Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

花様年華

2012-11-09 | 映画(か行)

■「花様年華/In The Mood For Love」(2000年・香港)

●2000年カンヌ映画祭 男優賞・高等技術院賞
●2000年モントリオール映画祭 作品賞
●2001年セザール賞 外国語映画賞
●2001年香港電影金像奨 主演男優賞・主演女優賞・美術賞・編集賞・衣装デザイン賞

監督=ウォン・カーウェイ(王家衛)
主演=トニー・レオン マギー・チャン レベッカ・パン

 大人の恋は実に切ない。近づきたくても近づけない。一線は守りたいものの、あふれ出る感情を抑えきれるものではない。越えたくても越えられない。近頃読んでいる蓮見重彦総長の著書には「うまいメロドラマは距離感を目に見える形で描くのがうまい」とあった。オーソドックスなれど、本作はその部類に属するのだろうな。隣人という近さと越えがたい一線という遠さ。

 いろんな恋愛映画(特に不倫もの)はあるものの、その恋愛模様に”そんなにうまくいくもんか!”と思う向きもあるだろう。一線を越えることに臆病な一般ピープル(おそらくその立場になれば僕も・・・)には「花様年華」の展開、これが現実かもしれない。僕がこの映画で好きなのはレストランで食事する場面だ。カメラは二人の皿の間を行ったり来たり。「ご主人の好物は?。」「からしは奥さんの好みなのね。」との会話を挟みながら二人の心は高まっていく。「トム・ジョーンズの~」でも食欲が性欲に高まる食事シーンがあった。もちろん「花様年華」ではそんなとこまで行かないが実に印象に残る場面だ。

 難を言えば、シンガポールの場面は判断を観客に委ねたものだろうが、どうも煮え切らない印象が残る。賛否の多いラストのカンボジアの寺院のシーン。何故カンボジアなの?とは思えるけれど、壁の穴にすべての思いを封じ込めるトニー・レオンの姿に、僕は妙に感情移入したんだけど・・・。

 ★

この文章を書いたのは2001年。映画館で観て、この映画の切ない雰囲気に惚れ込んだ。上にも書いたけど、当時読んだ蓮見センセイの評論にあった”恋愛映画と距離感”を初めてきちんと感じられた映画だった。マギー・チャンのチャイナドレスと、トニー・レオンのスーツ姿。ムードに酔える恋愛映画。




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