Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

テレパシー少女蘭・ねらわれた街

2009-01-11 | 読書
 うちのルーク・スカイウォーカー(9歳児)が図書館で借りてきた本。冬休みに何冊か借りてきたもののひとつに、近頃ルークがお気に入りの青い鳥文庫があった。NHK教育で昨年放送されていたアニメ「テレパシー少女蘭」の原作だ。作者は、”もはやこれは児童書ではない”と絶賛された「バッテリー」のあさのあつこ。アニメを子供と一緒に見ていてなかなか面白かったので、数日拝借して読んでみた。

 ・・・おぉ。正直すごいと思った。何がかというと、児童書とは思えない程に深いのだ。アニメだけ見た段階では、単に超能力が使える少年少女の冒険小説・・・と思っていたのだが、原作にはアニメでは十分に表現しきれていなかった、超能力者の苦悩が深く掘り下げられている。読んでいて、中学時代に筒井康隆の「七瀬ふたたび」を読んでわくわくした感覚が呼び起こされた。

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 ある日自分の超能力に気づいた主人公、蘭。同じクラスになった転校生、翠(みどり)にもその力が備わっていた。翠は他人の心が読めることで親にも気味悪がられ、孤独な日々を送っていたが、明るい性格の蘭との出会いで心が開かれていく。だが時を同じくして、学校周辺では怪事件が次々に起こっていた。そこには思わぬ人物が関わっていることに二人は気づく・・・。

 とにかく心理描写が実に巧みで、脇役である大人たちの生き方や苦悩もしっかりと描かれているから、読んでいて引き込まれる。人とは違う能力を持つこと、いやもっと身近に言うと、人とはちょっと変わった感覚や性格であるが為に、差別的な扱いを受けること。お互いに人を認め合うことができない人間関係の難しさがひしひしと伝わってくる。もちろん超能力戦の場面も面白いし、児童文学らしい会話やコミカルな場面も楽しい。でも読み終わって、ちょっと考えさせられる。世のお父さんお母さん、子供の本だからって先入観を持たずに、是非ご一読を。

 そして僕は、これまで読んでいなかった「バッテリー」を読んでいる。”もはや児童書ではない”という評は確かだった。思春期の苛立ち、親の希望と子供の自我、親と子供の関係、親の世界の現実、そして何よりも野球をすることの楽しさや興奮、厳しさ。それらが絶妙なバランスで盛り込まれる。素晴らしい。全6冊のうち、今2冊目を通勤中に夢中で読んでいる。「バッテリー」の感想はまた改めて。

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