカ映画の西部劇ならサッと片づけて終わりそうなところを、ひたすら観客をじらし続ける演出。このじらされ方が観ている側にマゾ的(?)快感を与えてくれる。タランティーノ監督は本作について「こんな映画が撮れたら監督を辞めてもいい」とまで言う。ラストの三すくみなんて「レザボア・ドッグス」にも出てくるアイディアだから、この映画が”タランティーノが最も好きな映画”という報道もまんざら嘘ではなさそうだ。
「夕陽のガンマン」とは全く関係のない別のお話だが、こんなタイトルの付き方は当時じゃあったりまえのこと。こちらは南北戦争を背景に、賞金稼ぎたちがだましだまされる様を描いた大長編となっている。むかーし「ゴールデン洋画劇場」で観て以来だったのを今回観なおしたのだが、覚えていない場面の連続にあれはいったい何分カットされていたのか?と思う。最初にも書いたラストの息詰まる決闘シーンもすごいけれど、橋をめぐる北軍と南軍の攻防を描くエピソードも印象的だ。戦争の愚かさを感じずにはいられない。またイーストウッドとウォラックが交わす会話も実に気が利いていてかっこいい。もちろんエンニオ・モリコーネの音楽は最高!
「キル・ビル」という映画は日本映画やカンフー映画へのオマージュであると同時に、マカロニ・ウエスタンへのオマージュでもある。「vol.2」の脚本で、エルとブライドがにらみ合う場面には、「セルジオ・レオーネ風のカットで」とト書がつけられている。荒野を泥だらけになって歩くブライドの姿は、この映画の砂漠をひたすら歩かされるイーストウッドの姿の様だ。悪役リー・ヴァン・クリーフが男を家族の前で殺す場面だって、「vol.1」最初の犠牲者ヴァニータが娘の前で殺されることに通ずるではないか。さらにこの場面の音楽まで「vol.2」で引用している。多大な影響を与えた映画であることは間違いない。えっ?オマージュってパクリだって?そうとも言えるだろう。でもそこにオリジナルへの尊敬の念が込められていることを忘れてはならない。これは愛情の表現なのだ。
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